「横浜信一の「ビジネステクノロジー進化論」」

ITで無形資産をつくり、「パワーカーブ」を駆け上ろう

景気の激動期は産業構造の変革期

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2009年3月17日(火)

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 経済環境の激動期である今、つい先日までは業界トップクラスの地位にいたプレーヤーが経営危機に見舞われたり、逆に中堅クラスにいた企業が国境をまたいだM&A(合併・買収)によって、自分よりも大きな企業を買収したりするといったケースが数多く起きつつある。

 いわば、産業構造が大きく変化する可能性があるわけだが、今回の激動期の前後では、業界内での勢力図が大きく変動する可能性がある。そこで、1つの業界の中で勢力分布を把握する分析手法としての「パワーカーブ」をご紹介したい。

パワーカーブとは何か

 まず、図1をご覧いただきたい。これは、米国の商業銀行について預金総額の大きな順に、1〜30番までを並べて折れ線グラフで表現したものである。パワーカーブとは、このように業界内での順位を並べることで出来上がる曲線を言う。カーブが急であればあるほど、一部の少数プレーヤーがドミナントなポジションを占める業界構造ということになる。

米国の商業銀行の預金残高で見た「パワーカーブ」

 図1では1994年、2007年、2008年と3本のパワーカーブが描いてある。一見してお気づきのように、カーブの急峻度合いは時系列の中で強まっている。1994年には10位とトップの差は約3倍であったが、2008年には10倍に広がっている。逆に2位、3位には大規模プレーヤーが出現している。

 このような「勝ち組」とそれ以外の差が明確になるのは、どの業界でも共通な傾向にあるが、規制緩和など競争原理が変化した前後でそのスピードに差が出てくる。米国の商業銀行を例に取ると、1994年に州をまたがる銀行業務の規制緩和が行われたことが大きな要因と考えられる。

 それでは、パワーカーブの形状を複数の業界の間で比較すると、どうなるであろうか。図2は、ソフトウエア、バイオ技術、保険、機械、化学の5業種について、企業価値を物差しとして、パワーカーブを描いたものである。5本のカーブは前記の5業種の順に急峻なものとなっている。

業種別に企業価値で見た「パワーカーブ」

 このようなカーブの形の違いは、何によって引き起こされているのだろうか。規制緩和がカーブを急峻にすることは銀行業界の例で述べたが、図2で見ると規制色の強い保険業界の方が、グローバル均一市場での競争にさらされている機械や化学業界よりもカーブが急であるので、必ずしも規制の強弱だけが要因ではないようである。

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著者プロフィール

横浜 信一(よこはま・しんいち)

横浜 信一

東京大学工学部卒業。ハーバード大学ケネディ行政大学院修了。通商産業省(現経済産業省)にて情報処理産業関連部署などを歴任。金融、通信業界を中心とし、運輸、製薬など様々な業種に対して、ITコスト削減、IT組織の運営設計、企業合併に伴う統合マネジメントなど、企業のIT課題解決に取り組む。共著に『ITの本質』など。寄稿文多数



このコラムについて

横浜信一の「ビジネステクノロジー進化論」

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