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今日も元気だ。タバコが○○○?

世界禁煙週間に“嗜好”してみませんか。

  • 須田 伸

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2008年6月3日(火)

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 ちょうど今は世界禁煙週間(5月31日から6月6日まで)です。

 ネット上では日々、さまざまなトピックで論争が巻き起こっています。その中でもタバコに関する議論は、冷静な話し合いで終わることは少なく、むしろ炎上に限りなく近い、言葉の殴り合いにまで発展するケースが珍しくありません(たとえば、こちら)。

 タバコという商品とそこに端を発しての論争は、みんなが一斉に叫ぶとどれだけのノイズが起きるかという社会実験のようにすら見えます。今回はこの長い歴史を持ち、広告とも関係の深い嗜好品「タバコ」に関して考えてみたいと思います。

最強のブランド広告

 すこし前まで、自動車レースの最高峰フォーミュラ1の車体は、マールボロやキャメル、JPSといったタバコ・ブランドのロゴマーク見本市のような時代が長く続いてきました。タバコ広告の禁止が各国で広がるにつれて、F1の車体からもタバコのロゴは消えましたが、タバコ会社は男の子が「カッコイイ」と思うモノとセットになるように広告コミュニケーションを設計してきたと言われています。(モータースポーツと広告関連の参考記事:「酒が生み、たばこが育てたNASCAR」)

 あらゆるタバコ広告は規制でどんどん縮小していっていますが、ブランドとしての世界観の刷り込みという意味では、マールボロのカウボーイであったり、ラッキーストライクのバイク乗りであったり、広告との接触が少なくなっても忘れがたい、深く刷り込まれたブランド体験を多くの人々が記憶している、稀有な商品ジャンルです。

 パッケージのデザインという点でも、その時代、その時代の、一流のデザイナーをタバコ会社は起用してきました。例えば20世紀を代表するデザイナーのひとりであり「口紅から機関車まで」というキャッチフレーズで知られるレイモンド・ローウィは、アメリカの「ラッキーストライク」や「バンテージ」といったタバコのパッケージ・デザインだけでなく、日本のタバコ「Peace」のデザインも手がけています。

 今では考えられないことかもしれませんが、以前はそうした「カッコイイデザイン」であるタバコのロゴマークが大きく入ったペンケースのような文房具が普通に売られていて、子供たちはそれを持って通学していました。その背景には、全盛期のタバコ広告が、価格であるとか、商品特性であるとかを連呼する「饒舌でうざったいセールス広告」とは対極の、美しい映像と短いキャッチフレーズで構成された「クールなブランド広告」であったことも大きく寄与していると思います(参考図書:『悪魔のマーケティング タバコ産業が語った真実』)。

米タバコ会社の会議室は禁煙だった

 広告会社勤務時代に隣の席の先輩がアメリカのあるタバコ会社の広告クリエイティブを担当していました。アメリカの本社でのプレゼンテーションから帰ってきたこの先輩が、面白く語ってくれたのが、「一緒に行ったKさんが、プレゼンの後の質疑応答の時にタバコをポケットから取り出したら、この会議室は禁煙だからタバコは遠慮してくれって注意されたんだよ。アメリカではタバコ会社であろうとエグゼクティブはタバコなんて吸わないんだってさ」というエピソードです。この話を聞いてほどなく私は禁煙しました。

 日本でも1990年代半ばくらいから「副流煙など受動喫煙に対する意識」や「健康のために禁煙の推奨」「公共スペースでの禁煙、分煙」などが本格化し始めました。この10年で飛行機は全面禁煙になり、新幹線もタバコが吸える車両のほうが少なくなりました。オフィスでもタバコが自由に吸える会社というのはもはやあまり見かけません。ホテルの禁煙フロアも一般化しつつあります。禁煙をうたい文句にするレストランも多いです。路上喫煙を禁止にする自治体も増えています。日本の喫煙事情は、この10年前で大きく変わりました。

 広告も同様です。タバコのテレビCMもなくなりました。パッケージ・デザインのかなりの面積を占める、より直接的な言葉の、「喫煙はあなたの健康に悪影響があります」という警告文が商品に記載されるようになりました。

 ところが、こうした変化のとらえ方は、愛煙家と嫌煙家で、まったく正反対です。愛煙家に言わせれば「禁煙ファシズムであり、ひとつの文化の破壊」で、嫌煙家に言わせれば「多少改善されたとはいえ、日本は相変わらずの喫煙者天国」なのです(参考記事:「『「タバコは百害あって一利なし」のウソ』 武田良夫著(評:速水健朗)~禁煙は、国策であるべきか?」)。

タバコ論争のあるところ、火はなくとも煙はたつ

 そしてこの10年で変わったのはタバコを取り巻く環境だけではありません。誰もが自由に自分の意見をネット上で戦わせることができるようになりました。新しいツールを得たことで従来よりさらに活発に、「禁煙ファシズム論」と「喫煙公害論」は、互いに交わることのない論争を繰り返している印象があります。

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