「ディズニーが携帯電話事業に参入」──。このようなニュースが約半年ほど前に流れ、3月1日にいよいよ「ディズニー・モバイル」がスタートした。「ディズニーが携帯電話事業を行う」とはどういうことなのだろうか。改めて考えてみたい。
携帯電話事業を行うには、全国に基地局を設置し、それらを繋ぐネットワークも整備しなければならない。そうした無線通信インフラを構築するためには数千億円規模の投資が必要とされる。また、1機種当たりの開発費が100億円以上とも言われる携帯電話端末の提供も必要である。ディズニーはそうしたインフラを構築し、携帯電話端末を開発するのだろうか。もちろん、そうではない。
携帯電話事業はこのように多くの投資がかかり、提供できる事業者は限られる。また、電波という有限の資源を利用することもあり、1つの国で免許を受けられるのは数社までとなっている。このために、それ以外の事業者はこれらの無線通信インフラを「借りる」ことで、携帯電話事業に参入することとなる。
こうした事業者は自社では無線通信インフラを保有せずに、他社から借りることで「仮想的」に移動体通信事業を行うことから、「MVNO(Mobile Virtual Network Operator)」と呼ばれる。この仕組みを利用すれば、どんな事業者であっても、また一個人であっても携帯電話事業を行うことができる。
既存の携帯電話事業者にもユーザーにもメリットがある
MVNOの仕組みにはどのようなメリットがあるのだろうか? MVNOにおいては、無線通信インフラを保有する事業者(MNO)、MNOから無線通信インフラを借りて携帯電話事業を行う事業者(MVNO)、それを最終的に利用するエンドユーザーの3者がいる(図1)。それぞれの視点で、MVNO事業のメリットを説明していこう。

図1 3者から見たMVNOのメリット
まず無線通信インフラを貸し出す既存の携帯電話事業者(MNO)にとっては、設備の効率的な利用が可能となる。自社が使っていない無線帯域を貸し出すことで、MVNOから貸し出し料金を得られるのだ。また多くのケースで、加入者を集める販促などをMVNOが代わりに行うため、営業面でも効率化を図ることが可能となる。
一方、無線通信インフラを借りるMVNOにとっては、設備などを自分たちで作ることなく携帯電話事業や無線通信を利用したサービスを始めることが可能である。これにより、既存のサービスに携帯電話を組み合わせて新たなサービスを創出することや、携帯電話事業そのものを新たな事業として始められる。
そしてエンドユーザーにとっては、このようなMVNOが多数登場することで、自分の携帯電話の使い方により合った事業者を選ぶことが可能となり、選択の幅が広がることとなる。
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