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「広告批評」休刊から見えてくる広告の未来

  • 須田 伸

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2008年4月15日(火)

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 以前にこのコラムで紹介したイギリスのロックバンド、レディオヘッド(「ウルフルズの挑戦が、米国でブルースファンに響いてます」)が、また面白い試みをしています。

 以前紹介したのは、「全アルバム全曲のダウンロード販売、ただし価格はあなたが自由に決めてください」という試み でしたが、今回は「『NUDE』という楽曲を、さまざまなパーツ(ステム)のトラック別にも販売するので、購入した人はパソコンなどを使って自由にリミックスして、自分のつくったバージョンをアップロードし、コンテストに参加しよう」というものです(リンクはこちら)。ステムは、バス、ドラム、ストリングス/FX、ヴォーカル、ギター、の5つがあって、i-Tunes Music Storeから購入できます。

 参加者は、ダウンロードしたステムに自分のオリジナルの楽器を加えたり、新たなパートをリミックスしたり、好きなようにいじることができます。音楽を自分でリミックスするという人種は、ただ聴くだけという人に比べて、数的には圧倒的に少ないと思うのですが、こういう「オープンな姿勢」が、人々の話題になって(まさにこのコラムで取り上げているように)、結果としてレディオヘッドが自らつくったオリジナル・バージョンのセールスにつながる、という仕組みになっていて、うまいなと思います。

「参加型の広告は主流になりますか?」

 「こうした参加型の広告キャンペーンが将来的に従来のマスメディアを代替する規模にまで成長すると思いますか?」といった質問を受けることがあります。

 しかし、「代替する」とか「取って代わる」といった発想がそもそも違うと思うのです。実際には、こうした新しい形の「広告」と従来のマスメディアの広告とは、決して対立概念ではない。

 むしろ前回のコラムで紹介したマスターカードの事例のように「補完しあう」ケースのほうが多いように思います(「視聴率過去最低の『ちりとてちん』、でも買っちゃった」)。

 また「新しい広告」というのも、ユーザー参加型のものに限りません。テクノロジーの進化に伴う従来よりも精度の高いCRMにより近いものだったり、さまざまな「新しい広告」が、今、あちこちで芽を出そうとしています。

 私は、たまたま、その中で、ユーザーの表現に参加したいという思いが、企業のコミュニケーション活動とコラボレーションする、いわば「参加する広告」にとりわけ強い興味があるのであって、それがすべてにとって変わるというような大それた発想も、予測も持っておりません。ただ、今回は、私の考える広告の未来を、少し自分自身の頭を整理する意味からも、綴ってみようと思います。

雑誌「広告批評」の休刊宣言と「新しいマス」

 現在書店に並んでいる2008年4月号「広告批評」が、同誌の「編集後記」において、この雑誌が来年2009年4月号をもって休刊すると告知しています。

創刊した1979年と言えば、テレビCMを中心に、広告が大きな転換期を迎えた年です。(中略)広告は今マスメディア一辺倒の時代からウェブとの連携の時代へ、ふたたび大きな転換期を迎えています。マスメディア広告と一緒に歩き続けてきた小誌としては、このへんでひとつの区切りをつけたいと考えました。

 この文章を読んで気づいたのは、マスメディアとウェブを、まったく別のものとして切り分けていることです。

 インターネットを「テレビ、新聞、雑誌、ラジオにつづく、第五のマス」と呼ぶ人もいる中で、長年にわたってマスメディア広告をレポートしてきた雑誌「広告批評」が明確にマスとネットを切り分けている事実は、きちんと受け止めるべきだなと感じました。

 では、インターネットは、将来的に「雑誌『広告批評』的定義における新しいマス」になりうるものなのでしょうか? 私はそうは考えていません。

 インターネットはご存知のとおり、もともと軍事技術であり、機能を一個所に集中すると、そこが破壊された時に全システムが停止してしまうリスクを回避するための、ネットワークシステムとして開発されました。まさに「拡散・分散」をDNAの中心に持つ仕組みです。

 インターネットは、たしかに広告費というデータの上では、ラジオ、雑誌を既に抜き去っており、やがては、新聞、テレビも越えて、広告費という金額では、最大の「マスメディア」になる可能性があります。しかし、全国紙やキー局のような単体で成立する「新しいマスメディア」であるか、といえば、決してそうではありません。

 インターネットは、「ネットワーク」としてつながることで「擬似マス」にはなりえても、単体でテレビのような「マス」にはなりえないと見ています。また、テレビも、新聞も、雑誌も、完全になくなることなどありえない。いや、そもそもメディアとしてのDNAの構造がまったく違うので、代替しえないのです。

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