「横浜信一の「ビジネステクノロジー進化論」」

この機にIT支出の抜本的見直しを

IT支出の質向上に、2009年度予算は試金石

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2009年1月19日(月)

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 新しい年に入り、4月に年度が替わる企業では、次年度に向けた事業計画・予算作りの時期を迎えている。各種調査リポートによれば、不確実な経済情勢を反映して、IT(情報技術)予算について2009年度は抑制傾向にある企業が多いようである。ただし、以前の稿でも書いたが、単純なコスト削減、投資抑制ではいけないと思う。

 「嵐が過ぎるまでじっと我慢」の穴熊戦法では、企業としての競争力を弱体化させてしまう。また、多くの企業ではもともとのIT支出にいろいろなムダがあるわけで、単純なコスト削減に走るだけでは、数字のつじつま合わせになるだけでなく、ムダの原因は温存されたままになってしまう。

 むしろ、この機にIT支出のあり方を抜本的に見直す取り組みが必要である。この1〜2年をどう過ごすかによって、その後のIT支出の質が大きく左右される、いわば試金石の時期とも言える。

課題の実態把握が必須

 では、IT支出に関する課題にはどのようなものがあるのだろうか? 実は、一言でIT支出に関する課題と言っても、多様な要素から構成されている。しかもそれぞれが因果関係を持って複雑に入り組んでいるため、その構造自体が明らかになっていないことが多い。したがって、まずは自社の課題がどこにあるのかを、しっかりと把握することがとても大切である。

 筆者の経験では、こうした課題は大きく3つのレベルに分けることができる。そして、企業がどのレベルにいるかによって、解決のための処方箋も異なってくる。以下では、3つのレベルとはいかなるものかを具体的に示してみたい、

レベル1:IT支出の全体像が不明確

 第1のレベルは、そもそも自社のIT支出の全体像が把握されていない、という段階である。そんなバカな、と思われるかもしれないが、こうした企業は実に多い。例えば、パソコンが社内に何台あるのかを正確に把握できている企業は少ない。パソコンのように少額なものだけでなく、サーバーが何台あるのかさえ不明確という例もある。

 以前コンサルティングを行ったある企業では、トップマネジメントへのプロジェクト報告会の前日になって新たに1台のサーバーが発見され、報告書の修正を行うというケースがあったくらいである。そのサーバーは、サーバールームやデータセンターではなく、オフィス内の机の下から見つかった。

 こうした状況に陥っている原因としては、以下のようなものがある。

 そもそもITの範囲をどこまでと捉えるのかが、はっきりしていない、あるいは社内各部門で定義がまちまちである。例えばパソコンは間違いなくITに入るが、プリンターはどうか、プリンターとの複合型コピー機はどうか、となるとだんだん曖昧になってくる。また、セキュリティー用の入退館システムはITに入るが、防犯カメラはどうか、館内ロビーの情報ボードはどうか、となると曖昧である。

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著者プロフィール

横浜 信一(よこはま・しんいち)

横浜 信一

東京大学工学部卒業。ハーバード大学ケネディ行政大学院修了。通商産業省(現経済産業省)にて情報処理産業関連部署などを歴任。金融、通信業界を中心とし、運輸、製薬など様々な業種に対して、ITコスト削減、IT組織の運営設計、企業合併に伴う統合マネジメントなど、企業のIT課題解決に取り組む。共著に『ITの本質』など。寄稿文多数



このコラムについて

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