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意思決定プロセスとプロジェクト運営体制をきっちり作る

JTB、ビジネスモデルとITの同時革新に挑む(前編)

2008年9月25日(木)

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 ジェイティービー(JTB)のCIO(最高情報責任者)である志賀典人常務と、IT(情報技術)リサーチ大手、米ガートナー日本法人の日高信彦社長が、旅行業界のビジネス革新、JTBの基幹系システム再構築プロジェクトなどを題材に、CIOの仕事について語り合った。その模様を前編、後編の2回に分けてお送りする。

 旅行業界の変化に対応すべく、JTBはビジネスモデルの革新と、情報システムの再構築を同時に進めようとしている。それに先立って、志賀常務が取り入れた「IT戦略委員会」と「プロジェクトオーナー制」という仕組みは多くの企業にとっても参考になる。

(構成は谷島 宣之=「経営とIT」編集長)

日高 御社の情報化の取り組みを伺う前にまず、旅行業界が現在どのような状況に置かれているのかを教えていただけますか。世界中でインターネットがどんどん普及して、多くの情報に誰でもアクセスできるようになり、情報格差がなくなってきた。その変化を一番最初に、しかもまともに受けたのが旅行業界ではないでしょうか。

写真

志賀 典人(しが・のりひと)
JTB常務取締役、総合企画担当、事業創造担当、CIO。1973年静岡大学人文学部卒業後、日本交通公社(現JTB)入社。2000年4月市場開発部長。2001年6月取締役。2005年6月常務取締役。2007年6月常務事業創造担当・CIO。2008年6月から現職(写真:中島正之、以下同)

志賀 旅行業界を20年ぐらいのスパンで見ると、大きなターニングポイントが2回あったのではないかと思います。1991年に起きた湾岸戦争と、2001年に米国で起きた同時多発テロ、いわゆる「9.11」です。これら2つの出来事で日本の旅行業界は大きく変化しました。

 湾岸戦争が勃発した時、海外旅行者の数が一気に減った。その数が再び増えていく過程で、旅行のあり方が大きく変わったのです。一言で表現すると「団体から個人へ」という大きな変化が起きた。この変化は今日までずっと続いていて、旅行業界を大きく揺るがしています。湾岸戦争で旅行ブームが落ち込んだわけですが、その時、それまで旅行をしてきた人たちが冷静になって考えてみたのでしょう。湾岸戦争以降は、「別に団体で動かなくてもいい」「自分たちでもっと自由に動き回りたい」と考える人がかなり増えてきた。

 戦後、旅行業界は常に右肩上がりに成長を続けてきました。団体旅行や職場旅行といった大量消費型のパッケージ商品が中心でした。いわばマスを相手にして、マスを動かす商売で成長を続けられた。ところが湾岸戦争が終わってバブルがはじけると、状況は大きく変わりました。

収益源の情報格差がなくなる

 もう1つのターニングポイントである9.11以降、やはり旅行者の数が激減してしまいました。その後、旅行需要が復活する過程で今度は何が起きたのか。それは情報の送り手と受け手の関係の変化です。日高さんが指摘したように情報格差がなくなってきた。実を言うと旅行業というのは、情報格差によって収益を得てきた面がありました。例えば、「パリには何があるのか、それを見に行くために、どうやって行けばいいのか」という情報は、旅行会社のカウンターに行かなければ手に入らなかった。ホテルの予約も、カウンターに行かなければできませんでした。

 ところが1990年代後半からインターネットが普及し始めて、情報格差が徐々になくなっていった。特に2001年以降、日本は国を挙げてIT利用を推進し、インターネットが一気に普及した。というわけで、2001年9月11日以降、旅行需要は復活したものの、情報の送り手と受け手の関係が大きく変わり、収益源だった情報格差がなくなりつつあるのです。

日高 それは、会社の価値そのものを根本から揺るがす大きな変化ですね。

志賀 非常に大きな変化です。旅行業の社会的有用性とは何かが今、問われていると言えます。

ますます個別になる顧客の要請

写真:

日高 信彦(ひだか・のぶひこ)
ガートナージャパン代表取締役社長。1976年東京外国語大学外国語学部卒業後、日本IBM入社。1996年アプリケーション・システム開発部長。2001年アジア・パシフィックCRM/BIソリューション統括。2003年4月から現職

日高 団体旅行から個人旅行にシフトし、情報格差がなくなると、旅行商品の体系や提供方法も変えざるを得ない。

志賀 その通りです。今のマーケットには本当にいろいろなお客様がいます。初めて海外旅行に行く方の中にも様々な要望があります。「標準的な対応でいいよ」という方もいれば、「できるだけ放っておいてよ」という方もいらっしゃる。ビジネスで常時世界中を飛び回っている方から見れば、半端な知識しか持っていない旅行会社の若い社員の話を聞いても役に立たない。自分の方がよほど知っている、ということになる。

 一方、非常に高いレベルの手厚いサービスを求めるお客様もいます。そういう方に対しては、“手作り”のサービスを提供しなければなりません。インターネットで申し込んできたとしても、その後のフォローはできるだけフェース・トゥ・フェースでやる、といったことが必要になります。

日高 インターネット経由で商品を選んで、オンライン決済ができればそれで済む、という話ではないわけですね。

志賀 お客様個々の要望に対して、情報提供のレベルとサービスの品質をどこまでマッチングさせられるか。それが今、我々が取り組むべき最大の課題だと思います。とても難しいことではありますが、それだけに我々にとって逆にビジネスチャンスなのではないかと考えています。

 なぜなら我々はあらゆる対応ができるからです。我々は、インターネット専業の旅行会社や、新聞広告だけでやっている旅行会社とは違います。確かに、こうした専業会社が狙っているマーケットは存在しますが、だからといって、各社が一斉に同じ方向に走ればうまくいくわけではありません。

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「意思決定プロセスとプロジェクト運営体制をきっちり作る」の著者

谷島 宣之

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BPビジョナリー経営研究所

一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。1985年から日経コンピュータ記者、2009年1月から編集長。2013年から現職。プロジェクトマネジメント学会員、ドラッカー学会員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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