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日本の住宅ローンはなぜノンリコースにならなかったのか

GHQが動いて建築基準法が1950年に確立されたものの…

  • 澁谷 征教

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2009年1月22日(木)

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 私が欧米の住宅に初めて接したのは、学生時代のことです。1968年メキシコ国際スポーツ大会・プレオリンピックの大型ヨット競技に参加した際、米国やメキシコの選手や関係者の家にお世話になりながら練習試合やトレーニングをして移動し、メキシコ・アカプルコの会場での本番レースに挑みました。当時の日本の選手は参加国の中でも一段と貧乏で、海外遠征の費用は1ドル=360円の時代に600ドル以内。まともなホテルにはとても宿泊できなかったわけです。


米国の首都ワシントン近郊の住宅地。ここにはタウンハウスと呼ばれる連棟住宅や、ジョージアンスタイルの住宅がある。その土地に昔から築かれてきた住宅のスタイルを現代の開発に取り込むのが最近の流行

 その時にお世話になったのは、たいがい土地のヨットクラブの幹部の家で、今思えばすべて豪邸でした。ロサンゼルス郊外ニューポートビーチのクラブ・キャプテンのフィッカーさん宅にもお世話になりました。建築設計事務所のオーナーであるフィッカーさんは、アメリカズカップのスキッパーでもあった人です。サンディエゴでは現地の保険会社のオーナーの家、メキシコではクライスラーの社長の家と大豪邸でお世話になりました。

 横浜で生まれた私は、本牧界隈や横浜近郊にあった米軍施設や住宅を見慣れていたせいか、ロサンゼルス郊外の一般の住宅地の景観には違和感がなかったのですが、ニューポートビーチなどで1エーカー(約1200坪)の敷地に立つ豪邸のインテリアデザインやランドスケープデザインには驚きました。今から40年も前の話ですが、この時に受けた強烈なカルチャーショックは、私が今の住宅開発プランナーの仕事をする大きなきっかけになりました。

日本はノンリコース(借主責任限定型)にならなかった

 さて、本題に入ります。前回の「日本の住宅ローンは世界から見れば変則です」では、米国の住宅ローン誕生の背景と「ノンリコース」(借主責任限定型)の住宅ローンについて説明しました。補足しますと、1930年代の世界大恐慌で過酷な債務に苦しむ人々を救うため、担保物件競売後の不足額の請求を制限・阻止する法律(アンチ・ディフィシェンシー・ロー=anti-deficiency law)が施行されることにより、多くの州で実質的にノンリコースという形態でローンが組まれることになりました。


外観はクラシックでも、内部は近代的で快適なライフスタイルを過ごせる住宅が人気

 ノンリコースローンは、カリフォルニア州を中心とした西海岸で運用され、すべての州で施行されているわけではありませんが、この法律の考え方が米国の住宅ローンの根底にあります。金融事故となった住宅ローンに対し、追いはぎのような残債追求を回避する法律に基づいて、ノンリコースと言える解決がなされているのが現実です。金融論として異論はあると思いますが、一般的な解釈として、米国では差し押さえに直面しても、最終的にノンリコースとほぼ同様の解決がなされていることが多く、したがって、日本のリコースローンとは本質的に異なります。

 またノンリコースは金利がやや高めですが、米国の多くの州のシステムでは住宅ローンの金利が所得から控除されているため、一概に金利が高いからメリットが小さいとも言えないようです。

米国のノンリコースの絶対条件

 1930年当時、住宅金融機関(貸し手)がアンチ・ディフィシェンシー・ローという法律を受け入れたのは、この制度に対応する絶対条件として「建築三法」(建築基準法、建築士法、建築業法)が整備されていたからです。さらに「住宅地管理組合」(HOA=Home Owners Association)と「住宅所有者」(HO=Home Owner)との間の「環境管理約款」(CC&Rs=Covenants,Conditions and Restrictions)、正しい販売価格を評価する公的な不動産鑑定評価「アプレイザル」の確立が絶対条件でした。

 つまり、ノンリコースに当たり、金融機関にとってはリスクを回避するため、分譲地の資産価値の維持と向上を図るこれらの仕組みの確立が絶対条件であったわけです。

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