40代の転職、5割が勤続年数2年未満
企業の中核を担う40代前半。厚生労働省の雇用動向調査(2006年)によると、40〜44歳の離職者のうち、53.9%が勤続年数2年未満。2004年よりも1.9ポイント高まった。45〜49歳を見ても、同期間で2.9ポイント上昇した。全体では2.4ポイント減だけに、40代の勤続年数の短期化が目立つ。この問題の根は、実はIT(情報技術)の抱える悩みと同じかもしれない。
少し前、知人の経営者から電話をもらった。沈んだ調子で、「今晩、酒に付き合ってほしい」とポツリ。彼の会社は小規模ながら順調に成長を続けており、その知人自身も普段は明るい御仁なのだが、その日に限ってはいつもと違う。もしや資金繰りの悪化でもあったのかと心配になり、居酒屋で話を聞くことにした。その内容とは…。
事業は順調だが、人手が足りない。中途採用でまかなおうと、時間をかけて丁寧に候補者と話し合った。吟味に吟味を重ねて、1人を選んだ。その彼が入社して3日目の朝。頼れる人材を得て、胸躍らせつつ出勤した自分の机の上に、彼の退職願が置いてあった――。
ひとまず経営危機は杞憂だったことに胸をなでおろし、「残念だけど、こればかりは仕方ないし、よくあることと割り切りましょう」と励ましたのだが、話はさらに続く。
この会社、すでに数年の事業経験があり、経営も極めて堅実である。その割りに、人の出入りが活発だったのは前から気になっていたが、定着する人は定着し、それなりに満足している様子だったので、私も「労働市場の流動性が高まった結果」という程度の認識だった。しかし知人曰く、今回のようなケースが、ここ数年で増加しているというのだ。
何が問題なのだろうか。知人によれば、特に変わったことはしておらず、時間をかけて徐々に会社の色に馴染み、チームとしての意識や結束力を高めてもらいたい、ということを終始一貫して伝えただけだという。確かにそれだけを聞くと、組織人としてごく当たり前のことを伝えているだけのように思える。当初は私も返答に窮してしまった。
不合理な美辞麗句に興ざめ?
しかし知人の言葉を私の中で反芻するうちに、「もしかすると、その姿勢にこそ、原因が隠されているのではないか」ということに気づいた。採用された側の立場で知人の言葉を今一度とらえなおしてみると、実はその言葉には合理性が乏しく、ゆえに仕事のモチベーションや忠誠心をむしろ低下させる要因が含まれているように感じたからだ。大きく2つのポイントがある。
1つは「会社の色に染まっていく」ということ。一見、当たり前のように思える言葉だが、新参者としては、なぜそうした暗黙知やローカルルールに染まる必要があるのかが分からない。その会社が圧倒的なグローバルトップ企業ならさておき、そうでないなら、会社の色に染まることとその会社がしっかり稼ぐことの間に、一義的には相関性はないはずである。そこで色がどうこう言われても困る、というのが正直な気持ちかもしれない。
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1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修士課程修了。学生時代からインターネットビジネスの企画設計を手がけ、卒業後は三菱総合研究所にて情報通信事業のコンサルティング、IPv6やRFIDなど次世代技術の推進、国内外の政策調査・推進プロジェクトに従事する。2007年1月に個人事務所を開設。現在は戦略立案や事業設計を中心としたコンサルティングや、経営戦略・資本政策などのアドバイス、また政府系プロジェクトの支援等を提供している。クロサカタツヤ事務所代表、株式会社企(くわだて)取締役。






