• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

縮みゆく大学経営

国立大学法人化の精神はどこへ行った

  • 宮田 秀明

バックナンバー

2009年4月3日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 私は仕事を断るのが不得手だ。だから、つい難しい仕事を引き受けて自分を忙しくして、時間的な余裕のない人生にしてしまっている。

 この時もそうだった。

 国立大学が法人化を控えた1年と1カ月前、工学部長のO先生に頼まれた。

 「法人化に向けて全学的な制度設計をしなければならないようだ。テーマは知財管理、利益相反、産学連携ということになっている。この3つをまとめる座長を最大部局である法学部、経済学部、工学部から出さなければいけないことになった。工学部には知財管理が割り振られている。お願いできないですか」

 私は知財にそれほど明るいわけではなかった。大学全体をまとめるマネジメントの力を期待されたのだ。それから13カ月にわたって25回ほどの会議の末に知財ポリシーと知財ルールを定めた。米国の「バイ・ドール法」にならって知財を機関帰属することに定めたのだ。

 全部局の合意を得ることにも苦労したが、それより大変だったのは、この知財ルールでマネジメントできるようにすることだった。すべての発明について機関帰属を前提に大学が出願すれば、膨大な予算を必要とするかもしれない。そのため、ある程度の選別をシステム的に組み込む必要がある。

 一方では、知財には一種の営業活動が必要となる。知財が社会貢献し利益を生み出すためには営業活動が欠かせない。しかし、大学の予算も人員も限られているし、大きな営業力は期待できない。このことを解決するための工夫作りに、労力と知恵が必要とされた。

 この作業を支えてくれたのは民間企業から特任教員として派遣されてきた方々だった。最終的には同じような立場で東京大学に協力してくださった弁護士や弁理士の方々にもお世話になった。こうして何とか法人化前に作業を終えることができた。

社会に開かれた大学を目指したものの…

 3つのテーマのうち「利益相反」の委員会の成案には感心した。法学部のI教授が主査だった。べからず集を作らないでセーフ・ハーバー・ルールとして定めたのだ。いろいろな事例に対して安全に守れる例と守れない例、つまり利益相反例について1件1件判定し、過剰な規制によって産学連携活動を萎縮させないようにしようという精神で作られていた。

 こうして、独立した法人として東京大学がもっと社会に開かれた大学として再出発する準備が、ギリギリのタイミングで整えられたのだ。

 それから5年の歳月が流れた。当初は産学連携本部が強化されたり、技術移転会社が設立されたり、投資会社が設立されたりして、社会へ開かれた大学への歩みが確実に進んでいるように思えた。ところが最近、内部から立ち上がる風のような逆流が目立ってきている。

コメント9

「宮田秀明の「経営の設計学」」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

ライバルは思わぬところから出現します。

浜田 健一郎 ANA総合研究所 シニアフェロー・前NHK 経営委員長