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次期首相のITの“情識”に期待
国民総背番号制の導入決断を

2008年9月5日(金)

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 「福田康夫首相の辞意表明を受けて、日経ビジネスオンラインでも緊急特集をします。IT(情報技術)に絡めて、何か書いてもらえませんか」。日経ビジネスオンラインの廣松編集長からメールが届いた時、時計の針は9月1日夜11時19分を指していた。

 その直前、筆者は編集長に所用があり、2階下のフロアの編集長席まで行ったが不在。そこで自席まで戻り、編集長に用件をメールしたところすぐに返信があり、冒頭の依頼が書き添えられていた。どうやら、別室で緊急特集の案を練っていたところだったらしい。ネットやメールが存在しなければ、こういうやり取りは発生せず、編集長からの執筆依頼はなかったろう。メールは、明らかに仕事を増やす道具である。

 辞意表明した人のことを論じても生産的ではないから、次期首相について何か書くべきだが、あいにく筆者はIT関連記者であって、政治のことはよく分からない。そもそも23年間の記者生活で、名刺交換をした政治家は3人くらいしかいない。ただ、そのうち2人が次期首相を巡る報道に登場するので、筆者なりの印象を記し、後半に次期首相に期待したいことを述べてみる。

ITの効能を分かりやすく語る麻生氏

 名刺交換をした1人は、麻生太郎氏である。2004年1月7日、通信関連企業の業界団体である情報通信ネットワーク産業協会の新年賀詞交歓会でお目にかかった。といっても、交歓会の挨拶を終えた麻生氏が会場を去る間際に名刺交換をしただけで、話はほとんどしていない。当時、麻生氏は総務大臣を務めており、通信関連業界を管轄していた。

 麻生氏の挨拶は大変面白いもので、詰めかけた出席者を何度も沸かせていた。そのことは『「ネットワークで活力ある高齢社会を」麻生総務相大いに語る』と題したコラムに書き、2004年1月28日に、日経ビジネスオンラインの前身である日経ビジネスEXPRESSに公開したほか、筆者が編集責任者を務める「経営とIT新潮流」というウェブサイトに再掲した(「ITと活力ある高齢化社会」)。

 4年後の今、自分で書いたコラムを読み直すと、麻生氏に相当好意的な内容であった。首相を意識した最近の発言に関しては疑問に思うことがあるが、それはさておき、麻生氏が“情識”(ITの使いこなしに関する常識)を持っていることは間違いない。ちなみに本コラムの題名である「情識」は本来、「頑固、強情」といった意味であるが、ここでは造語として使っている。

 なぜ好意的なコラムを書いたかと言えば、麻生氏の話が分かりやすく、かつ前向きだったからだ。いわゆるブロードバンド(高速大容量)ネットワークがもたらす効能として、麻生氏は医療分野への応用を挙げ、「ネットワークで日本を活力ある高齢社会にしよう」と語りかけた。昨今、ITに絡む話題と言えば、情報漏洩や情報システムの故障、あるいは内部統制や環境問題など、重大ではあるが心躍らないものばかりである。脳天気にITの可能性を唱えられても困るが、次期首相はITへの前向きな期待を表明してほしいと思う。

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「次期首相のITの“情識”に期待
国民総背番号制の導入決断を」の著者

谷島 宣之

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BPビジョナリー経営研究所

一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。1985年から日経コンピュータ記者、2009年1月から編集長。2013年から現職。プロジェクトマネジメント学会員、ドラッカー学会員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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