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私は二枚舌でしょうか?
~匿名の価値を認めつつ、怖いとも思ってしまいます。

  • 須田 伸

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2008年8月12日(火)

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 1週間、お休みをいただきました。前回の記事(「NHKスペシャルの衝撃~企業広報が「覚悟」すべきディスコミュニケーション」)に対しては、多くのコメントを頂戴しました。ありがとうございました。さまざまな意見があり、非常に参考になりました。こうした形で多くの方々の知恵や解釈を共有できることが、インターネットの良さであり、使い古された言葉ではありますが「2.0的」だなとあらためて思いました。

 とりわけ「筆者は神経質すぎるのでは?」「戦後まもない頃の日本の風景も同じだった」といったコメントは、指摘という意味でも、新たな知識という意味でも、実にありがたく拝読いたしました。日経ビジネスオンラインのコメント欄は匿名で記入することができますが、世間で言われているような「匿名という壁に隠れて好き勝手言いやがって」といった指摘は当てはまらない、「ポジティブな価値」を、私は感じることができました。重ねて御礼申し上げます。

 そして、今週なのですが、また最後に、皆さんのご意見を伺いたいと考えております。質問のタイトルは「今回の記事を読んで、私、スダシンは、二枚舌(ダブル・スタンダード)だと思いますか?」です。最後にそういう質問が待っていると、心のどこかにとめながら読んでいただけると嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。

「毎日jp」事件をどう見るか?

 既に日経ビジネスオンラインでも記事になっているので、ご存知の方も多いと思いますが、外国人記者がノーチェックで日本に関する出鱈目な英文の記事を配信し続けていたことに端を発して、ネットユーザーが広告主に毎日jpへの広告出稿をとめるよう電話する、いわゆる「電凸(語源は「電話突撃」)」行為によって、毎日jpの広告がすべて自社稿になった「毎日jp事件」。これに関して、自分が感じていることを書きたいという思いが当初からありました。しかし、なかなかうまく表現する自信がない。そんなモヤモヤを抱えていたわけですが、今週は読者の皆様に私の感じているモヤモヤも含めて、すべて提示した上でご意見を頂戴したいと思います。

 まず、冒頭に書いたように、私はネットによって大勢の人が情報発信できる社会になったことを、ポジティブにとらえています。

 そして、今回の事件に関しては、毎日新聞の側に重大な落ち度があったと見ています。なので、そういう意味からは、CNET JAPANで佐々木俊尚さんがおっしゃっている意見に近しい感情を持っています(CNETの佐々木さんの記事には、私の知らなかった情報が多数書いてあり、まだ読んでいらっしゃらない方にはご一読をおすすめします)。

 しかし、勝者=正義のネットのユーザー。敗者=ヘマをした毎日新聞。ということで、「以上終了」とできない、モヤモヤがいまだ心の中にあるのです。それは、私がこのことに関して、公の場で文章化することに躊躇してしまうことの最大にして唯一の理由です。それは「このような匿名の刃の向き先が自分に向かってきたらどうしよう!?」という恐れです。

 今回の一件は、明らかに毎日新聞に落ち度があります。しかし、それに関して「自分はモヤモヤした気持ちがある」と書くことで、「スダシンは毎日新聞を擁護しているぞ。攻めろ!破壊しろ!」とされてしまうのではないか、私個人だけでなく、家族や友人、所属している会社にまで迷惑をかけてしまうのではないか、という恐れです。

 それを乗り越えて、今回、文書にまとめているのは、前回のNHKスペシャルの番組に関する私の視座に対して、キチンとした批判が集まったことによって「この場所であれば、ちゃんと会話ができる」という安心感を持つことができたからです。それでも、冷静に書きたかったこともあり、1週間、時間をおいて書くことにしました。

爆笑問題太田光さんへの殺人予告

 7月27日に、インターネット掲示板「2ちゃんねる」に、漫才コンビ「爆笑問題」の太田光さんへの殺人予告を書き込んだとして、32歳の男性が逮捕されました。この容疑者の男性は自宅のパソコンから「爆笑問題の太田を殺します。包丁で刺し殺します。これは犯行予告だ」などと書いたということです。

 私は、太田さんがテレビで「ネットの匿名掲示板をひねりつぶしたい」などと発言したことでこうしたコミュニティの「住人」から反感を買っていたことは知っていました。この太田さんの意見に対しては、私は匿名性の価値というものを完全否定するのは一方的すぎると感じています。

 しかし名前をあげられて「刺し殺します」などと書かれるような発言とは思いません。著名人ということで様々な憶測や噂が書き込まれる掲示板に対して「ひねりつぶしたい」という発言に至る感情は理解できます。しかし、そうした「一定の理解」すら、表明することによって「じゃあ、お前も刺し殺してやる」と言われたら怖いので、ためらってしまう。私自身の中で、そんな抑止力が働いてしまっていたのです。これは、おそらく私ひとりではないと思います。また、これは表現の自由に対する脅迫行為だと思います。ひとりの容疑者は逮捕されましたが、それで終わりとは到底思えない恐ろしさがそこに存在しています。

映画『七人の侍』のあのシーン

 黒澤明監督の名画「七人の侍」にこんなシーンがあります。村を狙う野武士の集団のひとりを、村を守る七人の侍たちの中の数名が、森の中で生け捕りにします。このとらえた野武士からさまざまな情報を聞きだすために、縄をうって村に連れて帰るのですが、鍬をふるいあげた村人たちによってなぶり殺しにされてしまいます。このリンチに対して、さしもの七人の侍たちも「何もかも白状して、命乞いしている男をむげには出来ない」と静止を試みるのですが、結局は止めることはできずただ呆然と見つめるしかできません。侍と一緒に映画の観客も、これまで虐げられてきた農民たちの怒りのすさまじさを思い知らされるシーンです。

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