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設計とは決断の連続である

その時のプライオリティーを見抜く力を持て

  • 宮田 秀明

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2008年3月21日(金)

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 設計は、定めた目標に向かって“決断”を繰り返していく作業である。目標と定めた機能または性能が“決断”の結果によって達成されるかを“予測”しながら、順番に“決断”を行っていくのである。

 この作業の中で“決断”の優先順位を間違えないことが大切である。すべての設計の段階でのファーストプライオリティーを間違えないようにするのである。
 
 私たちの高速船開発のプロジェクトが佳境に入っていた1990年頃、2つの2人乗りスポーツカーが発売された。ホンダの「NSX」とマツダの「RX-7」である。

 スポーツカーにとって一番大切なのは重さだ。エンジンの馬力を250馬力とすると、1馬力当たりの重さを5キロに収めたい。つまり1250キロの車両重量にまとめなければならない。このために「NSX」は車体を鋼ではなくアルミで作って軽くすることを“決断”した。「RX-7」の場合もアルミの部材は使うが、車体そのものは鋼だ。しかし、エンジンにロータリーエンジンという軽量コンパクトなものを採用した。

 次の決断は、エンジンの位置である。スポーツカーは前後のタイヤに加わる重さを均等にするのが理想なので、エンジン位置を決めることが大切だ。「NSX」は座席の後ろ、つまりミッドシップ(midship)に置いた。なぜか船の用語が車にも使われる。「RX-7」は、エンジンが軽いので前にエンジンを置いても重さの均等配分ができる。

設計するうえで妥協することは避けられない

 当時、私は重さ1000トンの高速船を設計していた。このサイズの高速船を実現するためには、船体を軽いアルミにしてエンジンを重いディーゼルにするか、船体を重い鋼にして、エンジンを軽いガスタービン(ジェットエンジン)にするか、いずれかにしなければならないという答えが出ていた。「NSX」と「RX-7」の例と同じなのだ。船は浮力で支えられているので荷重を均等にしなければならないのは基本条件であって、決断の対象ではない。

 優先順位は目標や対象が違うと全く異なる。コンパクトカーなら軽量化よりもコストと燃費にファーストプライオリティーがあるだろう。大型タンカーなら経済性にファーストプライオリティーがある。何トンの油を何ノットのスピードで輸送することを何馬力のエンジンで実現できるかということだ。
 
 優先順位が同じレベルの項目がお互いに相克してしまうことも多い。例えば安定性と速さとか、安全と価格とかである。こういう時は何らかの妥協(コンプロマイズ)が必要である。優れた設計を行うためには、なるべく妥協しないことが大切なのだが、全くコンプロマイズなしで設計が終わることはない。

コメント4件コメント/レビュー

宮田さん、役所もちゃんとシミュレーションを行っていますよ。ただ、役所のシミュレーションでは、結論があらかじめ決まっていて(決断)、それを正当化するために変数や条件をいじっているのです。ですから、問題はシミュレーションを行っていないことではなくて、シミュレーションを自己正当化の道具に使っていることの方なのです。安易なシミュレーション推奨は、役人に足元を救われますよ。(2008/03/25)

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宮田さん、役所もちゃんとシミュレーションを行っていますよ。ただ、役所のシミュレーションでは、結論があらかじめ決まっていて(決断)、それを正当化するために変数や条件をいじっているのです。ですから、問題はシミュレーションを行っていないことではなくて、シミュレーションを自己正当化の道具に使っていることの方なのです。安易なシミュレーション推奨は、役人に足元を救われますよ。(2008/03/25)

高速道路の場合もきちんとシュミレーションされて建設されて来たと思う。ただし、シュミレーションの対象が全く違う。そこに高速道路を作ると、どのくらい多くの税金を特定の会社の売り上げに変えることが出来るか。道路の維持管理で永続的にどの程度の売り上げを税金から引き出せるか。その結果たとえば、役人は天下り先をどれほど確かに出来るか、政治家は自分の集票能力をどの位上げられるか・・。バックリベートの安全な経路は・・。といった方面の皮算用はかなり真剣に行われ根回しも万全だったと思われる。どの位やれば国民が怒るか、国民が怒ったとき、それでも高速道路つくりを継続出来るようにするにはどういう手を打っておけば良いか。等々を含めて。(2008/03/24)

振り返らぬ者は道を知らず、己の位置も知らず。振り返るものは、先人の足跡からジャンプスポットを見つけ出す。。。設計の進め方に限らず、物事は全てスパイラルで進んでいる。すこし大きな時間軸で見ると同じことの繰り返しの様にみえる。もっと大きな時間軸で見ると、少しずつ進歩や進化を積み上げているため、長いスプリングを真横から見た時の様に円筒形(直線)に見える。スパイラルが伸びるスピード、つまり時代のスピードに追いつくには、ふんだんなリソースを投入しなければならない。企業はそうしなければ生き残れない。大企業はそれができる。では、それが出来ない中小企業はどうすれば良いか?大企業に飲込まれるのも一つの手段だ。別の手段もある。スパイラルであれば現在と似た状況の過去のある地点の近くを必ず通る。であれば、今より少し先の状況に類似する過去を探し分析すればよい。少し大きな時間軸では先に進んでいるため、全く同じでは時代遅れだ。だが、時代背景や基礎条件の差を時代が進んだ分だけ補正すれば、リソースをふんだんに用意できなくても先回りが可能になる。スピードで追いつけないなら、逆に、遡った地点で発想を飛躍させる。それで、スピードに勝る相手の前に踊り出ることも不可能ではない。未来ばかり見ていては小は大より先にはいけない。遡ることも必要だ。それが過去の経験が役に立つ理由の一つである。そして、様々な産業の歴史、ひいては人類の歴史を学ぶ事が重要といわれる所以だ。(2008/03/24)

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