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ガソリン高騰時代のクルマ選び(3)

ディーゼルエンジン悪者論と最新モデルの燃費

  • 牧野 茂雄

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2008年8月25日(月)

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 石原慎太郎東京都知事がPETボトルに入った黒い物体を振りかざし、「我々はこんなモノを吸わされている」とブチあげたのは1999年8月。ここからディーゼルエンジン(DE)排斥運動は始まった。

 東京都が独自の排ガス規制を打ち出し、結果的には国の規制もそれに合流、日本は世界で最も厳しいDE排ガス規制の実施国になった。ところが、局地的大気汚染を引き起こすDE排ガスの問題よりも地球温暖化をもたらす温室効果ガスとしてCO2(二酸化炭素)排出が問題になっている昨今、自動車交通部門でのCO2排出抑制策の1つとして、にわかにDEが注目されるようになってきた。今秋以降、国内自動車メーカー数社が最新DE搭載車を発売する予定だ。さて、今どきのDE車の実力とは、どんなものなのだろうか。

アウディ

アウディの3リットルTDIエンジン。通常のV型6気筒に比べて全長を短くするよう設計が工夫されている。不快な振動を除去するバランサーシャフトを内蔵。本体の前方にあるのは吸気を冷やすチャージクーラー

 2年ほど前、独アウディ「A8」のターボDE車「3.0TDI」に乗ることができた。燃料系システムを供給している独ボッシュの日本法人所有の社用車だった。欧州へ取材に出掛けた折には燃費の良い小排気量ターボDE車をレンタカーで借りることが多いが、新世代の大排気量ターボDE車は初めてだった。そして驚いた。

 通常のガソリンエンジンは吸入空気量を増やしたり減らしたりして出力/トルクを調節するが、DEは燃料そのものの噴射量を変えて調節する。低回転域では吸気スロットルを少ししか開けず、そのために空気がなかなか入ってこないガソリンエンジンは、低回転での効率の良い運転が苦手だ。

DE車

欧州で販売されているDE車群。この試乗車はすべてボッシュ日本法人の所有。カタログに走行1キロ当たりのCO2排出量が記載されているが、総じてDEは排出が少ない。燃料費をセーブできるというユーザーメリットが注目されている

 しかしDEは、燃料を必要なだけ噴射すれば、すぐにもりもりと力が出る。「A8」はアイドリング回転数のすぐ上、毎分1100回転あたりからじわりと力を出す。そして、わずか1400回転で最大トルクに達する。アクセルペダルをゆっくりと踏み加えるとターボが効き始め、トルクが盛り上がる。まるで米国車の5000ccガソリンエンジンのようだ。

 アクセルペダルを少しだけ踏む/少しだけ緩めるという右足の操作に対してエンジンがほどよく反応する。決して過敏ではなく、最初に運転者の背中をポンと叩いてくれるような反応があり、そこからジワッと力が出る。

最新のディーゼルエンジン車の実力の高さに驚いた

 ボッシュの第3世代コモンレールシステムは、最大1600気圧という高圧で燃料を噴射するため、燃料が超微粒化し、空気とよく混ざる。しかも噴射のタイミングはミリ秒単位で、噴射量は1000分の1cc単位でコンピューター制御される。DEでは燃焼温度が高くなるとNOx(窒素酸化物)が発生し、逆に温度の低い燃焼だと燃料成分の「燃え残り」としてPM(パーティキュレートマター=微粒子状物質)が発生する。最新のDEは、この両方をうまく抑えるよう燃焼制御を行っている。

 この「A8」ですっかり最新DE車の虜となった私は、以後、機会があるたびにDE車に乗った。コモンレールシステムの噴射圧は、今や2000気圧に達した。燃料の超微粒化をさらに進め、燃え残りを極限まで減らす努力は現在も続いている。

コメント11件コメント/レビュー

欧州に在住しているものです。仕事柄、今回の記事のありました内容についてはいつも気にしております。西洋の人達は環境問題に熱心に取り組んでいるイメージがあります、もちろん、本当にそうですが、ただ本音と建前をうまく突き合わせ、(消費者としての)自分自身の利益とをうまく天秤にかけ、バランスの取れたところで手を打っているという感じがします。なぜ欧州でディーゼル車50%前後まで普及しているかというと、燃料代が安くて運転が楽しいからです(試して下さいといえないのがつらいですが、本当に最近のディーゼル車は運転が楽しいです)。軽油の方がガソリンよりも安い国(フランス、イタリア等)ではディーゼルの普及率がとても高く、イギリスなど、そうでない国での普及率それほどでもありません。車を買おうとする人は車両の価格差と予想される年間走行距離、リセールバリュー(一般にディーゼル車は下取り価格も高い)等を考慮し、自分に利益が出そうなもの選んでいます。日本でディーゼル車が普及しなかった原因は、記事や他の方のコメントにもありましたように、規制の違い、燃料性状の違いに加え、(日本独自の仕様を開発して利益が出せるかという意味での)市場規模、ユーザーの好みやディーゼル車に対するイメージの違い、ユーザの平均的走行距離の違い、その他技術的要因を解決するために必要なコストを回収できるかどうかに関する(メーカーのよる)予測結果等を複合的に影響した結果だと思います。欧州で発売されている(自社製)ディーゼル仕様のある日本車などは現地で大変評判が良く、日本のメーカー(あるいは日本人)が開発したディーゼルエンジンが欧州車に搭載されている例もあり、日本メーカーがディーゼル車を作れないということはありません。個人的には日本でもディーゼル車が多く発売され、選択肢が増えて欲しいと思いますが、車両の価格差と(私の場合)年間10000km程度の使用頻度を考えると、ディーゼルにするかどうかは微妙なところです。(2008/08/28)

