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「ミシュランブーイング」はヒットの特効薬

  • 須田 伸

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2008年11月18日(火)

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 今週の金曜日に2009年度版の「ミシュラン東京」が発売になります。去年は、さまざまな意味でたいへん盛り上がりましたが、果たして今年はどうなるのでしょうか。また、レストランガイドの本というのは、けっして目新しいものではありませんが、昨年のミシュラン上陸はなぜこれほどに話題になったのでしょうか。この1年を振り返ると、いくつか見えてきたことがあります。それは、広告という見地からも参考になる点が少なからずあると考えています。

「ミシュランで2つ星を獲得している店です」

 広告業界というのは、美食家が多い世界だと言われています。事実、食べるという行為に対してただならぬエネルギーを注いでいる知人も少なくありません。そんな美食な人たちのブログなどを見ていると、「昨晩、出かけたのは銀座の○○○。ミシュランで星を2つ獲得しているお店です」と、ミシュランに掲載されているお店であることをわざわざ記していることに気づきます。しかし「ザガットで何点のお店です」とか「このガイドブックに掲載されています」といったことわり書きは、あまり見かけません。

 これはおそらく、広告人という流行モノが人一倍好きな人種にとって、「ミシュラン」という言葉は、今が使い時だという意識が、たとえ無意識にせよ、なんらか働いていると思われます。彼らが2年後、3年後に、ブログ上で「ミシュランで……」と書いているかどうかは、かなり怪しい気がします。

 それにしても、なぜ、ミシュランはここまでウケたのでしょうか。美食家の国フランスの伝統あるガイドブックとして神話があったから。1つ星、2つ星、3つ星とランク分けがシンプルだったから。さまざま言われていますが、ぼくはひとつには「ブーイングという形の追い風が吹いたから」ということが大きいと見ています。

 飲食店はそれこそ星の数ほどあります。ガイドブックや雑誌の飲食店特集にはページという制約があります。当然のことながら、そこから漏れる名店のほうが掲載される名店よりも多いのは当然のことです。ですから「なんで、うちの店が出ていないんだ!」といった声が聞かれることは通常ありません。

 ところがミシュランに関しては「うちはなんで出ていないんだ」とか「俺が贔屓にしているこの店がなぜ出ていないんだ」といった、「掲載されなかったことへの恨み節」が多数聞かれました。また「あそこが2つ星で、うちが1つ星とはどういうことだ!」という、星の数をめぐっての異論もけっこうありました。こうした、レストラン業界とその周辺のグルメな人たちがミシュランに物申したことによって、その他大勢の例えばぼくのような、食にそこまで魂を込めていない人間にまで「ミシュランってスゴイんだな」という印象を与えることになったと思います。

 「アンチジャイアンツも実は巨人ファン」と言いますが、「アンチミシュラン」が多数出現したことで、ミシュランのブームは美食界という小さなコミュニティを超えて広く大勢の人々の話題になることとなったと見ています。

「フランス人に蕎麦や鮨の味がわかるのか」

 また、ミシュランがフレンチやイタリアンといったいわゆる洋食のジャンルに偏った内容ではなく、蕎麦や鮨といったところまで「星」という剣でばっさり斬ってのけたことも大いにこの話題に参加する人の数を増やす原因になったと見ています。

 居酒屋でカウンターごしに酔客と大将が「ソースで味をつくるフランス人に、鮨の味をゴチャゴチャ言われたくないね」といった会話をしている場面にも何度か遭遇しました。そもそもミシュランが遠くから、わざわざミシュランのタイヤを履いたクルマを長距離走らせて、出かけたいレストランを集めたガイドブックですから、その土地の人ではない訪問者を対象に書かれた本なわけですが、そんな由来とは関係なく「フランス人が、江戸前の鮨に格づけたぁ、いい了見だ!」と、息巻く人々が多数出現したわけです。

 実際、ミシュランに掲載されたお店には中国をはじめとする多くの外国人のお客が増えたといいます。この1年で人に誘われたりして、ミシュランに載っているお店にいくつか出かけましたが、実際にそうしたお店の人すべてがミシュランに掲載されてから新規のお客様がグンと増えた、と教えてくれました。

 経済環境が悪化する中、外食産業もその余波を受けていますから、レストランにとっては、それで売上があがってこの難局を乗り越えられるのなら、フランス人の舌をぜひ唸らせたい、というのが本音ではないでしょうか。

 2009年度版「ミシュラン東京」がどれだけ売れるか、は、実はこの「ブーイングの音量」によって決まる、と思いますが、さてどうなるでしょうか。

炎上で売れた「日本語が亡びるとき」

 1週間前の週末、『日本語が亡びるとき』という本の著者が日本経済新聞にコラムを寄せていて興味をひかれました。そのコラムは、本の内容というよりも、亡くなった著者の母親が生きていればきっとこんなコメントをしたであろう、という家族の話を軸にした内容でした。週末のあわただしさの中で自分が興味を持ったことも忘れて月曜日の朝を迎えたのですが、出社してパソコンを立ち上げて、この本がネット上で話題になっていることを知り、大いに驚きました。

 しかも、原因が、著作や著者ではなく、その書評を書いたある人のブログが「炎上」したことによってであることを知り、さらに驚きました。

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