前回、モダンデザインの次世代思考としての北欧発、2050年のための「フューチャーデザイン」を紹介した。
モジュールのタイル1つひとつに情報処理能力があり、結合によって運動の質や量、範囲を調整できる。
フューチャーデザインとは、未来的な形状をしているとか、ハイテクを駆使して作られているというものではない。優れた工業製品同様、地場産業の伝統工芸品もそうだ。また、健常者にも障害者にも有益なユニバーサルデザイン、人間工学に基づいて発想されたエルゴノミックデザイン、特定の条件下での生活をより良いものにするアプロプリエイトテクノロジーやロボット工学の成果も含まれる。
さらには、南北格差問題の解決を契機に生まれたヒューマニタリアンデザイン(人道主義的デザイン)や、風力や地熱、植物などの自然の力を生活空間に生かすシステムもフューチャーデザインだ。キーワードは「持続可能性」(サスティナビリティー)。資源やエネルギーが健全に循環する社会の実現のために、過去と未来の両方に目を向けていく。
今回はアフリカを舞台にしたいくつかの試みから、技術や事物のデザインだけでなく、良い循環を生み出す考え方としてのデザインについてイメージを膨らませてみたい。
モジュラー・ロボティクスとは?
ロボット、という言葉で私たちが思い浮かべるのはどんなイメージだろう。鉄腕アトムやドラえもんのようなコミュニケーションできるロボット、繰り返し情報を与えることで成長していくトイ・ロボット、あるいはもっと現実的に工場の製造ラインで働く工業用ロボット…。
先月来日した南デンマーク大学のロボット工学教授、ヘンリク・ハウトップ・ルンド博士が連れてきたのは、そのどれとも違う「モジュラー・ロボット」だ。
その名のとおり、1つひとつのモジュールが自動抑制機能(プロセッサー、バッテリー、センサー、作動装置による)と、ソフトウエアを持ち、複数のモジュールが結び付くことで情報を共有しつつ目的に適った動きを取る。これがモジュラー・ロボティクスだ。
ブロックを組み合わせたり向きを変えることで複合的なサウンドを生み出す。
「タンジブル・タイル」というタイル型のモジュラー・ロボットは、それを踏む人の運動(速度や強度)によって、多様に反応(内蔵された照明の点滅の頻度や位置、色が変化)し、子供や大人、高齢者など、それぞれの能力に対応して、最適な運動を引き出す。
また、「ミュージック・ブロック」という立方体のモジュラー・ロボットには、その1つひとつに単純なリズムや音階、サウンドがプログラミングされている。ブロックの向きを変えたり、組み合わせることで、メロディーやサウンドを増幅させ、複雑なシンフォニーを奏でさせることも可能だ。
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