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映画の料金には「ユーザーレビュー」も含まれている、と考えてみる

  • 須田 伸

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2008年4月1日(火)

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 子供の頃から金曜日の夕刊が楽しみでした。

 そこには、翌日から封切りの映画の広告が並んでおり、文化面の記事などにも新作映画の批評が出ていて、「どの映画を観に行こうか?」と、そうした広告や批評を参考にしながら考えたものでした。

 もちろん今でも、映画の広告は見ますし、映画批評家のコラムも読まないわけではありません。でも、映画を観に行く前に、今、いちばん気になる批評は、プロの手によるものではなく、ヤフー・ムービーの「ユーザーレビュー」。すなわち、自分と同じ、普通の映画ファンの感想です。あとは、普段から読んでいる人のブログで「この映画観た」というブログ記事を読んでその映画が観たくなることもけっこうあります。

 また映画だけでなく、本にしても、電化製品にしても、レストランにしても、プロの分析よりも、一般生活者によるレビューが大きな影響力を持つようになってきています。

 多くのレビューサイトと同様に、ヤフー・ムービーのユーザーレビューでも、感想を書いた文章以外に、星をつけるという「採点」ができます(星1つが最低で星5つが最高)。点数のつけ方に絶対的なルールがあるわけではないのですが、話題の作品だと相当数が集まるので、平均化された時に偏りが少ない気がします。

 単館モノやリバイバル上映など、レビュー母数の少ない作品の点数が若干高くなる傾向があるなど、いくつかの「クセ」があるのは事実ですが、かなり参考になります。また一般受けする「ハッピーエンド系作品」のスコアが高いかといえば、必ずしもそんなことはなくて、わりと複雑な映画や、ストーリー展開に乏しい作品であっても、評価すべき点はキチンと評価されることが多いように思います。

 また先ほど書いたとおり、飲料から電化製品まで、さまざまな商品が日夜、多くのフツーの生活者のブログやSNSなどで「レビュー」されているのもご存知の通り。

 その中で今回は、映画のユーザーレビューから学ぶべきことを考えてみたいと思います。

プロ批評家VS素人レビュー

 一般の映画ファンによるユーザーレビューと、プロの映画評論家の評論には、書き手が違うだけでなく、内容にもやはり違いが存在しています。若干乱暴なまとめかたになってしまいますが、ヤフー・ムービーやユーザーのブログ上で展開されるユーザーの批評はより主観的で、読み手に近くわかりやすい、ということが大きいのではないでしょうか。

 たとえば、有名な映画監督のロードムービーが公開された際に、プロの批評家が「独特の世界観がゆったりとした時間の中で展開される」と書くところを、ユーザーレビューだと「この監督の作品を初めて観た私にはまったく意味不明で退屈。気がついたら眠ってた」となったりすることも珍しくありません。他にも例をあげると、「現代社会における暴力性を鋭くえぐった問題作」というプロの批評よりも、「流血シーン続出で初デートには絶対に行ってはいけない映画」というユーザーレビューのほうが、週末のデートプランを立てている若者にとっては役に立つこともあります。

 このようにユーザーレビューでは、専門家にくらべて正直な反応が綴られていることが多いです。もちろんプロの批評家も顔負けの専門的で文学的な評論も存在はするのですが、映画をより実用品として、遊園地のアトラクションのように、とらえている感想はプロの批評家からはなかなか出てこないように思います。

 たとえばプロの映画評論家であれば、「私は、途中がどんなに楽しかろうと、盛り上がろうと、映像が美しかろうと、ハッピーエンドの映画しか認めない主義です!」とは言い切れないと思うのですが、ユーザーレビューであれば、そう開き直ることだって可能です。そして「せめて貴重な休日の数時間を費やすからには、幸せな気分にしてくれるハッピーエンドの映画しか観たくない」という人は少なからずいて、そういう人にとっては「ハッピーエンド至上主義」の人の書くユーザーレビューは参考になる情報でしょう。

レビューもまた「映画という商品」の貴重なコンテンツ

 ユーザーレビューを読む楽しみは、実は映画を観た後にもあります。それは、映画の趣味が似た人間で映画を肴にビールを飲む楽しさに似ています。さっき観た映画について「あのシーンで、ヒロインが遠くを見つめるだろ」「あれは、主人公の裏切りを知っているってことだよな。それをわかってついていくんだよな」「そうそう、その表情がせつなくてさ」こんな会話をしているうちに、あっという間に時間が過ぎていきます。

 しかし、学生の時ならいざ知らず、だんだん年を重ねると映画を観る友人というのは減っていくので、語りたくても語れない。趣味性の強いアート系の映画の話なんてなおさらできなくなります。

 そんな気分を、映画を見た後でレビューをじっくり読む楽しみが埋め合わせてくれます。

 映画を観た後で、レビューを書いたり、読んだりすることもまた、映画の「コンテンツ」であり、楽しみなのです。

 映画を観て自分の言葉で作品について語る。それは、すなわち「自分語り」の格好の材料であり、今日的消費のひとつのパッケージとしても完成しています。

 これもまた映画という商品に限った話ではありません。

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