世界の新車需要が同時崩落した2008年、日本も1980年の規模まで市場が縮小した。このところの日本の持続的な需要減は、少子・高齢化の進展や、若年層のクルマ離れなど複合的な要因による。
このうち「クルマ離れ」については、若者の消費の多様化や、魅力的なクルマの不在といったことが指摘されてきた。だが、昨今の雇用情勢の悪化を見ると、実は「購買力」が大きな問題であることが浮き彫りになる。「クルマなんてとても手が届かない」という若者が増えているのだ。
2008年の国内新車需要は、前年を5%下回る508万台と1980年(502万台)以来のレベルになった。4年連続の減少であり、ピークだった90年(777万台)の3分の2まで縮小した。日本自動車工業会は、2009年の市場も5%減となる486万台と見込んでいる。500万台割れとなれば31年ぶりだ。
本質的な問題は「購買力」の低下か
金融危機に端を発する世界同時不況が日本の新車市場にも影響を与えているが、そうした経済異変がなくても、もともと国内市場の先行きは暗い。少子高齢化による人口減で、構造的にクルマを買い求める人が減少するからだ。加えて自動車業界では、新規ユーザーとして期待される若年層の「クルマ離れ」も指摘されてきた。
ざっと次のような指摘だ。
「若年層は、生まれた時から大体家庭にクルマがあり、すでに日用品化しているクルマから得る感動が少ない」「携帯電話という新たな消費品目が定着した」。さらに、「自動車メーカーが魅力ある商品や使い方を提供しきれていない」という反省の声も聞かれる。
そうした分析は当たっているが、本質的な問題は「購買力」ではないか。そこまで思いが及ばないのか、分かっていて口をつぐむのか、メーカー首脳からそうした指摘が聞こえてくることはない。
バブル崩壊後、日本企業は3つの過剰(債務、設備、雇用)の解消に走った。若年層の就労は非常に不安定になり、ワーキングプアと呼ばれる人々や、朝日新聞が名づけた「ロストジェネレーション」(就職氷河期に社会に出た20代後半から30代前半の層)を生み出した。
国税庁と総務省の統計を基に、20〜24歳の給与所得者数と人口の推移を表にまとめた。ここでの給与所得者は「1年を通じて勤務した人」の数であり、正社員が大半を占め、非正規従業員でも比較的就労が安定した人が対象と想定できる。
その数は1995年にピークとなり、以降2006年まで一貫して減少した。この世代の人口の推移も給与所得者数とほぼ同じ傾向で減少しているので当然といえば当然。ただし、人口に占める給与所得者数の比率は1985年当時から10ポイント以上も落ち込んでいるのだ。
2005年以降は1年を通じて勤務した給与所得者は、3人に1人のレベルまで低下している。こうした若年層の不安定な就労の増大は、派遣労働の規制緩和と軌を一にしている。2004年には製造現場への派遣も解禁され、非正規従業員の増加に拍車をかけた。
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