21世紀の早い段階で、製造業単体や製品単体による技術革新には限界が見えてくるだろう。
IT(情報技術)産業は、技術革新において先駆者である。20世紀には半導体やネットワークやPCなどの単体技術、要素技術によって、世の中が大きな進化を成し遂げることができた。しかし、21世紀は違った形でイノベーションが起きるだろう。
グーグルがいい例である。たくさんの要素技術をインフラとし、新しいビジネスモデルを考えた結果として、グーグルの新しいビジネスモデルが生まれた。グーグルのビジネスモデルは、社会システムを作るビジネスモデルと言ってもいい。社会を変えるビジネスモデルだからこそ急速に広まった。
今では、どのようなビジネスモデルでも半導体、ネットワーク、PCをインフラとして十二分に利用できる。これらの要素技術を活用して、どのような社会システムを創り出すかというテーマに対して、欧米の先進企業が先陣を争っている。日本の多くのIT企業は、米国のビジネスモデルを真似するビジネスが中心だ。もっと日本オリジナルなビジネスモデルを創造することが求められている。
自動車や環境・エネルギーの分野でも、IT以上に、技術単体の発想から新しい社会システム作りへの発想に切り替えていくことが必要だろう。
ハイブリッド車は過渡的な解決策の産物
環境にやさしい工業製品の代表例はハイブリッド車である。ハイブリッド車は、トヨタ自動車の主力商品の一角を占めている。だからトヨタの経営者に環境問題に対する解決策を聞けば、間違いなく、ハイブリッド車による社会貢献を語るだろう。当時の張社長の命の下、たった3年間でハイブリッド車という複雑な商品を販売にこぎ着け、さらにマーケティングにも成功したトヨタの力には敬服するばかりだ。
しかし、よく考えてみれば、こんなに複雑なシステムが長続きするとは思えない。内燃機関と電気推進のシステムを併せ持つうえ、この2つをコントロールする難しい制御系を持たなければならない。おまけにニッケル水素電池を使う場合は劣化が速いので、大きな費用のかかる電池交換が必要である。
車単体で環境エネルギー問題を解決しようとすれば、このような複雑な製品が答えになってしまう。大トヨタといえども自動車会社は、車単体の技術開発を行う企業だから、このような答えを提供するよりほかの道は与えられていなかったとも言える。
しかし、一方では、自動車会社の経営者の相当部分はハイブリッド車を過渡的な解決策と位置づけているに違いない。
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