「輝く北欧〜デザインで読み解く豊かさの秘密」

ロボット工学、IT─デザインの力で南北格差をなくす

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2008年4月16日(水)

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 前回、モダンデザインの次世代思考としての北欧発、2050年のための「フューチャーデザイン」を紹介した。

モジュールのタイル1つひとつに情報処理能力があり、結合によって運動の質や量、範囲を調整できる。

モジュールのタイル1つひとつに情報処理能力があり、結合によって運動の質や量、範囲を調整できる。

 フューチャーデザインとは、未来的な形状をしているとか、ハイテクを駆使して作られているというものではない。優れた工業製品同様、地場産業の伝統工芸品もそうだ。また、健常者にも障害者にも有益なユニバーサルデザイン、人間工学に基づいて発想されたエルゴノミックデザイン、特定の条件下での生活をより良いものにするアプロプリエイトテクノロジーやロボット工学の成果も含まれる。

 さらには、南北格差問題の解決を契機に生まれたヒューマニタリアンデザイン(人道主義的デザイン)や、風力や地熱、植物などの自然の力を生活空間に生かすシステムもフューチャーデザインだ。キーワードは「持続可能性」(サスティナビリティー)。資源やエネルギーが健全に循環する社会の実現のために、過去と未来の両方に目を向けていく。

 今回はアフリカを舞台にしたいくつかの試みから、技術や事物のデザインだけでなく、良い循環を生み出す考え方としてのデザインについてイメージを膨らませてみたい。

モジュラー・ロボティクスとは?

 ロボット、という言葉で私たちが思い浮かべるのはどんなイメージだろう。鉄腕アトムやドラえもんのようなコミュニケーションできるロボット、繰り返し情報を与えることで成長していくトイ・ロボット、あるいはもっと現実的に工場の製造ラインで働く工業用ロボット…。

 先月来日した南デンマーク大学のロボット工学教授、ヘンリク・ハウトップ・ルンド博士が連れてきたのは、そのどれとも違う「モジュラー・ロボット」だ。

 その名のとおり、1つひとつのモジュールが自動抑制機能(プロセッサー、バッテリー、センサー、作動装置による)と、ソフトウエアを持ち、複数のモジュールが結び付くことで情報を共有しつつ目的に適った動きを取る。これがモジュラー・ロボティクスだ。

ブロックを組み合わせたり向きを変えることで複合的なサウンドを生み出す。

ブロックを組み合わせたり向きを変えることで複合的なサウンドを生み出す。

 「タンジブル・タイル」というタイル型のモジュラー・ロボットは、それを踏む人の運動(速度や強度)によって、多様に反応(内蔵された照明の点滅の頻度や位置、色が変化)し、子供や大人、高齢者など、それぞれの能力に対応して、最適な運動を引き出す。

 また、「ミュージック・ブロック」という立方体のモジュラー・ロボットには、その1つひとつに単純なリズムや音階、サウンドがプログラミングされている。ブロックの向きを変えたり、組み合わせることで、メロディーやサウンドを増幅させ、複雑なシンフォニーを奏でさせることも可能だ。

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著者プロフィール

若井 浩子(わかい・ひろこ)

若井 浩子

1967年東京生まれ。白百合女子大学文学部卒業。『商店建築』『wind』(商店建築社)編集部、『リビングデザイン』(東京ガス リビングデザインセンター)副編集長、『セブンシーズ』(アルク)編集部を経てフリーランスに。伝統工芸、現代アート&デザイン、ライフスタイル、社会制度について国内、ヨーロッパ、北欧諸国に取材し企画編集を手掛ける。著書に『リテリング──フェルトアートの世界』(青幻舎)。



このコラムについて

輝く北欧〜デザインで読み解く豊かさの秘密

豊かな自然に恵まれた北欧諸国は、実は世界屈指の経済大国の集まりでもある。「世界経済競争力」(世界経済フォーラム)のランキングでは、フィンランドやスウェーデン、デンマークといった国々が上位に並ぶ。一方で、北欧諸国は環境や福祉への取り組みも世界トップクラスだ。北欧の経済、社会システムはなぜ世界の先端に位置していられるのか。風土に根ざした感性をベースとし、経済や社会システムと密接なかかわりを持つ「北欧デザイン」を通して、北欧の強さの秘密を探る。

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