「宮田秀明の「経営の設計学」」

宮田秀明の「経営の設計学」

2009年2月6日(金)

「減らすビジネス」が利益を生む

量の拡大だけの成長・進化には限界がある

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 21世紀には、「減らすビジネス」が増えてくるだろう。これまでは販売数量を年々増やすことで利益増を図ろうとする企業活動がほとんどだった。しかし、考え方を変えてみようではないか。

 成長や進化は量の拡大によってしかもたらされないのだろうか。もしそうだとしたら、環境問題の解決は永久にないだろうし、地球が持続可能ではなくなるだろう。「減らすビジネス」を創造する活動を強めなければならないのではないか。

 富士ゼロックスはオフィスの複写機の台数を減らすことをビジネスにしたそうだ。稼働率の低い複写機を撤去して、そのオフィスにとって最適な台数を設置することをコンサルテーションするのをビジネスにしたという。複写機の台数を減らしたからといってコピー枚数が減るとは限らないし、トナー代やメンテナンスで収益を得るという典型的なアフタービジネスである複写機販売ビジネスだからこそできたとも言えるが、それでも「減らすビジネス」の発想は素晴らしい。

環境問題への貢献と新事業創出の一石二鳥となる

 もし、アフタービジネスを含めた複写機ビジネスの粗利が30%で、複写機を減らすコンサルティング・ビジネスの粗利が70%だとしたら、この複写機会社の利益率は向上することになる。

 通信販売業界では迅速な配達が競われている。東京23区内なら翌日配達だけでなく、午前10時までの注文なら当日配達するサービスもある。このような通販ビジネスを使う顧客企業の購買行動を解析してみると、年間50万円購入する顧客の注文回数は年10回から年100回までといったように広く分布している。

 すぐ配達されることをいいことに、今日お茶を注文して、翌日にコピー用紙を注文して、3日後にはトナーを注文するといった無計画な購買行動も少なくないようだ。便利な配達サービスに甘えて、計画的な発注が行われないことが多いのだ。高頻度の発注と配達はコストだけでなく資源・エネルギーの面からもムダが多い。

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著者プロフィール

宮田 秀明 (みやた ひであき)

宮田 秀明

1948年生まれ。1972年東京大学大学院工学系研究科船舶工学専門課程修士修了。同年石川島播磨重工業(現IHI)に入社、77年に東京大学に移り、94年より同大教授。専門は船舶工学、計算流体力学、システムデザイン、技術マネジメント、経営システム工学。世界最高峰のヨットレース「アメリカズ・カップ」の日本チーム「ニッポンチャレンジ」でテクニカルディレクターを務めた。著書に『アメリカズ・カップ―レーシングヨットの先端技術―』(岩波科学ライブラリー)、『プロジェクトマネジメントで克つ!』『理系の経営学』(日経BP社)など


このコラムについて

宮田秀明の「経営の設計学」

経営には「論理」が必要である。論理を積み重ねた理系思考がイノベーションを育む。技術力を最大限に生かし、プロジェクトをまとめ上げ、新しいビジネスを創造する。「理系の経営学」を提唱する東京大学の宮田秀明教授が理系の視点による経営の要諦を語る。

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