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それは、あえて流行にしたくない

  • 須田 伸

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2008年7月15日(火)

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 今朝、エレベーターで一緒になった見知らぬ男性の左手に、少し懐かしい感じのする白いバンドを発見しました。

 数年前、「私は世界の貧困問題に関心を抱いている」というメッセージとして、この白いリストバンドが大流行したことがありました。しかし今では、私がエレベーターの中で「あれ、珍しいな」と思ってしまうように、あまり見かけません。では、世界の貧困問題が減少しているとか、関心が高まったという話も聞きません。ムーブメントは定着することなく、流行として終わってしまったようです。

 通常の商品やサービスであれば、大流行した数年後に「あ、そんなのあったね」という存在になってしまう、そのようなことは珍しくありません。しかし、貧困問題への取り組みまで、ひとつのファッションとして消費されてしまうことは、とても残念です。

爆発的ブームは煙のように去る

 お笑い芸人のライフサイクルが短くなっていると、以前にもこのコラムに書いたことがあります。当時「そんなの関係ねぇ!」で人気急上昇中だった小島よしおさんについて触れました(コトバの「瞬間消費」時代に生き残るには)。

 記事が掲載されたのは昨年の11月です。そんなに時間はたっていませんが、今はテレビで見かけることも少なくなりました。一気に話題になり人気を集めたものが、あっという間に「それもう、古い!」となってしまう。これは、お笑いだけに限らないようです。

 もちろんこうした現象はいつの時代にも存在したものだと承知していますが、特にコミュニケーションの技術が進歩し、情報の流通量が爆発的に増えたことで、お祭り騒ぎの一時的な人気がピークを迎えるのも、ピークを過ぎた後に飽きられて消えてしまうまでの時間も、確実に短くなっていると思います。

 つまり一気に盛り上がるということは、そう遠くない未来において、しぼんでしまうことを意味します。

短期間では達成できないゴール

 貧困問題のリストバンドの流行は終わり、今は地球環境への取り組みが注目を集めています。

 環境問題への関心は過去にくらべ高くなっていることは間違いありません。地球温暖化や、オゾン層の破壊、二酸化炭素の排出量といった、環境問題を取り巻くさまざまな側面に関する知識も、報道などを通じてかなり広まっています。また地球環境への取り組みは、地球に生きている全員に関係のある事であり、地球環境のためにできること、とはすなわち、そこで暮らす生命のためであり、ひいては自分自身のためにできることである、ということも、多くの人が理解しているところです。

 しかし、言うは易し、行なうは難し、です。

 我々は過去の人類と比べ物にならないほどのエネルギーを消費し、ゴミを出して暮らしています。個人であれば、電気やガスを使い、バスやタクシーに乗り、さまざまなサービスや商品を購入して、生活をする。企業であれば、従業員を雇い、オフィスや工場を整備し、商品やサービスを生み出し、それを顧客に販売する。

 こうした当たり前の生活の中で、当たり前に二酸化炭素は大量に排出されている。ということは、いま享受しているさまざまなことを改めなければ地球環境の保全のための取り組みはできません。それも、1年や2年ではなく、長期にわたって継続しなければならないのです。とうてい一時期的な流行で解決できる課題ではありません。

我慢できない人だっている

 洞爺湖サミットで、数値目標をめぐる議論の中で出てきたのが、インドや中国が参加しないのでは意味がない、という言葉です。21世紀の主役と言われる国々では、これから経済成長の果実を味わう時期です。「資本主義のもたらすパーティに遅ればせながら参加」しようとしているわけです。

 アメリカではガソリンの値段の高騰からプリウスのようなハイブリッドカーの売上が伸びていて、一時期売れたSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)などは燃費の悪さから売上が減少している。一方で、中国では「富の象徴」として引き続き販売好調という報道(「中国ではSUVブーム?」)を見ました。「我慢するのは、既に楽しんだ連中のほうでやってくれ」というところでしょうか。

 日本人であっても、環境に配慮して暮らすどころか、毎日の生活をつなぐことで精一杯で、地球環境に配慮だとか、エコなんて言っていられない、という人も少なからずいるでしょう。明日の自分もわからないのに、50年後、100年後の地球のことを考えて暮らすなんて、無茶なこと言わないで。そんな風に感じている人がたくさんいても不思議ではありません。

ヒット商品「カーボンオフセット」

 去年まで聞かなかったのに今年になってよく聞く言葉といえば、「カーボンオフセット」があります。なにか活動した際に排出されるCO2を相殺する、つまりは「チャラにする」だけの二酸化炭素を減らす活動、植林や風力発電を行う代金を支払う。これが、カーボンオフセットの基本的な考え方です。

 排出するCO2を最小にするように努力するというのも、カーボンオフセットの定義に含まれるのですが、極端に言ってしまえば、通常の料金に加えて「オフセット分の代金」を余計に支払う、これだけで「カーボンオフセットした」という旗印を掲げることができます。

 例えば個人が旅行をして、飛行機に乗っても「今回の旅行は、通常の航空運賃に加えて、カーボンオフセットの代金を支払っているから、環境にやさしい旅行だね」ということになります。

 では、なんでも「オフセット」すればそれでいいのか、という疑問も持ちます。

コメント3件コメント/レビュー

地球温暖化にCO2は関係ないという説があります。そもそも地球は温暖化していないという説もあります。それなのに京都議定書やら洞爺湖サミットやらで、既成事実のように議論が進んでいます。最初は、なんて馬鹿なんだろうと思いました。しかし、政治家の方々はそんなこと先刻ご承知なのではないでしょうか。知っていて、無駄な温暖化対策を進める。そこに新しい利権が生まれるからなのだと思います。(2008/07/15)

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いただいたコメント

地球温暖化にCO2は関係ないという説があります。そもそも地球は温暖化していないという説もあります。それなのに京都議定書やら洞爺湖サミットやらで、既成事実のように議論が進んでいます。最初は、なんて馬鹿なんだろうと思いました。しかし、政治家の方々はそんなこと先刻ご承知なのではないでしょうか。知っていて、無駄な温暖化対策を進める。そこに新しい利権が生まれるからなのだと思います。(2008/07/15)

ホワイトバンドの舞台裏は未だに知らない人が多いと思います。こうした善意を悪用するビジネスは今後も増えていく可能性が高く、警鐘を鳴らし続けることはマスコミの重要な責務と考えています。一歩間違うとマスコミ自身が広告という形で悪意の片棒を担がされることすらあるのですから……。(2008/07/15)

環境問題をブームに終わらせたくないというのは冷静な視点だと思います。もう少しつっこむと、新興国へのCO2削減参加要請は、排出権取引の販路拡大という目的が大きいのではないでしょうか。わたしたち一人一人の地道な努力が大切であることは言うまでもありませんが、裏切られるのは末端の消費者というのが常。ならば、車を控えて歩くようにしたらメタボが解消された、というほうが、裏切られたときのダメージが少ない。あまりブームに乗せられすぎると、ともすると新たなクレーマーの出現を招きかねない。目くじらを立てて電気を消して回って家庭不和を招かないようにも気をつけたい。そんなことも長続きの秘訣でしょうかね。(2008/07/15)

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三品 和広 神戸大学教授