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池袋でみた最良のプロダクトプレースメント

変える勇気と変えない勇気

  • 須田 伸

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2008年10月7日(火)

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 プロダクトプレースメントとは、映画やドラマの中で、登場人物が身につけている腕時計や、飲んでいる缶コーヒー、乗っているクルマなどが、演出上の意図ではなく「広告主」のものであり、いわゆる「CMタイム」ではない「本編」の中でさりげなく商品をアピールできるという手法です。

 しかし、実際には、不必要に腕時計のアップの時間が長かったり、缶コーヒーを味わう表情が物語の流れを邪魔してしまったり、「さりげなく」とはいかず、かえって「なんだい、こんなところで宣伝なんかしやがって」と逆効果を生んでしまうことも少なくありません。

 ところが先日出かけたある落語会で、会場を爆笑の渦に巻き込むプロダクトプレースメントを目撃しました。今回は、その「笑いのとれるプロダクトプレースメント」と、それを可能にした「変えない」というマーケティング投資から得られる大きなリターンに関してお話したいと思います。

「桂小米朝と柳家花緑 二人会」

 9月下旬の雨のぱらつく日曜日の夜、池袋へ出かけて「桂小米朝と柳家花緑 二人会」をみてきました。

 桂小米朝は父親が人間国宝の桂米朝、柳家花緑は祖父が人間国宝の5代目柳家小さん(故人)という、どちらも人間国宝の血をひく噺家のサラブレッドです。そんな両名の二人会ということで、ずっと楽しみにしていました。

 待ちに待った高座では、両師匠とも自分の家のことを噺のまくらに登場させて会場を沸かせていました。

 特に花緑師匠は、永谷園のあさげのCMに自分が起用されたこと、そしてそのCMの中で祖父の小さん師匠と「共演」するにいたったこと(そのCMは永谷園のホームページの中のコチラで見ることができます)。しかも、CM出演のオファーが来る前夜に夢の中に祖父が登場して「今度、二人会やるから、演目を考えておけ」と言われたという不思議なエピソードを紹介していました。

 ぼくを含む会場の観客は、この「永谷園あさげエピソード」に、大いに笑い、そしてしみじみさせられました。もちろん、花緑師匠の落語の中で「あさげ」が登場するように永谷園がお金を払っているわけではないでしょうから、いわゆるプロダクトプレースメントとは言えないかも知れませんが、結果的な効果としてはこの手法による最良のケースだと感じました。ちなみに、花緑師匠は祖父の永谷園CMエピソードを、自分が永谷園のCMに起用される前から高座で話していました。以前の独演会で、「子供ころから、我が家は味噌汁だけは必ずインスタント」という話で、ぼくも笑わされましたから、間違いありません。

 先代の小さん師匠が亡くなってもう6年になりますが、それでも会場のお客さんがちゃんと笑ってくれる、CMのこともおぼえていてくれる。これは一朝一夕には実現できない、実にすごいことです。

変えないことで可能になるブランディング

 1年ほど前にこの連載で、大塚製薬のポカリスエットのことを取り上げた(「素敵な広告をありがとう。20年間ずっと買っちゃうよ」)際にも、同様のことを書いた記憶があるのですが、広告表現を、あっちへ、こっちへ、とキョロキョロ変えずに、どっしり構えて続けることで初めて可能になるブランディング効果というものがあります。

 企画が耐久年数の長い骨太なものでなければなりませんから、やみくもに続ければいいというものではありませんが、情報が洪水のように生活者のまわりに溢れている今日だからこそ、それが実現された際には非常に大きな効果を持つと思います。

 永谷園のあさげのCMは、まさに格好の事例です。

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