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人はなぜペンを回すのか?

タカラトミーの「ペン回し専用ペン」登場を考える(1)

2008年3月3日(月)

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 あなたの周りに「ペン回し」をする人はいるでしょうか。

 ペン回しをする人に対する印象は、世代によって違うようです。元々、予備校生の間で流行ったことから「浪人回し」などと蔑称され、1回転で1浪生、2回転できるほど慣れているなら2浪組などと揶揄された時代もありましたが、最近では市民権を確立しつつあり、勉強やデスクワークのシーンに風景として溶け込みつつあります。一説によると、理工系の高学歴な男性に普及率が高いとも言われています。私も仕事柄、企業の研究開発職の方々とおつき合いすることが多いのですが、確かにそのように感じます。

 「ペン回し」の由来は特定の発明者がいるということではなく、1970年代に世界で同時多発的に生まれたようです。鉛筆と比べて適度な重みがあって回しやすいシャープペンが普及したことも関係しているようですが、インターネットの発展が大きく貢献しています。世界各地で「あーどこでもやってんだぁ」ということが分かってきて、今では動画も簡単にアップできるようになりましたから、相互に開発したワザを紹介し合うようなウェブ上の同好会のようなものが、あちこちで組成されるようになっています。

「日本ペン回し協会」が設立、技を競う世界大会も開催される

 手先が器用なためか、アジア人が特に好む傾向があるらしく、韓国では、会員数20万人という世界最大のペン回しウェブコミュニティー「ペンドルサ」があり、日本では、世界初の協会組織となる「日本ペン回し協会」が昨年創設されたりしています。この協会の趣旨は、世界に広がる「ペンスピナー(ペン回しをする人)」たちの高度な技の紹介を通して、浪人回しというような悪い印象を払拭し、「ペンスピニング」というクールな競技の世界を広く認知してもらうことにあるのだそうです。

 2007年2月にはついに初の世界大会(Pen Spinning World Tournament)がウェブ上で開催され、投稿された動画を品評する方式で技を競い合いました。日本からはハンドルネーム「ps‐728」さんが見事第5位に入賞したもようですが、まだ関係者も素顔を見たことがないというところに、なかなか今風を感じさせます。

世界初のペン回し専用ペン「PEN'Z GEAR」が、タカラトミーから発売。「東京インターナショナル・ギフト・ショー春2008」会場では注目度が高かった

世界初のペン回し専用ペン「PEN'Z GEAR」が、タカラトミーから発売。「東京インターナショナル・ギフト・ショー春2008」会場では注目度が高かった(写真:小久保松直 以下同)

 既に100種類を超える技が発表され、日々進化を遂げつつあるペン回し競技ですが、スピナーたちは回すペンにも各人各様の工夫を凝らしてきました。ペン探しは、市販のペンの中から技の種類に合わせて、最適な形状や重量バランスを持つペンを見つけるところから始まります。初心者には重心バランスの取れたパイロットの「Dr.Grip」が良いとか、指の間を通すソニック系には細身で軽量なサンスターの「TWINMARKER」、連続技のハーモニック系や高度な回転技のトルネード系にはぺんてるの「Caplet」が適しているなどのような通の情報を交換し合って、自分に合ったものを見つけ出すのです。

 ペン回し大国の韓国ではぺんてるの「K906」が好まれるなど、優れモノ情報は国境を越えて物色されています。こうしてようやく見つけた最適ペンですが、クリップ部分は削り落し、バランスを上げるために、2セット購入してキャップやラバーグリップを後端にもつけるなど、思い思いのカスタマイズ加工を施します。

 今のところ唯一に近い規制は長さが20センチを超えないことという程度で、改造規制は詳細には決まっていない、まだまだ牧歌的な状況です。ならば、木材や金属パイプをベースに削り出し加工で、完璧なMyペンを作ればいいのか、ということになりそうなところですが、「ペン回し協会」の人に伺ったところ、「一応、ペン由来のものを使うこと、その範囲であれば改造は何でもアリで、書く機能が無くなっていても可」というのが、大方の了解事項ということになっているようです。

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「川口盛之助の「ニッポン的ものづくりの起源」」のバックナンバー

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「人はなぜペンを回すのか?」の著者

川口 盛之助

川口 盛之助(かわぐち・もりのすけ)

盛之助 代表取締役社長

戦略コンサルティングファームのアーサー・D・リトル・ジャパンにてアソシエート・ディレクターを務めたのちに株式会社盛之助を設立。研究開発戦略や商品開発戦略などのコンサルティングを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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