「Web2.0(笑)の広告学」

「モノを買う」行為とブログ記事の熱量

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2008年3月4日(火)

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 アメリカのハンバーガーチェーン、バーガーキングは過去にこの連載でも取り上げたこともあるように、新しい広告にいつもチャンレンジしています。そのバーガーキングが、またユニークな映像をインターネットで公開してます。既にいくつかの広告関係者のブログで話題になっているので、ご覧になった方も多いかと思いますが、今回はこのバーガーキングの「ワーパー販売やめましたCM」の話から始めたいと思います。

 「ワーパー」とは、バーガーキングの代名詞のようなハンバーガーです。今回の映像はそのハンバーガーを販売中止にしたある店でショックを受けるお客たちの模様を2日間にわたってドキュメンタリーとして撮影(と、少なくとも彼らは主張しています)した作品です。

 「ワーパーは販売中止になったんです」という店員の説明に、「意味がわからない」と言葉を失う人、「私とワーパーにまつわる長い歴史」を語りだす人、「責任者を呼びなさいよ」とドライブスルーで怒鳴りつける女性もいます。

 2日目には「ワーパーのオーダーに対して、マクドナルドやウェンディーズなどの他社のハンバーガーを差し出す」というさらに野心的な「実験」を展開。「俺はなぁ、ウェンディーズのハンバーガーが嫌いなんだ!」といった言葉が隠しカメラが見守る中で飛び交い、最終的にはバーガーキングのキャラクターである「キング」(王様)がワーパーをお客様に提供してハッピーエンド、という作品になっています。

 見終わった後に、単に面白い、というだけではない、不思議な感覚に襲われました。

 通常は、「買ってください」という目的でつくられる広告なのに「その商品を売りません」ということを伝える様がこの企画の「アイデア」なのです。ふざけた企画といえばふざけた企画です。

 しかし「売ってください」という客に対して「売りません」という姿勢を示すことで、結果としてバーガーキングユーザーたちが、ワーパーに対してどれだけ熱い気持ちを持っているか、「商品、ブランドへの思い」を彼ら自身の言葉として引き出すことに成功しているのです。

 これはすごいな。と思いました。実は、いまちょうど始めようとしている企画が、ユーザーにブログで「熱い思いを語ってくれたら売ります」という試みなのです。それもあって非常に興味深く見ました。

 はい。実はちょっと、面白い試みを1週間後に始めます。
 今週は、その予告を少ししようと思います。

100枚限定のTシャツ

100枚限定のTシャツ

 100枚限定のTシャツというものをつくりました。
 人気ブロガーでもあるアーティストの押尾学さんが1枚1枚、自分の足の裏に塗料をつけて足あとをつけた、世界に2枚と同じ型のないTシャツです。よく意味がわからない、という方は、この予告ムービーをご覧ください。

 なんだか面白そうな取り組みであることは感じてもらえるのではないでしょうか。

 なぜ足あとなのか? ということですが、押尾さんのブログタイトルが「entertainment crusher」であることからの「洒落」だと思ってください。

 また今回このTシャツ以上にユニークなのは、7800円のこのTシャツの販売方法です。

 通常、販売できる商品の数に限りがある場合、先着順や抽選といった方法がとられます。しかし、今回はここに「ブログ記事」というフィルターを使用することで、新しい試みにチャレンジします。まずは、このTシャツをつくるにいたった話から始めたいと思います。

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著者プロフィール

スダシン(須田 伸 すだ・しん)

須田 伸

サイバーエージェント ネットトレンド研究室長/コミュニケーションディレクター。1992年株式会社博報堂入社。CMプランナー/コピーライターとして「ACC賞」「日経広告賞」「消費者のためになった広告コンクール」などの広告賞を受賞。 1998年カンヌ国際広告祭ヤングクリエイティブ・コンペティションに日本代表コピーライターとして出場。2000年にYahoo! Japanに転じてコミュニティサービス担当プロデューサーとして「ヤフー・チャット」を立ちあげ「ライブチャットイベント」では初代「Y! Chat MC」として活躍。2002年より株式会社サイバーエージェントに勤務。同社の企業ブランドを一新する。現在は同社ネットトレンド研究室長。ブログとインターネット広告に関する著書として『時代はブログる!』(アメーバブックス)がある 。「サイバーエージェント/アメーバ」は、2008年度グッドデザイン賞を受賞。



このコラムについて

Web2.0(笑)の広告学

ブログやSNSのように、普通の人がインターネットで気軽に情報を発信するようになったことが「Web2.0」という流行語(バズワード)を生みました。Web2.0の切り口には、技術も、商売も、哲学もありますが、このコラムでは、基本的に「広告」という視点で考えていきます。筆者はテレビ広告業界を経験後、サイバーエージェントに転じ、ネット広告の世界で活躍している須田 伸氏です。

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