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去りゆく学生に感じた才気

育成すべきは、全体構造を設計できる人

  • 宮田 秀明

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2008年4月4日(金)

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 3月の終わりはつらい時期だ。プロジェクトベースの教育で力をつけてきた学生が何人も卒業してしまう。4月はまた御破算にして始めなければならない。教師の仕事の宿命だ。

 そんな惜しい学生の1人に4年生のY君がいた。大学院は別の研究室に進むので、やはり卒業して去っていく学生だ。

 昨年12月の初め、Y君にメールを送った。「今日のミーティングにも参加しないということは、卒業を諦めたということですね」。

 10月から「自動車部品製造企業の最適ロケーション問題の研究」という内容で卒業論文を始めた学生だ。当初は大手商社との共同研究にしようと思ったのだが、それではデータの取得に時間がかかりそうだったので、研究室単独で行うことにした。体力も精神力もありそうな学生だったので、国際企業経営システム開発チームの末端に加え、鍛えてみようと考えた。

Y君は強すぎて世の中の厳しさを知らない

 学生にはいろいろなタイプがいる。頭脳はある程度以上の者が選抜されているのだが、体力や精神力などの強さや性格的なものは千差万別である。

 手取り足取りしなくてはならない虚弱な学生もいたりして、「手を取ったり、足を取ったりはしてあげます。でも、大学だから抱きかかえて卒業させるようなことは絶対にしないからね」と言わなければならないケースもある。

 Y君は強いコンピテンシーを持っていそうだったから、そんな心配はいらなかった。部活でも成果を出していて、日本選抜チームにも入っていた。しかし、Y君は強すぎて世の中の厳しさを知っていなかった。こんな学生は徹底的にイジメて大きく育てなければならない。教師にとっては何の気遣いもしないで教育できる、楽な学生の部類に入る。

 彼の論文のテーマは結構ホットなものだ。自動車組み立て工場ではジャスト・イン・タイム方式が一般的で、なおかつ銭単位の厳しいコスト管理がある。部品工場の立地問題はコストと輸送リードタイムと在庫管理とのトレードオフに極限が要求される。もちろん需要変動という、避けて通れない環境条件がある。ジャスト・イン・タイム方式というのは、自動車組み立て企業の身勝手な方式と言うこともできる。

 私の送ったメールに驚いて大学に現れたY君は、「大丈夫です、ちゃんと卒論をやります」と言う。そして在庫と発注の仕組みについて話し始めた。

 「僕は……と思うんです。これでいいですね」

 私はこう答えた。「まず勉強しなさい。在庫と発注の仕方には定型的なものがあります。勉強してから自分で考えなさい」

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