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あなたを深く知りたいから、見つめていたい…

街中の看板が自らの視聴率を計り始める時(2)

2008年8月11日(月)

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 前回はNECソフトの開発した顔分析機能付き広告媒体「Field Analyst」を取り上げました(「私の眼はゴマかされません、年齢はお見通し!」。街頭を歩く顧客の顔画像から性別や年齢を推測する技術と、それに街頭広告ディスプレー装置のデジサイ(Digital Signage)を組み合わせ、TPOに最適化したコンテンツを配信するシステムについて紹介しました。顔からその人の属性を推定するこの技術は、将来、着ている衣服からも同様に属性分析できる方向に進化するだろうというお話も伺いました。

性別や年齢層を自動推定できる「Field Analyst」と、開発マネージャーの金子賢一さん(写真:小久保 松直)

 顔情報に含まれている属性情報としては、性別や年齢、人種などがあります。衣類やアクセサリー、化粧、ネクタイなど身に着けているモノの属性情報からは、個人の趣味・嗜好や制服的な帰属集団の推定も可能です。

 一方、これら一連の属性情報とは質の異なる「現況情報」というものも私たちの外観情報には含まれています。顔ならば「表情」や「視線」などがあり、身体全体を見ればそのボディーランゲージとしての動作・仕草があります。属性と違って、時々刻々とうつろう刹那的な内容で、その人の意思とか心理のような内面的なメッセージをもたらす情報源です。

 今回のコラムでは、昨今急速に実用化レベルに入ってきた一連の画像認識技術、特に現況系の解析技術の拓く市場について考察をしてみることにしましょう。

あなたがどこを見ているかをとらえる「視線分析機能」

 顔の現況情報と言えば、何と言っても表情。喜怒哀楽には多彩な意味が含まれていますが、このあたりの話は以前スマイルシャッターの折(「敵機ロックオン技術で赤ちゃんの笑顔を捕捉する」に致しましたのでスキップして、今回は「視線」について考えてみます。

 視聴率という言葉を前回から繰り返し用いてきましたが、顔認識だけでは厳密には視聴しているかどうかは不明です。カメラで人の顔と認識できるくらいなので、きっとこちらの方を眺めているのだろうという推測です。しかし視線認識技術を出動させれば話は別。もはや推測の域ではなく、今何を見ているのか、どこに興味を持っているのかを高い確度でとらえることができるのです。

 この視線分析機能、机上のパソコン画面を見ているシーンなどでは、本体側に取り付けたカメラを用いて解析するシステムが実用化されています。目的は、ウェブサイトなどの画面設計時に、そのアイキャッチ効果などを分析するものです。画面が出た瞬間から、まず人の視線はどこから入って、どこにどれくらい滞在したあと次はどこに移動するのか? そのような分析結果をもとに、画面デザインの試行錯誤を繰り返して、他のサイトに逃げてしまわない画面作りを目指すというわけです。

 テレビ電話用に、モニター上部の額縁部分に既にカメラが内蔵されているPCもありますから、本人の承諾さえ得られれば、「あちら側」としては、普段使う際にものどから手が出るほど欲しい情報でしょうけれど、なかなかプライバシー問題の敷居が高そうです。

AIDMAの“謎の領域”をこの認識技術で把握したい

 ずいぶん前から身近なシーンに既に入り込んでいた視線認識技術もあります。例えば高級一眼レフカメラのファインダー内部に仕込んでありました。キヤノン「EOS5 QD」は1992年に発売されたモデルですが、世界初の視線検知機能が搭載されていました。覗き込んでいるファインダー画面のどの部分を今凝視しているのかを検出してそのポイントにフォーカスを合わせるという優れものです。

 この場合、目の位置がマシンに近接して固定されているので、瞳の様子を分析し易かったのです。これがパソコン作業となると、数十センチの距離に遠ざかりますし、さらに街頭のデジサイとなると数メートルとなるので、視線をとらえるのは技術的にとても困難になります。

NECソフト研究開発マネージャーの金子賢一さん(写真:小久保 松直)

 技術の発達とは毎度説明しておりますように、「弱い人向け」や「強い人向け」の極端に切実なシーン用で先行して開発されるという法則があります。本技術で最も弱い方向けとしては筋萎縮症など重度の障害者が意思を表現するための支援ツールとして開発が進んでいます。ベッドの上に設置した大きな「あいうえお…」の文字表を見ながら視線を動かすだけで、キーボードを叩くように文章をパソコン上に表現できるという福音技術です。

 逆に強い人のシーンとしては、手ふさがりのプロフェッショナルシーンが挙げられます。戦闘用ヘリコプターのアパッチやコマンチという機種には、ヘルメットの向きを読み取るシステムがあり、機体下部のガトリング機関砲の狙う方向と連動しています。さらに攻撃目標を絞り込んだら、ヘルメットから片目上部に張り出している小型のディスプレー上の画像の照準点に視線を合わせることで、目標がロックオンされるという火器管制システムが導入されています。大忙しの戦場で生死を懸けたシーンにも病室と同じような技術が導入されているわけです。

 それほど切実でなくても、日常の自動車運転という作業も人を危める可能性のある危険なシーンですが、まぶたの開閉状況から居眠りを検知したり、道路標識や歩行者などの要注意対象物を認識しているかどうかの確認用に視線を分析する研究開発が進んでいます(関連記事)。

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「あなたを深く知りたいから、見つめていたい…」の著者

川口 盛之助

川口 盛之助(かわぐち・もりのすけ)

盛之助 代表取締役社長

戦略コンサルティングファームのアーサー・D・リトル・ジャパンにてアソシエート・ディレクターを務めたのちに株式会社盛之助を設立。研究開発戦略や商品開発戦略などのコンサルティングを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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