今から5年前、「科学技術と経済の会」のフォーラムで講演したことがある。この会は簡単に言えば製造業のCTO(最高技術責任者)の会である。この会のメンバーにはその頃までの私の仕事に近い世界の方々が多く、理系の経営をする当事者たちである。
私の講演内容は簡単に言えば“新しいモデルを創造するためのプロジェクトマネジメント”だった。もちろん、盛り上げるためにアメリカズカップのプロジェクトの例も話した。
理系の経営者に元気がないのはなぜ?
私とNTTドコモの方が講演した後に、懇親会があった。この懇親会が面白くなく、非常に残念だった。懇親会でお話しした方々の反応は、
「面白かったです。でも我が社ではできませんね。他社も同じだと思います」
といった声が多かった。その後、この日の参加者約120人の方と再度お会いする機会もないままだ。つまり私の講演はあまり役に立たなかったということだろう。
経営者に限らず、文系、理系と区別することに意味があるとは思わないが、なぜか理系の方々に元気が感じられないことが多い。
それから1週間後、今度は「価値創造フォーラム21」という経営者の会の方々に講演した。聴いてくださった方の平均像は有名私立大学経済学部出身の経営者だと思う。
こちらの懇親会の雰囲気は全く逆だった。
「先生、面白いですね。何かウチと一緒にやりましょうよ」
こんな調子だった。
個人でも、会社でももっと思い切ってチャレンジできるといいのですが、私もチャレンジしたいことは沢山あります。しかし、現状の日本の社会保障では会社をつぶしてしまったら自分だけではなく、社員の皆さんが一家心中なんてこともありうるかもしれません。「本業は堅実に」その中で何とかチャレンジをと思っていてもやたら時間ばかりが過ぎていくのが零細企業の現実感も知れません。 (2009/01/22)