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「痛車」~自動車界に登場した超新星

日本独自のカスタマイズ文化が世界に進出する?

2008年9月1日(月)

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 今回はカスタムカー(改造車)の世界をご案内いたしましょう。改造車両と聞いて読者の皆さんは何をイメージされるでしょうか。私の世代ならトラック野郎の「デコトラ」とか暴走族の「シャコタン」などが浮かんできます。

 派手にデコレーションした目立つ車で爆走するシーン。アウトローとか任侠とかいうような少しお近づきにはなりたくない反社会的なイメージがある一方で、漢(おとこ)らしさとか反骨の美学というちょっと憧れてしまう側面もあります。いずれにしても、あのエネルギッシュな感覚はいまどきの若者という感じではなく、もはやセピア色な昭和カルチャーという位置づけでしょうか。

 今回のコラムは、多彩な日本のカスタムカーの世界を追い続けてきた芸文社の編集者の方々にお話を伺いながら、いまどきのカスタム車両の世界を考えてみたいと思います。芸文社は、デコトラなどが全盛期だった1970年代から様々なジャンルで興っては消えていったカスタムカーの世界を一貫して追い続けている出版社です。今でも同社の出版している雑誌・書籍などの約8割はカスタムカー関連です。

「痛車」はイタリアンカーのことではないのです

 そのカスタム車界でいま赤丸急上昇中のホットなジャンルがあります。「イタ車」と言います。イタリアンカーではありません。痛い車と書いて「痛車(いたしゃ)」と呼ばれるものです。数々のカスタムカーの歴史を記事にしてきた芸文社の編集長、白井昭範氏に「これほど急激に拡大したジャンルは覚えがない」と言わしめるほどの勢いだといいます。

「痛車グラフィックスvol.2」(芸文社)

「痛車グラフィックスvol.2」(芸文社)

 痛い車……。知らない方々には全くイメージが湧かないでしょう。いろいろ語るよりまずモノを見ていただいた方が早いでしょう。右の写真のようにオタク系なアニメの美少女キャラクターがデザインされた車が痛車と呼ばれます。なぜ「痛い」のか。それは、普通の人から見て痛々しく感じるという意味です。

 一般にオタク系というと、引っ込み思案でナマの女性はめんどくさいし、大人の女性は怖いしということで、バーチャルな2次元世界の美少女に入れ込んでいる人種ということになっています。そんな妄想の世界に浸るのが心地よいヘタレ系な男たちが、自らを自虐的に表現したネーミングなのです。最初は「萌え車」という呼び名もありましたが、今は「痛車」がその世界では一般的な呼び名となっています。今回はこの痛車が主人公です。

 世界各国に独特のカスタムカー文化がありますが、この日本特有の痛車には、世界に共通する特徴と異なる点があります。日本のカスタムカーの源流といえば、オヤジの時代にはトラック野郎の駆るデコトラであり、アニキたちの時代には暴走族の族車・ヤン車でしょうか。オヤジの場合は「野郎」であり、アニキなら「ヤンキー」が乗り手の車です。いずれも名前からしてチョイ不良(ワル)系、アウトローたちの文化でした。

 「世界中どこでも不良(ワル)のカスタム車には共通する特徴があります。“低くて黒い車”なんですよ」と白井編集長は言います。確かにヤンキーの定番といえばシャコタンですが、これは車高が短い、すなわち「車高短」の略称なわけで、その法則に則っているのです。

マイノリティー系が作り出すサブカルチャー

外装だけでなく内装も痛車仕様となっているクルマもある(「痛車グラフィックスvol.1」より)

外装だけでなく内装も痛車仕様となっているクルマもある(「痛車グラフィックスvol.1」より)

 カスタムカーのもう1つの世界共通の特徴として、その社会におけるマイノリティーが作り出すサブカルチャーという点が挙げられます。往時のヤン車文化を支えたのは不良高校生とその先輩たちでした。東大合格を目指す成績優秀系、あるいは甲子園出場を目指す体育会系といった、華やかにちやほやされる表版のヒーローたちとは対極にあるアウトロー系が作り上げた文化なのです。表社会で評価されないそのストレスを、特攻服や改造車に託して自己主張をしていました。

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「「痛車」~自動車界に登場した超新星」の著者

川口 盛之助

川口 盛之助(かわぐち・もりのすけ)

盛之助 代表取締役社長

戦略コンサルティングファームのアーサー・D・リトル・ジャパンにてアソシエート・ディレクターを務めたのちに株式会社盛之助を設立。研究開発戦略や商品開発戦略などのコンサルティングを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官