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【5】何度やってもうまく書けない「情報システムのダウン(停止)問題」

2009年4月2日(木)

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 「編集長がそのような姿勢を取るのは危険である」「情報システムのプロフェッショナル向け雑誌が書いてはいけない話だと思います」。

 最近の「日経コンピュータ」誌に掲載した特集記事に対し、上司、社内の諸先輩、さらには編集部員から冒頭の批判が寄せられた。特集のテーマは、情報システムのダウン(停止)にどう対処すべきか、というものであった。社内のやり取りをわざわざ開示する必要はないが、このテーマは重要と思うのでこの場を借りて報告し、日経ビジネスオンライン読者のご意見を伺ってみたい。

「マスメディアの報道批判」に批判

 特集の題名は「ダウンに動ぜず」という。特集の構成は以下の通りである。冒頭に、情報システムのダウンは新聞やテレビで大きく報道されがちだが、ダウンの影響度合いに比べると報道が大げさかつ理不尽である、という主張を掲載した。次に、理不尽だが世間が問題視するにはそれなりの理由がある、情報システムのプロは批判に耐え、しかるべきダウン対策を講じるべきだ、と続けた。

 そして、ダウンが起きたとしても動じないための具体策を紹介して締めくくりとした。動じない具体策とは、システムがダウンすることを想定し、システムが停止していても業務を止めない代替手段を用意しておく、情報システムに詳しくないマスメディアに対しダウンの原因と対策をきちんと説明できる要員を置いておく、などである。

 「情報システムのダウンは新聞やテレビで大きく報道されがちだが、ダウンの影響度合いに比べると報道が大げさかつ理不尽である」という主張は筆者の持論でもあり、昨年末までの本欄でそれに近い趣旨を数回述べてきた(一例は「『トレードオフの概念は日本に無いのか』三菱東京UFJ銀のシステム一本化報道に思う」)。日経ビジネスオンライン読者の皆様から肯定と否定の両方のご意見を頂戴したが、当時は編集委員という立場であり、独断と偏見を売り物にしたコラムに書いたこともあって社内から特に何も言われなかった。

 しかし今年から「日経コンピュータ」編集長に就任し、雑誌の看板である特集記事で同じ主張をすると話は変わってくる。上司や社内の諸先輩からの批判をまとめると、「情報システムが実際にダウン(停止)し、顧客に迷惑がかかっている。その問題を取り上げ、原因と対策を論じるのが本来の報道である。そうではなく、ダウンを巡る報道が理不尽と書くのはおかしい。そもそも、どのような根拠でそう言っているのか」というものであった。

 上司には次のように説明した。「情報システムのダウンに関する報道が過熱し、必要以上に大きく報じられることに、日経コンピュータの読者である情報システム担当者は不満を抱いている。今回の特集では、あえてその不満を文字にして読者の共感を得つつ、とはいえ過剰報道は当面やまないのだからそれを前提にリスクマネジメントをしよう、と本題に持っていく構成にした」。

 この説明に対する上司の返事はこうであった。「良い構成とは言えない。本題のリスクマネジメントの説明はあまり記憶に残らず、『マスメディアの報道がおかしい』と書いた冒頭部分への違和感ばかりが残る。仮に読者がそういう不満を感じているとしても、そのまま書けばいいというものではない」。

 社内の別な人からは「理不尽な過剰報道だとマスメディアを批判すること自体どうかと思うし、批判するにしても根拠を示さなければならない」と指摘された。特集の中には、鉄道のトラブルを引き合いに出し、「列車の遅れや不通の方が情報システムのダウンより頻繁に起き、しかも社会へ与える影響が大きいのにほとんど報道されない」といった趣旨の記述があったのだが、納得は得られなかった。

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「【5】何度やってもうまく書けない「情報システムのダウン(停止)問題」」の著者

谷島 宣之

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BPビジョナリー経営研究所

一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。1985年から日経コンピュータ記者、2009年1月から編集長。2013年から現職。プロジェクトマネジメント学会員、ドラッカー学会員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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