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日本企業にオープン・イノベーションは有効か?

オリンパスが再確認した世界の技術レベル

  • 諏訪 暁彦

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2009年3月12日(木)

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 総じて売上高研究開発費比率の低い海外企業が、自社に足りない技術を外部から取り込む「オープン・イノベーション」で効果が上がるのは分かります。しかし、多くの研究者を抱え、高い技術レベルを誇る日本企業においては効果があるのでしょうか。

 内視鏡で世界トップシェアを誇り、デジタルカメラにおいても世界最速オートフォーカス技術や、撮影後の手ぶれ補正技術など、独自技術を開発し続けてきたオリンパス(昨年の売上高研究開発費比率は5.8%)。同社の研究開発陣は2007年夏、さらに開発リードタイムを短縮し、新しい製品を生み出すうえでの新たな開発の進め方を検討していました。 

 検討の背景は2つありました。1つは、優れた機能を構築するのはただでさえ容易ではないのに、ユーザーの価値観が多様化したため、1つの製品で複数の優れた機能が求められるようになったことです。もう1つは、開発するリードタイムが1~2年と短縮してきたことです。これまでの開発手法はもはや通用しない事業環境になってきたのです。

 このような状況を打開するため、同社は4年前にTechnology Acquisition Groupを米国サンノゼに設立し、積極的にバイオ、IT(情報技術)、画像処理などの分野の研究開発状況の情報収集を行いました。確かに、バイオ、IT、画像処理などについては海外からの先進技術の取り込みが見込めそうでした。

世界で最も優れた技術を短時間のうちに把握したい

 しかし、精密光学製品に欠かせない、材料やプロセス、小型デバイス分野の技術を取り込めるかは、実際に募ってみないと分かりませんでした。これらの技術分野は、日本企業の技術レベルが高く、現在も、オリンパス、キヤノン、ニコンをはじめとした日本メーカーが世界的に技術進歩を牽引している領域です。オリンパスの研究開発の歴史も長く、自社としての強みもあり、かなり網羅していると自負していた状況でした。

 その一方で、開発部門には不安もありました。事業部からの高い要求に応えようとするとデバイスの材料の改良まで視野に入れる必要があり、そこまで広げてみると世界的に見て最も優れた技術を、短時間で効率的に把握し続けるのは至難の業になってきていたためです

 そこで、オリンパスは、全世界に対し、精密光学製品用の材料や加工技術、部品の技術ニーズを開示して、解決策の提案を募ることにしました。

95件の技術提案が21カ国から届く

 それまで自社でも相当検討を進めていたため、正直あまり提案が来ないのでは、と考えていましたが、その予想は良い意味で裏切られました。4つの技術ニーズを開示して募集を行ったところ、合計95件の提案が米国、カナダ、ドイツ、フランス、スペイン、ポルトガル、ベルギー、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、ロシア、ブルガリア、ルーマニア、日本、中国、インド、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、ブラジル、エジプトの合計21カ国から届いたのです。
 
 数だけではありません。実用化が難しいと考え、自社が断念していた技術の手法を「よくここまで作り込んだ」と思えるほど完成度を高めた技術の提案が、欧州の人口10万人の町から来るなど、質の高い提案が受けたことにも驚かされました。結局、同社は5つの組織と組み、技術の実用化の検討を進めることにしました。

 このように、日本が強いと言われている分野でさえ、世界を見るとまだまだ驚きの技術は埋もれていて、技術導入の機会は十分にあります。研究開発投資額の増加率は、日本国内よりインド、中国などの急成長している国の方が高いため、今後ますます、優れた技術が海外で生まれる傾向は高まっていくかもしれません。 

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