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金融クライシスの衝撃波をコントロールする

リスクを衝撃波の発生に向かわせない方法

  • 宮田 秀明

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2008年11月14日(金)

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 今の金融クライシスは、隠れていた金融リスクが急に顕在化して集まって衝撃波のように発達し、世界中に伝播した現象によるものと見ることができる。

 衝撃波という現象は自然科学の世界のものだ。技術の進歩によって飛行機の高速飛行が徐々に可能になっていった時代に、立ちはだかった現象が衝撃波である。空気の密度はほとんど均一なのに、高速飛行する飛行機のまわりには衝撃波という波が発生し、空気密度の不連続が発生するのだ。

 衝撃波は飛行機に大きな力を加えるばかりか、遠くまで伝播して、地上にも力と音を伝えて被害を及ぼす。だから、普通の旅客機は衝撃波を発生する少し手前の速度、つまり時速900キロメートルまでで飛ぶように設計される。

 コンコルドは普通の旅客機の倍以上の速度で飛行するから、衝撃波の発生は不可避だ。欧州のコンコルド計画に対して、米国には同じプロジェクトであるSST(超音速旅客機)計画があったが中止になった。中止理由の1つは経済性だが、もう1つは衝撃波の問題だった。結局、欧州のコンコルドも完全に運航を休止してしまった。

 伝播する衝撃波を発生する旅客機は社会不適合だったということになる。

 実験室や工場などのある内部だけの問題なら、衝撃波のような困った現象もコントロールできなくはない。しかし、ある速度を超えたら、大気中を遠くまで伝播してしまう航空機の衝撃波を制御することは難しい。

金融クライシスは“大規模衝撃波”のようなもの

 たくさんの金融リスクが集積して顕在化し、地球ネットワーク上を伝播して発生した金融クライシスは、“大規模衝撃波”のようなものだ。飛行機の衝撃波は直線的にしか伝播しないが、“金融衝撃波”は地球ネットワーク上で縦横無尽に伝播した。

 今では、航空機が発生する衝撃波は正確に予測されるようになった。私の専門の1つである計算流体力学という研究分野の成果だ。衝撃波を含むすべての空気の運動はナビエ・ストークス式という微分方程式によって説明できる。この式をコンピューターの力で解くことによって、衝撃波をコントロールできる。

 ナビエ・ストークス式は、同じ微分方程式であるブラック・ショールズ式より複雑で解くのも難しいが、今では正しく解くことによって、衝撃波という難しい現象を正しく説明して、コントロールできるようになった。

 それでは多様なリスクが集まって発生した金融衝撃波を2度と起こさないように、または、リスクを衝撃波の発生へ向かわせないようにコントロールするためにはどうすればいいだろうかというのが、現在の大きな課題ということになる。

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