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希薄な目的意識と、時間単価の“共犯関係”

下がり続けるIT関連業務の賃金

  • クロサカ タツヤ

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2008年8月28日(木)

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システムエンジニアの時間給は5年で約2%減

 給与や賞与の合計額を労働時間数で割った時間給。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を基に、2002年を100としてシステムエンジニアの時間給を算出すると2007年は98.1にまで下がっている。プログラマーの時間給も同様で、2007年は97.7となる。IT(情報技術)による生産性向上が付加価値を生んで労働対価を押し上げる――。そうはなっていない現状が浮かび上がる。

*お詫びと訂正
 上の時間給の数値を記事掲載時点で「5年で約14%減」と記していましたが、正しくは「約2%減」の誤りでした。時給換算する際の編集部の計算が間違っていたため、訂正させていただきました。関係者の皆様にお詫び申し上げます。(9月9日 編集部)

 打合せが長引きがちで、タクシーを利用することが少なくない。渋滞して料金メーターが回るたびに心の中で小さなため息をつくのも事実だが、最近はそうひどい渋滞に巻き込まれることもあまりなく、一応納得できる。

 昔から肩こりがひどく、時折マッサージを受けている。都内だと10分につき1000円前後。1時間も受けるとちょっとした贅沢となってしまうが、終わった後は肩が軽くなり、満足度は高い。

 タクシーやマッサージのように、時間をかけることで一定の成果が得られるサービスなら、時間単価でチャージされることに違和感はない。反対に、時間を費やしても本当に成果が得られるか分からないサービスでこのビジネスモデルを適用されると、ユーザーとしては気が気でない。何をいまさら、と言われそうな当たり前の話だ。

 ところが、そんな当たり前がまかり通らない世界が、日本の企業社会にはある。例えば政府系のプロジェクトでは、業務の中身に関わらず単価と工数による見積もりがベースだし、システム構築の世界でも同様の姿をしばしば見かける。かくいう“流しのコンサルタント”たる私も、一曲いくらではなく、時間単価で動くことがままある。

 調査業務のように、一定の時間を費やせば、前に進む性質の作業なら、まだ理解はできる。だが経営戦略の立案や、事業の売却・買収のような、時間と成果の相関性が低い業務の場合、少なくとも時間単価だけで考えるのは無理がある。それでも、時間単価とそれ以外の方式(固定の報酬や成功報酬など)を組み合わせるようなビジネスモデルが受容されるケースは多くなく、相変わらず時間単価と工程数が跋扈しているのが現実だ。

 こうした状況に陥る理由として、まずユーザーの側でゴール(やりたいこと、達成したいこと)が明確になっていないことが挙げられる。それこそ「何を、なぜ、どうやって?」というごく一般的な“5W1H”の問いでさえも、定かでない。大抵はどこかで自社都合が含まれていたり、何らかの背景や制約条件が目的に先立っていることが多い。しかも請け負った側は、当初はそれを教えてもらえず、後になって進捗が滞ってからデッドロックとして表面化する。

行き先を告げずにタクシー乗りますか?

 ゴール不在とコインの裏表の関係にあるのが、プロジェクトの価値評価の曖昧さという問題である。ゴールが定まっていない以上、そのゴールに対する価値評価もできない。価値が分からない以上、それにどれくらいのコストを費やせばいいのかも分からない、ということである。つまり、原価計算ができないのだ。

 冷静に考えると、ヘンだと思う。要は、タクシーに乗ったはいいが、行き先がはっきりしないまま走り出しているようなものである。メーターは回っているけれど、最終的にいくら取られるか分からない。本当に乗客としてそれで不安はないのだろうか。

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