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“大人だまし”の道具に市場性あり

タカラトミーの「ペン回し専用ペン」登場を考える(2)

2008年3月17日(月)

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指の回りをクルクルと回る「PEN'Z GEAR(ペンズギア)」

指の回りをクルクルと回る「PEN'Z GEAR(ペンズギア)」

 前回のコラム(「人はなぜペンを回すのか」)では、タカラトミーの開発したペン回し専用ペン「PEN'Z GEAR(ペンズギア)」の潜在力の大きさを分析いたしました。「プチストレス解消」や「オスのセックスアピール」「コミュニケーションツール」などの価値が潜む一方で、「指のお供」として離れられなくなることを目指した高次な志を持ち、さらに感性工学の域を脱して芸術との境界領域に入りつつある面白い可能性を秘めた商品であるという話でした。

 人に仕える道具の1つのゴールイメージとして「ウエアラブル化」が挙げられます。ウエアラブルとは「身に着けられる」と言う意味で、衣服や化粧品が最も先輩格な道具です。ペンも昔からその市民権を確立し、上着のポケットやバッグ類に居場所を確保してから長い時間がたっています。

ウエアラブルを達成できた道具はごくわずか

 厳密にウエアラブルという言葉の意味を考えると、肌に直接触れるレベルが最もエライわけですが、そのハードルをクリアできた先達は数えるほどしかいません。肌に直接接することまでも許された機器の歴史をひもといてみると、苦難に満ちていることが分かります。

 例えば腕時計。時計細工の技術が発達し、懐中時計のレベルにまで小型化されたのは、15世紀あたりなのですが、現在の定位置である手首の部分に定住権を得たのは20世紀初頭で、なんと500年近くも要しているのです。今の腕時計の直系のご先祖様は20世紀初頭のカルティエの腕時計だと言われています。ここに至るまでには、太ももに巻かれていた時代まであるのです。それは飛行機のパイロットが、両手ふさがりの操縦中に安全に時間を確認するためという切実な理由だったと言います。

 あるいはメガネ。11世紀にルーペが考案されてから200年後には手持ち式のメガネが定着していました。昔の映画などで高貴な方々が目元にかざしていたアレです。しかし、現在当たり前のように耳に掛けている方式が普及するのはそのまた400年後の17世紀になってからです。要するに、人工の異物である道具類が人間様の肌に張り付き、共生するというのは、私たちが想像しているよりはるかに大変なことなのです。それはあたかも体内の免疫系が外来のウイルスを排除するようですらあります。

 その意味において、苦難を既に乗り越えたペンに新たなうれしさ(機能)を見いだすということは筋の良い話かもしれません。そもそもペンにはメモしておくという記憶の機能や、手紙にして渡すというコミュニケーション機能がありましたが、それらは今では科学の力で携帯電話機に代替されつつあります。ペンや時計の機能を吸い込む携帯電話機の普及で、いまどきの若者には腕時計をしない人も増えています。

 しかし、今後さらに一段と技術の軽薄短小化が進めば、電子装備をしたペンが再び返り咲く時が来るかもしれませんね。スティックを使うPDA(携帯情報端末)やゲーム機にはそのにおいが感じられます。

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「“大人だまし”の道具に市場性あり」の著者

川口 盛之助

川口 盛之助(かわぐち・もりのすけ)

盛之助 代表取締役社長

戦略コンサルティングファームのアーサー・D・リトル・ジャパンにてアソシエート・ディレクターを務めたのちに株式会社盛之助を設立。研究開発戦略や商品開発戦略などのコンサルティングを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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大量陳列、大量販売というのがある程度限界にきているのかなと思います。

松﨑 曉 良品計画社長