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彼氏が軽自動車に乗っていたらイヤですか?

ネット広告は意外に「空気を作る」のが苦手

  • 須田 伸

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2008年11月25日(火)

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 今週は、自動車という商品のことを考えさせられることがたくさんありました。

 ひとつには、アメリカの議会の公聴会でビッグスリーの幹部が公的支援を要請したことがあります。GMやフォードの株価は大きく低迷しており、支援が行われなければ破綻するのでは、という懸念すら出ているのはご存じのとおりです。日本の自動車メーカーも減産を発表したり、期間工の契約を見直したりしていますし、ヨーロッパのメーカーも同じで、世界的な経済悪化の主役は、ウォールストリートと、自動車産業、そんな感があります。

 一方で今週は、インターネットのコミュニティでも、自動車に熱い声が集まっていました。ひとつは「彼氏が軽自動車に乗ってた。別れたい…」という嘆息に対して寄せられた「今どき、自動車で人を判断するなんて」という非難の嵐です。しかしながら、gooが発表した「男性がステータスを感じると思うものランキング」の1位には「自動車」があげられていて、これに対しても多くの意見が寄せられていました。

 自動車という商品は、長く、社会的なポジションと連動してあがっていく「成り上がり」の象徴的なモノだったと思いますし、今でも、その地位から完全に降りたとは思えません。しかし「いつかはクラウン」というキャッチフレーズが、社会的にみんなで共有できた時代、というのではなくなっているように思います。

 そして、この「いつかは、あの品を手に入れたい」というモノへの欲望と、それを手にすることによって自分の価値を確認するという作業は、ながく広告が後押ししてきた手法です。その最前線ともいえる自動車というジャンルにおいて変化が起きている。この事実は、自動車以外のその他の商品の消費動向や、今後のマーケティングを考える上でも重要なことのように思えるのです。

「メルセデスとともに歩む人生という選択をしたのだ」

 これ↑は、今週、クルマを運転している時に、ラジオから聞こえてきたヤナセのラジオCM。ハンドルを握っていたので、メモをとるわけにもいかず、細かい言い回しで正確でないところがあるかもしれませんが、こんなナレーションでした「わたしは、メルセデスというクルマを選んだのではない。メルセデスとともに歩む人生、という選択をしたのだ」。このラジオCMを聞いて、思わず「おいおい、自分で言っちゃったよ」と、独り言をつぶやいてしまいました。

 メルセデスに代表される高級車は、A地点からB地点まで法定速度の範囲内でちゃんと走る、という機能だけであれば、多くの人にとっての経済合理性からみて、賢明な選択とは言いがたいプライスタグがついています。実際、都市部のような公共の交通機関が充実しておらず、クルマが必需品である地方ではその実用性から軽自動車が売れています。

 「単なる道具」であれば別の選択もあるだろうけど、自動車はそうじゃないでしょ、という「クスグリ」を、自動車メーカーはさまざまに行ってきましたし、そのクスグリに消費者はこたえてきました。しかし、そのクスグリが効かなくなってきている。むしろクルマに乗らない、または乗るにしても最低限のモノでいいや、という風潮になってきている。または「なってきているらしい」という情報がアチコチでささやかれている。そんな状況に、とうとう、格好をすてて、「みなまで言うな」とこれまでは我慢してきたところを、CMで言葉にしてしゃべりだした、そんな気がしたのです。

 ハリウッドスター、ジョージ・クルーニーを起用しての「いいクルマが好きだ。男ですから」というホンダ・オデッセイのCMも同様です。以前であればわざわざそんなことをメーカーが発信しなくても、社会的に一般的な空気として、「頑張って出世して、高級車を買いたい」とか「ちょっとくらい無理をしてでも、いいクルマに乗りたい」といった気持ちがあったので、その大前提の上にクルマのCMは「カッコいいクルマの映像」や「カッコいいクルマのある生活」を描いてきたのです。

 ところがそんな社会的コンセンサスが、風前の灯火である、ということになっている。

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