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【4】影響が大きすぎて判決を下せなかったか。みずほ証券・東証の株誤発注裁判の謎

2009年3月5日(木)

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 裁判の世界には詳しくないが、判決を言い渡す直前に延期し、口頭弁論からやり直すというのは、相当に異例のことだと思う。みずほ証券が、株誤発注による損失約415億円の賠償を求めて東京証券取引所を訴えていた、いわゆる「株誤発注裁判」の件である。

 この裁判は2006年12月から始まり、2009年2月27日に判決が出る予定で、「日経コンピュータ」誌は判決直後に特集記事を掲載する準備を進めていた。この裁判の論点の1つが、東証が保有する情報システムの不具合だったからである。日経コンピュータはかねて、東証の情報システム問題を報道してきた(「東証システム問題」参照)。この取材に当たってきた記者と編集長の会話を、以下に掲載する。


編集長 判決が出ないことになったそうだが、それなりの期間、口頭弁論をやっていたはずではなかったのか。

記者 裁判の開始が2006年12月からですから、ちょうど丸2年が経っています。これまで13回の口頭弁論があり、いったん結審していたので、大丈夫と思って特集を書くと申告したのですが。判決が出ない以上、申告していた特集記事は掲載できなくなりました。誌面の変更をお願いできますか。すみません。

編集長 君が謝る話ではない。それより裁判はどうなって、いつ頃判決が下るのか。

判決を延期した理由は、どこにあるのか

記者 口頭弁論を再開するそうですから、数回の応酬があるとして、どれほど早くても判決が出るまで半年はかかるでしょう。ひょっとすると年末、いや2010年の頭までずれ込むかもしれません。

編集長 むむむ。となると、特集は来年以降の掲載か。そもそもの誤発注があったのはいつだったのか。

記者 2005年12月です。みずほ証券の担当者がジェイコム株を誤発注してしまい、誤りに気づいて発注を取り消そうとしたものの、東証の情報システムがうまく動かず、取り消せませんでした。この結果、みずほ証券は400億円を超える損失を出してしまったわけです。

編集長 誤発注したのだから、みずほ証券の自業自得、という単純な話ではなかったと。

記者 東証のシステムがきちんと動けば、担当者は誤発注を取り消せた、だから「取り消しをしようとした以降の損失は東証に責任がある」とみずほ証券は主張しました。ここで注目されたのは、東証の取引参会者規定です。そこには、「市場施設の利用に関し損害を受けても、取引所に故意又は重過失がある場合を除き、取引所は賠償責任を負わない」とあるのです。当然、みずほ証券は東証に重過失があると見ています。一方、東証は、取引の場を提供しているだけであって、一つひとつの注文を処理する契約上の義務はない、と反論しました。

編集長 システムがうまく動かなかったのは、コンピューター・プログラムにバグ(記述ミス)があったからだったね。

記者 はい。いくつかの条件が揃わないと顕在化しないバグであったのですが。開発したのは富士通です。みずほ証券は、情報システムの専門家の意見書を提出し、東証はシステム開発の発注者がすべき管理業務を怠っていた、だから責任がある、と訴えました。

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「【4】影響が大きすぎて判決を下せなかったか。みずほ証券・東証の株誤発注裁判の謎」の著者

谷島 宣之

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BPビジョナリー経営研究所

一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。1985年から日経コンピュータ記者、2009年1月から編集長。2013年から現職。プロジェクトマネジメント学会員、ドラッカー学会員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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