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負のクチコミと向き合う。

  • 須田 伸(スダシン)

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2008年5月28日(水)

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 前回の記事(ラグジュアリーブランドにとっての「銀座」と「ネット」)へのコメントで、「現実世界とウェブの関係の、負の側面についても、一度つっこんでいただければと思います。難しい問題かもしれませんが、硫化水素自殺などで見られたクチコミについてなどです」というリクエストを頂戴しました。

 そこで今回は、この「負のクチコミ」について、考えてみたいと思います。

検閲・通報では防ぎきれない

 まず最初に「ウェブには負の側面がある」ということから逃げるつもりはありません。たとえば自殺の方法であったり、犯罪行為の手口であったりといった、誰かを傷つける結果につながる可能性のある情報を、インターネット上で見つけることができるのは事実です。

 そして、こうした「負の情報」を完全にシャットアウトすることは、難しいと思います。サービスを提供している側でパトロールや通報を受け付け、多くの人が目にする前に削除する努力はすべきですし、法律に違反するような情報を掲示すれば、司法の手によって罰せられるべきです。

 「誰もが簡単に情報発信者になれる」というウェブの最も優れた側面は、「有害情報の発信」といったことに悪用されやすい。でも、だからといってそれをすべて未然に防ぐというのは、残念ながら現実的ではないと思います。

 パトロールや罰則の強化といったことで、取り締まる努力は、今後も継続すべきだと思います。しかし、自殺に関するクチコミなどは、一概に「悪意ある行為」と決めつけることができないケースもあります。さまざまな事情から、自殺を考えるような悩みを抱えている境遇にある人が、その心のうちをブログに吐露をする。それを読んだ別の人が、そのブログ記事に影響を受けて自分もまた自殺を考える。例えば、このような「負のクチコミの連鎖」には「悪意」は不在であり、そのブログ記事の書き込みを削除や取締りの対象にするのは難しいでしょう。

ウェブ上のネガティブは現実社会を映す鏡

 バーチャル世界における「負のクチコミ」が、インターネットによってのみ引き起こされているのであれば、現実の世界においての自殺にまでつながることはないでしょう。それぞれの方が現実世界で抱えるリアルな悩みや生き辛さがあるからこそ、実際の行為に及んでしまうのだと思います。時として「スプリングボード」の役目をネットが果たしてしまう不幸はあるかもしれませんが、すべてがネット上の世界のことだけで発生し完結することはないはずです。

 経済的な悩み、健康上の悩み、いじめ、引きこもり、精神疾患、理由はいろいろあるでしょうが、現実社会の悩みがまずあって、それを映す鏡のような存在としてウェブ上のネガティブな「負のクチコミ」が存在するのだと思うのです。

 自殺大国と言われる日本の現実社会が抱える問題が存在する限り、インターネットの情報をいくら規制しても根本的な事態の解決にはならないと思います。自殺以外の、たとえば犯罪の手口の紹介にしても、そうした情報を手に入れて犯罪をしようという気持ちがあって実際の犯罪につながるわけで、すべてがネット上にある情報のせいだと決めつけるのはどうかと思います。同時に、ネット上の情報が最後のトリガーになる場合もあるので、インターネットが責めを負う部分がゼロというつもりもまた毛頭ありません。

あらゆるメディアには暴力性が潜んでいる

 インターネットにもそうですが、それ以外のテレビや新聞といったあらゆるメディアは、増幅装置としての暴力性を内包しています。

 今回の硫化水素自殺にしても、メディアが報じることによって騒ぎが増幅されている部分が少なからずあります。インターネットが一般普及する以前にも、アイドルや有名人が自殺したという報道によって発生する後追い自殺なども過去に何度かありました。他にも犯罪を報道すれば、その犯罪の模倣犯を誘発するといった危険性があります。

 もちろん報道することによって注意を喚起し、事件や事故を未然に防ぐプラスの働きもメディアにはあります。それと同時にメディアの中の暴力性の存在を認め、いたずらに人々を煽ることの危険性をメディアの運営に携わる人間は認識し、注意する義務があります。また受け手の側の立場においても、メディアの暴力性の存在を知り、一定の冷静さを保つ必要があると思います。

 これは非常に難しいことですが、今後ますますメディアを通して接触する情報が増えるであろう中、認識しておかないことが大きなリスクとなりうるのです。

なにかできることから考える

 なにやらメディアの負の側面ばかり話してきましたが、私個人は「まずできることを考えよう」と思っています。今回の硫化水素自殺に関しては、ネットがその原因のひとつと指摘されていることもあり、以前から「取り締まる」こと以外のアクションがとれないかどうか、ずっと考えてきました。

 ひとつのアイデアとして実行してみたのが「みんなで自殺について考えて、ネット上で話そうじゃないか」ということです。

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