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

欧州に在住しているものです。仕事柄、今回の記事のありました内容についてはいつも気にしております。西洋の人達は環境問題に熱心に取り組んでいるイメージがあります、もちろん、本当にそうですが、ただ本音と建前をうまく突き合わせ、(消費者としての)自分自身の利益とをうまく天秤にかけ、バランスの取れたところで手を打っているという感じがします。なぜ欧州でディーゼル車50%前後まで普及しているかというと、燃料代が安くて運転が楽しいからです(試して下さいといえないのがつらいですが、本当に最近のディーゼル車は運転が楽しいです)。軽油の方がガソリンよりも安い国(フランス、イタリア等)ではディーゼルの普及率がとても高く、イギリスなど、そうでない国での普及率それほどでもありません。車を買おうとする人は車両の価格差と予想される年間走行距離、リセールバリュー(一般にディーゼル車は下取り価格も高い)等を考慮し、自分に利益が出そうなもの選んでいます。日本でディーゼル車が普及しなかった原因は、記事や他の方のコメントにもありましたように、規制の違い、燃料性状の違いに加え、(日本独自の仕様を開発して利益が出せるかという意味での)市場規模、ユーザーの好みやディーゼル車に対するイメージの違い、ユーザの平均的走行距離の違い、その他技術的要因を解決するために必要なコストを回収できるかどうかに関する(メーカーのよる)予測結果等を複合的に影響した結果だと思います。欧州で発売されている(自社製)ディーゼル仕様のある日本車などは現地で大変評判が良く、日本のメーカー(あるいは日本人)が開発したディーゼルエンジンが欧州車に搭載されている例もあり、日本メーカーがディーゼル車を作れないということはありません。個人的には日本でもディーゼル車が多く発売され、選択肢が増えて欲しいと思いますが、車両の価格差と(私の場合)年間10000km程度の使用頻度を考えると、ディーゼルにするかどうかは微妙なところです。(2008/08/28)

エンジンの難しい理論は判りませんが、ディーゼルエンジンは常に一定回転数で使うもので、回転数の幅が少ないと聞いています。ガソリンエンジンだと例えばトップギヤで1500回転で50キロで走っているとすれば、アクセルを踏みこめばギヤ切替え無しでも3000回転100キロに加速できます(非力エンジンは別)。しかしディーゼルだとそんなには回転数は上げられないので途中で必ずギアを切替えて100キロに持って行く必要がある。加えてアクセルペダルに対する反応も鈍いのでギヤ切替えのタイムロスもあってトータルとして加速が悪い。だからスポーツカーはもちろん一般に乗用車には向かない。と認識しています。現にトラックなどは大きなエンジンなのに空荷でも加速はかったるいです。多段ギヤがあるのもそのためかと思っていますが。この考えはもう古いのか、そもそも間違っているのかご教示いただけたらと思います。(2008/08/27)

クリーンディーゼルとは何か?と問われるならば、クリーンディーゼルとは、「排ガスレベルがガソリン車と同等もの」とするのが適当であろう。そしてその基準に沿うならば、日本ではポスト新長期規制をクリアするものがはじめてのクリーンディーゼルと呼べるものになる。アメリカでは、TierBin5がクリーンディーゼルの一つの基準となるだろう。ガソリン車と同等レベルという日米の規制値を達成するためには、DPFだけでは足りず、NOxの後処理が必要となり、各社はNOx処理技術の開発競争を行っている。欧州はどうか、来年発効するEuro5の規制は日米と比較して甘く、実質DPFを具備すればクリアできる水準に規制が抑えられている、先の基準に照らすならば、Euro5規制車はクリーンディーゼルとは呼べない。いつの間にか日本のディーゼル規制は欧州のそれを追い越していたのだ。そこへ、ポスト新長期規制車が登場する。今年は日本のクリーンディーゼル元年と言えるだろう。果たして日本に、ディーゼル乗用車の需要があるのか?約50万円にもなるガソリン車との価格差がどう評価されるのか?車外騒音レベルや、燃費の評価はどうか?市場の評価を楽しみにウォッチしています。(2008/08/26)

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