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縮みゆく大学経営

国立大学法人化の精神はどこへ行った

  • 宮田 秀明

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2009年4月3日(金)

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 私は仕事を断るのが不得手だ。だから、つい難しい仕事を引き受けて自分を忙しくして、時間的な余裕のない人生にしてしまっている。

 この時もそうだった。

 国立大学が法人化を控えた1年と1カ月前、工学部長のO先生に頼まれた。

 「法人化に向けて全学的な制度設計をしなければならないようだ。テーマは知財管理、利益相反、産学連携ということになっている。この3つをまとめる座長を最大部局である法学部、経済学部、工学部から出さなければいけないことになった。工学部には知財管理が割り振られている。お願いできないですか」

 私は知財にそれほど明るいわけではなかった。大学全体をまとめるマネジメントの力を期待されたのだ。それから13カ月にわたって25回ほどの会議の末に知財ポリシーと知財ルールを定めた。米国の「バイ・ドール法」にならって知財を機関帰属することに定めたのだ。

 全部局の合意を得ることにも苦労したが、それより大変だったのは、この知財ルールでマネジメントできるようにすることだった。すべての発明について機関帰属を前提に大学が出願すれば、膨大な予算を必要とするかもしれない。そのため、ある程度の選別をシステム的に組み込む必要がある。

 一方では、知財には一種の営業活動が必要となる。知財が社会貢献し利益を生み出すためには営業活動が欠かせない。しかし、大学の予算も人員も限られているし、大きな営業力は期待できない。このことを解決するための工夫作りに、労力と知恵が必要とされた。

 この作業を支えてくれたのは民間企業から特任教員として派遣されてきた方々だった。最終的には同じような立場で東京大学に協力してくださった弁護士や弁理士の方々にもお世話になった。こうして何とか法人化前に作業を終えることができた。

社会に開かれた大学を目指したものの…

 3つのテーマのうち「利益相反」の委員会の成案には感心した。法学部のI教授が主査だった。べからず集を作らないでセーフ・ハーバー・ルールとして定めたのだ。いろいろな事例に対して安全に守れる例と守れない例、つまり利益相反例について1件1件判定し、過剰な規制によって産学連携活動を萎縮させないようにしようという精神で作られていた。

 こうして、独立した法人として東京大学がもっと社会に開かれた大学として再出発する準備が、ギリギリのタイミングで整えられたのだ。

 それから5年の歳月が流れた。当初は産学連携本部が強化されたり、技術移転会社が設立されたり、投資会社が設立されたりして、社会へ開かれた大学への歩みが確実に進んでいるように思えた。ところが最近、内部から立ち上がる風のような逆流が目立ってきている。

コメント9件コメント/レビュー

文系の博士号に関して幻想を持っておられるような方がコメントされているようですね。文系の博士論文は、書籍として出版されるべき分量と内容を持ったものです。そして、理系も同じかとは思いますが、最先端の研究はそのほとんどが論文という形で発表されます。博論は、それまでの論文を集め、またそれに新たな研究を加えて発表するのが基本かと思いますので、ほとんど古い内容です。文系でまだ博士号を取得されていない先生方は、論文を発表し続けておられる方が多いです。その方々に「過去の研究をまとめろ」というよりも、研究に指導に当たって戴いた方が、利益が大きかろうと思います。(2009/04/05)

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文系の博士号に関して幻想を持っておられるような方がコメントされているようですね。文系の博士論文は、書籍として出版されるべき分量と内容を持ったものです。そして、理系も同じかとは思いますが、最先端の研究はそのほとんどが論文という形で発表されます。博論は、それまでの論文を集め、またそれに新たな研究を加えて発表するのが基本かと思いますので、ほとんど古い内容です。文系でまだ博士号を取得されていない先生方は、論文を発表し続けておられる方が多いです。その方々に「過去の研究をまとめろ」というよりも、研究に指導に当たって戴いた方が、利益が大きかろうと思います。(2009/04/05)

 提示された著者の論は、問題を金儲け主義という問題に片寄っている。《金が凡てではない。》国立で大学を作る所以は、国家の永続的存在を確保するための人材養成であり、広範ないろいろな専門分野を、卒業後担当するとしてもいわば倫理観を身につけるところに、国立大学設立の意義があるのではないか。 日銀総裁が株の扱いの変更で、非常識な金儲けをして平然としているような世の中になっては、善良な大衆も社会を信用して働く意欲をうしなう。 因みに私は先年の太平洋戦争当時、高等学校教育を受けた89才の者であり、リベラルア-ツ教育が、変動に終始した生涯を通じて、ものごとの選択判断に大変役立った。 総長選挙を多人数でこなってはいけない。多人数選挙は多民族集合の国家などで必要なことだ。(2009/04/05)

結論が突飛に過ぎます。また博士必須を否とするのはよいとしても、ならば違うシグナル(指標)を設定するなりといった対案なく民営化だの全面的な民間出身者の受け入れだのというのは空論にしか感じられません。それこそ修士教養課程レベルの門外漢教員を粗製濫造する危険を叫ばれるのが目に見えています。先日も桑田氏が非学位ながら"大卒相当"として大学院への入学を許可されましたが、指標を設定しない限りこういった"例外(売名)的事例のみ許可する"という大学にとっても好ましくない風潮が固定化する訳でしょう。外部者ならまだしも筆者は間違いなく内部者、それもシステムを構築する権威者に関わらずその程度の論議に終始している様では正直最高学府の名にしおうのかと疑義を感じざるをえません。十年一日かつ内輪話に過ぎないとはいえ大学総長選における"政治"の話など興をそそる話題もあっただけにこのところの低調な記事は残念に思います。(2009/04/04)

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