「YouTube」という動画共有サイトが登場してから約2年が経過した(以下では、ユーザーが動画を投稿する動画配信サイトを「動画共有サイト」と呼ぶ)。その間に、多くの類似サービスが誕生したが、YouTubeは現在でも最大の注目を浴び続けている。日本では、「ニコニコ動画」というコアユーザーをとらえた強力な競合が存在するが、それでも、YouTubeは一定の存在感を示している。
その大きな理由として、先行者利益や、“違法コンテンツ”が充実しているという点が考えられる。また、それ以外に携帯電話、Wiiとの連携などマルチプラットフォーム化が進むことにより、至る所で消費者との接点を持ち始めたという点も、重要な要素として挙げられる。今回はYouTubeを代表とした動画共有サイトについて取り上げたい。
着実に進行している動画共有サイトの利用
2007年に最も注目を浴びた動画共有サイトは、ニワンゴが提供しているニコニコ動画であろう。このサービスは、配信されている動画上にユーザーがコメントを投稿・表示できるようになっている。ヘビーユーザーがコメント投稿と動画閲覧を繰り返しているため、サイトの平均滞在時間が長いと言われている。あまりにアクセス数が急増し、サーバーの負荷が増大したため、サービスの会員登録に制限がかかったほどである。
YouTubeも同様に利用者が増加している。ネットレイティングスの発表によると2007年2月の時点で日本国内からの利用者が1000万人に到達したもようである。2007年6月には、日本語への対応も実施されたので、さらに多くの利用者を集めていると想定される。
実際に、アンケートで動画共有サイトの利用率を確認してみると、普及は各年代で進行していることが分かる。パソコンとインターネットの1年間の利用率と動画共有サイトの利用率を年代別に比較しているが、30代までは動画共有サイトを各世代の中の30%の人が利用している(図1)。

図1 この1年におけるパソコン、インターネット、動画共有サイトの利用経験者の割合(N=1200)。出所:NRI「コンテンツ消費に関する調査」(訪問留置調査:2007年9月)
注目すべきは、若年層だけではなく、高年齢層でも利用が広がっていることである。高年齢層になるにしたがってインターネットの利用率は下がっていくが、インターネット利用者の中の動画共有サイト利用者の比率は、さほど下がらない。高年齢層でも多くの割合のインターネットユーザーが動画共有サイトを利用しているのである。
人気を支えているのは実は違法コンテンツ
現在の動画共有サイトで閲覧されている動画は、著作権法に違反した違法コンテンツが多い。そのコンテンツ見たさに利用者が急増しているのが実態である。図2に動画共有サイトで、利用者が閲覧している動画の種類を示しているが、最も視聴されているのは音楽プロモーションやライブの映像である。

図2 ユーザーが動画共有型サイトで見る映像(複数回答、N=92)。出所:NRI「コンテンツ消費に関する調査」(訪問留置調査:2007年9月)
そのほかにも、ビデオ・テレビ・映画・アニメなどの動画が視聴されている。現在一部のコンテンツホルダーが動画を提供しているが、まだごくわずかであり、多くの動画が著作権を侵害していると想定される。
一方、完全に個人が撮影・制作した動画のみを閲覧している人は、6.5%しか存在しない。ユーザーが独自に制作した動画を投稿して、皆で共有するという大義名分はほとんど成立していないことが、このデータから読み取れる。ただし、ニコニコ動画では最近自作コンテンツが増加している模様である。 今後の動きに期待したい。
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。




からのご案内




