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ヒップホップ支援と狩野派展の後援は何か違うのか

不況の今、CSRについて考えてみる

  • 須田 伸

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2009年2月3日(火)

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 不景気よりも好景気のほうがいいに決まっているのですが、景気のいい時には話しづらいことが話しやすくなるというのは、不景気の数少ない利点かなと思います。今回は、そんな好景気の時には話しづらいとぼくが感じている「CSR」(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)、について書いてみようと思います。

就活学生からよく聞かれる「御社のCSR活動は何ですか?」

 ぼくはサイバーエージェントの新卒採用に毎年なんらかの形でからんでいます。そんな中でよく大学生に聞かれるのが「サイバーエージェントのCSRについて教えてください」という質問です。

 いろいろ話したいことがあるのですが、なかなか手短にまとめることができないので、「いろいろやってるよ」と話して、例えばの事例として以前にこのコラムでも紹介した渋谷で行われたアートのインスタレーションのスポンサードのようないくつかの実例をあげると、学生は満足そうな顔をするのでそこでその話は終わりになります。

 でも、心の中では「長くなるし、誤解されてとられても嫌なのでこう話したけど、本当のところはもうちょっと複雑なんだよなぁ」と思ってしまいます。

 大学生としては、大学を卒業後の自分が長い時間を過ごすことになる組織が、単に営利を追求するだけでなく、社会の一員としての責任と自覚を持って行動する団体であってほしい、という素直な気持ちからの質問なのだということは、よく伝わってきます。そして、それに対して「もちろん、そうだよ、サイバーエージェントはそういう組織だよ」とこたえるようにしています。

 しかし、もう一段つっこんで話すと、「そうだよ。でもね…」ということになるのです。その「でもね…」に続く部分を今回はお話しようと思います。

「社会的責任」の取捨選択は何を基準に行うのか?

 いくつかの実績はあるものの、サイバーエージェントは、CSR、とりわけ、いわゆる「フィランソロピー」的な活動を積極的に展開しているわけではありません。お話を伺って、協力できる形で援助させていただいた事例はいくつかありますが、すべて個別にその都度判断して行われてきたものばかりです。年間である一定金額をフィランソロピー活動に対して予算として確保していたり、そのための部署が存在しているわけではありません。

 しかし、昨今の時流としては、特に昨年9月のリーマンショック以前までの時流としては、企業はもっと自らの社会的な責任を自覚して、営利の拡大だけではなくさまざまなCSR活動にもっと人的資産も金銭的資産も振り向けるべき、という声が高まりつつありました。

 ここで難しいのは、仮に一定の予算や人員を確保したとして、何を行い、何を行わないか、という判断基準をどうするのか? ということです。

 地球の温暖化を抑制するための植林活動に、という意見もあれば、貧しい国に医師を派遣するような活動の支援を、という考えもあるでしょう。事業であれば、その事業に将来性があり、自分たちの組織の強みが生かせて、健康的な利益をあげることができるかどうか、といった判断基準をもってはかることができますが、フィランソロピー活動にはそうしたモノサシが存在しません。今、たとえばの例としてあげた環境保全や、発展途上国での医療支援にしても、その他のさまざまなフィランソロピー活動にしても「あまたある選択肢の中からなぜこれなのか」という説明が極めて困難になってしまいます。

 また、たとえば地球温暖化であれば、武田邦彦さんや池田清彦さんなどが唱えているような「CO2の削減運動はまったく科学的にナンセンス」という説もあり、社員または株主全員の意見が一致するような「社会的責任の取り方」というのは、まず無理だと言わざるをえません。

 では、CSRとはどうあるべきなのか? これはまったくの個人的な意見ですが、「雇用と十分な給与の支払いとワークライフバランスの確保」だと考えています(もちろんこれに加えて「納税」も、国にお金を渡して配分は国会で決めてもらう、という形でのCSRに入ると思いますが)。

「サイバーエージェントさんにはお世話になっています」

 昨年末にアメーバブログとルイ・ヴィトンのタイアップ企画で、m-floのVERBALさんをインタビューしました

 その際に、VERBALさんから「いやぁ、サイバーエージェントさんには、日本のヒップホップをすごく支援してもらっていて、とっても感謝しているんですよ」と言っていただきました。嬉しかったのですが、少々複雑な気持ちもしました。

 たしかに、過去にm-floの全国ツアーに「協賛」という形でスポンサードさせていただいたことがあるのですが、それは当時まだ知名度の低かったアメーバブログを、m-floのライブ入場者の方々に認知していただくための「広告宣伝活動」としてであって、「支援」という意味合いは殆どなかったように記憶しているからです。

 そしてこのツアー協賛以外の、VERBALさんが「支援」と言ってくださった活動は、すべて会社代表の藤田が、彼が愛してやまない日本のヒップホップを盛り上げていくために、個人資産を用いて行われているのです。

 アート活動の支援も企業のフィランソロピーのひとつに数えられますが、これも環境問題などのケースと同様に、何を支援するのか、が企業の判断としては非常に難しくなってしまいます。

 たまたま社長がジャパニーズ・ヒップホップを好きだから、会社としてもジャパニーズ・ヒップホップに「広告宣伝」ではなく「文化事業」としてお金を出す、というのは、おそらく多くの社員や株主は不快に感じると思うのです。仮に実行されれば、「俺はアメリカンロックが好きだ!」とか「ヨーヨー・マーに会社に来てチェロを弾いてほしい」といったさまざまな異論が噴出することになるでしょう。

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