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【3】「コンピュータ」は死語にあらず

2009年2月12日(木)

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 IT(情報技術)という言い方が登場して以来、「コンピュータ」という単語が登場する回数はめっきり低くなってしまった。日経ビジネスオンラインの表記では「コンピューター」と書くはずだが、今回は諸般の事情で「コンピュータ」とさせていただく。新興企業や改名した企業の名称を見ても、インフォメーションやテクノロジーあるいはシステムを冠したものは多いが、コンピュータはあまり見かけない。例えば、パソコン大手の米デルはかつてデルコンピュータと名乗っていた。

 つい先日、ある人から「コンピュータはもはや死語でしょう。雑誌名を変えてはいかがですか」と言われてしまった。筆者が「日経コンピュータ」という雑誌の編集長をしているからだ。ところが「28年続けている名前ですからそう簡単には」と責任者にあるまじき弱気な回答をしたため、「そのうち、そのうち、と思っていると手遅れになりますよ」と畳みかけられ、言い負かされた恰好になってしまった。

 編集部の記者は誰一人同意してくれないが、筆者は対人交渉力がかなり弱く、1対1の議論になると大抵論破されてしまう。複数人が議論する場になると発言すらおぼつかず黙ってしまう。ただし、見かけ上は論破されたようでも当人は納得しておらず、家に帰って1人で原稿を書き出すと突然強気になり、反論めいた文章をつづったりする。

 雑誌名の件も「1月1日から編集長に就任したばかりなのにこれではまずい」と思い直し、次に同じ問いかけをされた時、直ちに反論する言い回しを考え、メモに取った。「雑誌名は人名と同じで歴史があり変えることはできません」「ITと言っても、要するにあらゆるところにコンピュータが浸透し、見えなくなっているだけで、コンピュータが無くなったわけではありません」「そもそも、そうおっしゃるあなたの所属する企業も、社名と実態がもはや合っていないのに改名されていませんね」といった具合である。「なんら反論になっていない」と思われた読者もおられようが、単に言い返すためのメモなのでご容赦いただきたい。

 これで一安心と思ったが、ふと気になって、わが日経コンピュータを数冊めくってみると、記事の中にコンピュータという単語をほとんど見いだせない。日経コンピュータが主に取り上げているのは、コンピュータに業務を処理するアプリケーションソフトウエアというものを搭載した、いわゆる企業情報システムなので、システムという言葉は出てくるが「コンピュータ」とは書かなくなっている。また、筆者が入社した23年前、コンピュータ関連の仕事をする企業群を「コンピュータ産業」と書いていたが、昨今は「IT産業」と書く。

 「あらゆるところにコンピュータが浸透し、見えなくなっているだけ」というのは実際その通りなのだが、コンピュータという言葉が誌面に登場しないのは寂しいし、「自分で使わない言葉を雑誌名に掲げているのですか」と突っ込まれると、また黙ってしまいかねない。誌面にコンピュータという言葉を登場させるべく、日経コンピュータ2月1日号の「谷島宣之の眼」という連載コラム欄に「結局はコンピュータと人の問題」と題し、以下の一文を書いた。全文を再掲しつつ、簡単な解説を加えてみたい。

 本欄に筆者が執筆するのは今回をもって最後となる。1月1日付で本誌の編集長に就任したためだ。これからは自分で原稿を書くのではなく、編集部の記者や外部の識者の方々に原稿を書いてもらう仕事になる。本連載は2007年1月8日号から始まっており、それから2年間、3号に1回登板したので、今回が15回目になる。これまで読んで下さった読者にこの場を借りてお礼を申し上げる。最終回にあたっては、編集長として本誌をどう編集していくのか、方針を述べたい。最終回に今後の話を書くのは変だが、本誌に編集長が演説できるページがないので、またしてもこの場を借りることにする。


 編集長になることが決まってから、「23年間続けた記者の仕事から引退します」と題した記者引退宣言を書き、社内の各種Webサイトや学会誌などに書いていた連載を徐々に終了させつつある。日経コンピュータの連載も止めることにした。本当は2月1日号にも書かないつもりだったが、担当編集者から「終了挨拶もなしに連載をいきなり止めるのはおかしい」と言われ、それでは「コンピュータという単語が出てくる一文を書こう」と思い立った。このように、とにかく1対1のやり取りには弱い。

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「【3】「コンピュータ」は死語にあらず」の著者

谷島 宣之

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BPビジョナリー経営研究所

一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。1985年から日経コンピュータ記者、2009年1月から編集長。2013年から現職。プロジェクトマネジメント学会員、ドラッカー学会員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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