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2050年に生きる「フューチャーデザイン」

  • 若井 浩子

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2008年3月28日(金)

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 今年に入ってミッドセンチュリーの名作家具の復刻や記念モデルの発売、関連企画展の開催などが相次ぎ、改めてその存在感をアピールしている。

図版

アアルトの照明「ゴールデンベル」は1937年のデザイン。相次ぐモダンデザイン家具の復刻は新テーマを模索中の現状の表れか

 例えばアルネ・ヤコブセンのデザインした「エッグチェア」は、誕生50周年限定モデルとして999台が製造され、日本では早々に完売した(メーカーはデンマークのフリッツ・ハンセン)。また1937年にデザインされたアルヴァ・アアルトの照明「ゴールデンベル」(フィンランドのアルテック)が復刻されたし、同じくフィンランドのデザイナー、ユーロ・クッカプロが1957年にデザインした椅子シリーズ「モダーノ」も、当時の技術では量産が困難だったオリジナルデザインで新たに製造販売され始めた(フィンランドのレポ)。

 少し先になるが、5月には東京で「チャールズ・イームズ写真展──偉大なるデザイナーからのメッセージ」(サンタモニカ、オーストラリア、インド、中国を巡回)といった企画展も開催される。

図版

ユーロ・クッカプロが1957年にデザインした「モダーノ」は、オリジナルデザインで新たに製造販売され始めた

 北欧の名品は、現在まで数十年にわたって製造され続けているものが多いが、家具市場(現在、世界最大の市場は米国、次いで日本)の動向を受けて製造を中止したものも多い(注1)。それらの製品の復刻や記念モデルの発売は、モダニズムに次ぐ決定的なデザインを生み出せずにいる現状を反映しているとも言える。イームズ・オフィスの企画した展覧会の概要からは、本質的なテーマのみならず、インド、中国の台頭といった世界の市場の変化もうかがえる。

ポストモダンとは何だったのか?

 このようにモダンデザイン家具を再登場させる動きの一方で、現在、世間では「ポストモダン」の再考に火がついているらしい。社会学、思想学、精神分析学、デザイン、その他様々な側面から再検証される動きがあると言う。

 そもそもポストモダニズムとは、19世紀末から20世紀半ばに欧米で成熟したモダニズム(社会主義思想、自由主義思想、平等思想、リベラル思想、コミュニズムなどを含む)の次世代思想として登場したもので、1960年代の米国に端を発している。現在、どこの家庭でも見られるシステム家具やシステムキッチン、ユニット什器などもモダンからポストモダンへの過渡期に生まれた。それは“ヒエラルキーのない住空間”(注2)を標榜し、家中のすべての空間に均質な快適性をもたらす、というコンセプトから案出された。

 またポストモダニズムは、様式性を完全に排除した(あるいは皮肉として引用した)、奇怪とも取れるデザインの家具や照明なども生み出した。日本では、イタリアやフランスのデザイナーの手によるオブジェのような食器や家具、オフィスビルの屋上から隅田川を見下ろす金色の巨大彫刻など、80年代の記憶としてその形を残している。

 ヤコブセンやアアルト、イームズのモダンデザインが普遍的とも言える地位を築いた後に旋風を巻き起こしたポストモダン。それがもはや回顧の対象となり果ててしまったとすれば、現在、私たちが目指すべき次世代を担うデザイン思想とは、いったいどんなものなのだろう?

(注1)家具業界の世界最大のマーケットは米国、次いで日本。日本人の家具の購買率は欧州の比ではない。欧州および北欧圏内では家具は家付きであり、相続されるので買い替えが少ない。
(注2)階級社会的な空間構成から脱却した住空間。平等思想により、女中部屋や使用人の厨房、豪華な客間と私的な居間など、階級社会的住空間を否定した。

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