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単純だが悩ましい、
情報システムの“うっかりミス”

2008年7月17日(木)

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 思いもよらなかった間違いをしでかした経験は誰にでもあるだろう。なぜ間違えたかと質されても「つい、うっかり…」としか答えられない。情報システムの世界でも“うっかりミス”はある。ミスの単純さに比べ、影響が及ぶ範囲は広く、実に悩ましい。

 5月から6月末にかけて、情報システムに関するうっかりミスについてずっと考えていた。「日経コンピュータ」7月15日号の特集記事、『「うっかりミス」は無くせる』のデスクをしていたからだ。デスクとは、現場の編集記者を支える役回りである。取材をして記事を書くのが編集記者だが、デスクは彼(彼女)らの書いてきた原稿を読んで修正したり、書き方を助言したりする。筆者の本業は記者であるから、本当は一人で原稿を書いていたいのだが、時にはデスクも務めることがある。

 うっかりミスとは、いわゆるヒューマンエラーと言われるものである。発電所や交通機関、航空管制といった巨大システムにおいては、ヒューマンエラーによって人命が失われることがあり、このエラーにどう対処するかが大きな問題となっている。情報システムにおけるヒューマンエラーとは、システムの設定間違い、操作ミスなどだ。

 情報システムを動かすためには、そこで使われているコンピューターのハードウエアやソフトウエアに対し、所定の数値やデータを入力しておかないといけない。この作業をパラメーター設定と呼ぶが、昨今の情報システムは、ものによっては数百個ものパラメーターを設定しないといけない。設定を誤るとシステムの誤動作につながる。また、ある処理をするために、複数のソフトウエアを順を追って動かす場合がある。ここで、動かす順序を間違えると正しい結果が得られないし、時にはシステムが止まってしまう。これもうっかりミスの1つである。

トラブルの半数はうっかりミスから

 分かりやすく書こうとした結果、かえってまだるっこしい文章になったが、言いたかったのは、情報システムのうっかりミスそのものは非常に単純だ、ということである。例えて言えば、書類の記入ミスや送付ミスに近い。それだけに、なくすことは簡単ではない。前述の特集を書いた記者が、「日経コンピュータ」が最近取り上げた情報システムのトラブル事例を分析したところ、トラブルの半分はうっかりミスによるものだった。

 うっかりミスが悩ましいのは、テストを繰り返しても防げないことだ。情報システムの実体である、コンピュータープログラムの記述間違いについては、テストを繰り返せばなんとか見つけ出せる。だがテストを重ね、間違いが非常に少ないプログラムに仕上げたところで、そのプログラムを動かす時期ではない時に動かそうとしたり、前述のように誤ったパラメーターをそのプログラムに書き込んだ場合、トラブルが起きてしまう。

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「単純だが悩ましい、
情報システムの“うっかりミス”」の著者

谷島 宣之

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BPビジョナリー経営研究所

一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。1985年から日経コンピュータ記者、2009年1月から編集長。2013年から現職。プロジェクトマネジメント学会員、ドラッカー学会員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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