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武器は“職人の誇り“~家電界の雄アマダナ

世界基準で戦えるデザイン家電(2)

2008年6月23日(月)

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 前回(「“愛着”こそ最強の絆~アマダナ人気の秘密)は、高級家電の設計を手がけるリアル・フリート社長の熊本浩志氏にデザイン家電の考え方に関するお話を伺いました。単なるオシャレ風なコスメティックデザインではなく、対象とするユーザーの生い立ちまで考慮して記憶をくすぐるような設計をする。単なる省力や利便の機能を提供する手段としての道具ではなくて、その道具そのものに愛着を感じてもらうことが、モノづくりに携わる者としての喜びであるというお話を致しました。引き続き、熊本さんに話を伺いながら、今回はビジネスのあり方という側面から同社の志を分析してみたいと思います。

デザイン家電

 同社は5年ほど前に創業したファブレスの企業です。商品企画は自社で行い、量産は大手の電機メーカーのラインを利用しています。当然、設計開発のプロセスでは製造側の技術者と何度もやり取りをしながら製品設計を進めていきます。ここまではよくある話ですが、問題は売る側です。大手量販店を介さないのが同社の基本思想です。ここが同社の存在意義にかかわる重要なポイントです。

 その理由を説明するには、まず同社の考える自社と顧客との関係性から話す必要があるでしょう。「ファンと演者の関係」というのが同社のイメージする関係性です。作り手がこだわりのモノを提案し、その広義のデザインに「粋」を感じる人が購入するという意味です。広義という言葉をつけたのは、前回のコラムで申し上げたように、単に外観的なおしゃれデザインという意味だけでなく、使い込んでいくうちに分かる、計算された愛着ポイントなども含めた「統合されたデザイン」という意味です。

「モノ売り文化」に圧倒されて「モノづくり文化」が衰退

 熊本さんは以前、大手の電機メーカーで営業や商品企画に携わっていました。そこで感じたことは、作りたいものが作れないジレンマだったと言います。予算が無いとか、上の人がコンセプトを理解してくれないというような話はどこにでもある話ですが、何より流通・小売り側との力関係の弱さが折に触れて気になったと言います。顧客に売り切るツボを心得ている大手量販店や大手通販会社に、「それも分かるけど、そうじゃなくて、こーいう仕様にしてくれればXX万台売り切りますよ!」と言われると、黙るしかなかったと振り返ります。

amadanaのヘアドライヤー

amadanaのヘアドライヤー

 簡単に言えば、直販ルートを失って顧客との接点を別の人に委ねた時点から、モノづくり文化の衰退は始まります。モノ売り文化の発言力が強くなるわけです。お客の声という金科玉条のカードを出されると、どうしても作る側の言い分は腰が引けてしまいます。売る側にはメーカーごとの独自性やブランディングを考慮している余裕も興味もありません。結果的に国内に林立する家電メーカーが皆同じような商品を作ることになり、価格競争力戦に持ち込まれて、低い利益率に常態的に悩まされるという構造に陥るのです。

 逆説的なようですが、「お客に何が欲しいか聞いても何も分からない」「作る側がこんなものどうでしょうか? と市場に出してみて、問うてみて、初めて市井の人たちは反応ができる」という考え方があります。顧客満足とかカスタマーソリューションというような美名のもとに、顧客に擦り寄ろうとして、それも量販店という別の「モノ売りメカニズム」で動く人に預けてしまっているが故に、わざわざ特徴の無い、作りたくもない、作る側にフラストレーションの溜まる商品を出荷し続けている。というのが今日の家電品の惨状であるということです。

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「武器は“職人の誇り“~家電界の雄アマダナ」の著者

川口 盛之助

川口 盛之助(かわぐち・もりのすけ)

盛之助 代表取締役社長

戦略コンサルティングファームのアーサー・D・リトル・ジャパンにてアソシエート・ディレクターを務めたのちに株式会社盛之助を設立。研究開発戦略や商品開発戦略などのコンサルティングを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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