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ツンデレ姫がレディに育って工業界にデビューする時

タカラトミーのツンデレTV「SEGNITY」に見る愛着主義(2)

2008年11月17日(月)

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 前回はタカラトミーの開発した、世界初のツンデレ機能搭載テレビ「SEGNITY(セグニティ)」の開発秘話を紹介致しました。ファンならすぐに気付くあのアニメの声優さんの声を使って音声対応をするという機構は、冷たい電子技術部品の塊である商品に、妄想という物語性をまとわせる力を持っています。これによって、その商品は単なる機能提供手段の域を超え、商品自身への愛着という価値を導き出すものになるわけです。

「ドラえもん目覚まし時計」に始まり、音声の用い方が進化

 音声を用いた商品開発の歴史を振り返ってみましょう。最も素朴なものとして例えば「ドラえもん目覚まし時計」があります。ドラちゃんの声で「起きろー! ガンバレー」と騒ぐ子供用のキャラクター商品です。これが少し進化するとアニメストーリーの中での名セリフを声優さんの声で再現する人形になります。バンダイの「Voice I-doll Superior(ボイスアイドルスーペリア)」などが該当します。


携帯サイズのツンデレTV「SEGNITY」と開発者 写真:小久保 松直(以下同)

 イメージとしては「この紋所が目に入らぬか、恐れ多くも先の副将軍…」と助さん人形がしゃべる感じです。この場合には声色だけでなく、物語の中のセリフの内容そのものの価値が付随しています。さらに進化して、そのキャラクターの性格を織り込んだ応答パターンに価値を持たせたのが「ツンデレTV」でした。リアルな場面でのシチュエーションに応じて、あの主人公ならこういうふうに出るだろうなというところまで価値にカウントされている分が高級なわけです。

 ツンデレTVの場合には使用頻度の変化を唯一の手掛かりとして、応答パターンに違いを持たせているのですが、今後は、携帯電話機など常時身につけている機器の動作ログを様々な角度から解釈して、持ち主の置かれている状況を推測できるようになり、バリエーションが豊かになっていくことでしょう。お財布機能でリポビタンDを買ったことが分かれば、ご主人様は疲れているのかなと推測できるし、GPSで今週も休日出勤していることが分かれば、いろいろな出方を思案することができるでしょう。

 ちなみに、セグニティで開拓されたツンデレ機能は、その後別の分野にも展開しています。バンダイが9月に発売した貯金箱「イケメンバンク」には5種類の性格のイケメンたちの画像と音声パターンが内蔵されています。硬貨を入れるたびに、各イケメンは「ホント最高の女の子だよ!」とか「幸せにしてやるからな」などと励まし続けてくれますが、5日ほどコミュニケーションしないと置き手紙を残してどこかへ行ってしまったりする気まぐれな奴です。

 女心を手玉に取るこのイケメンたちも、ツンデレのメカニズムを上手に使いこなしています。「自虐の詩」という漫画が昨年話題になりましたが、ヒモ男イサオに尽くす薄幸の女「幸江」を彷彿させて泣けてきますね。

 究極のシーンを妄想してみましょう。それはこの貯金箱が飽きられて、新型機に買い替えられる場面、幸江がイサオを見限る時です。察知したイサオが「お前のこと、本当に大事に想ってるんだ。もう一度初めからやり直そう」と追いすがり、新しい若いイケメンとの間で愛憎劇の修羅場となる…。いやあSFロボアニメではよくある高性能新型登場の話です。

 単純なオウム返しの録音音声の繰り返しのレベルでは子供だましにすぎませんでしたが、センサーや論理回路などの電子技術の発達によって、状況を把握し、TPOに応じて反応に変化をもたせるレベルにまで成長しつつあります。大人まで十分にだませそうになってきたわけです。

ハードも込みでツンデレ

 セグニティ開発者の1人、永岡順一さんが強調した設計思想の1つに「テレビとしても恥ずかしくないレベルに仕上げたい」という部分がありました。具体的には、チューナーやドライブICついてはシャープ製を、畜電池については三洋電機のニッケル水素蓄電池「eneloop」をと、それぞれ一流ブランドの部材にこだわっています。

コメント9件コメント/レビュー

玩具メーカーの大人向けおもちゃと思っていましたが、奥が深いのですね。日本の技術者の感性に驚きました。今後のどのように商品発展していくのか楽しみにしています。(2008/11/21)

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「ツンデレ姫がレディに育って工業界にデビューする時」の著者

川口 盛之助

川口 盛之助(かわぐち・もりのすけ)

盛之助 代表取締役社長

戦略コンサルティングファームのアーサー・D・リトル・ジャパンにてアソシエート・ディレクターを務めたのちに株式会社盛之助を設立。研究開発戦略や商品開発戦略などのコンサルティングを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

玩具メーカーの大人向けおもちゃと思っていましたが、奥が深いのですね。日本の技術者の感性に驚きました。今後のどのように商品発展していくのか楽しみにしています。(2008/11/21)

セグニティを取り上げるのでしたら、いささか酷な話ですが「確かに面白い、でも売れなかった」という結果の検証にまで踏み込むべきでは、と思います。「もう少し時間がたてば」の過渡期故か、そもそも市場が無いのか、まだ技術が足りていないのか、ともかくも魂は引き継がれたから良しとするのか? いずれソフトバンクの815PBを取り上げる際などには、そうした掘り下げを期待します。(2008/11/18)

50代の先進的オタク世代としては誠にうれしい限りの記事です。アトム・ガンダム世代が日本のロボット文化を牽引しているように、アダルトアニメ世代がサブカルチャー内蔵のハイテク製品開発を牽引してくれるとうれしいですね。(2008/11/18)

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