政府にCIO(最高情報責任者)という役割は必要だろうか? 省庁という組織単位でCIOが置かれているケースは日本にもあるが、政府全体のCIOというとあまり例を見ない。
ドイツにヘッセンという州がある。フランクフルトがあるところ、と言えば「ああ、あの辺りか」と思われる方もおられると思うが、ドイツの中央西部に位置する、16ある連邦州の1つである。このヘッセン州政府には、CIOというポジションがある。
マッキンゼーのビジネス・テクノロジー・グループでは、ヘッセン州CIOのハラルド・レムケ氏にインタビューを行った。レムケ氏は、もともとはソフトウエアエンジニアで、ニクスドルフ社などで情報システムの構築を手がけていた。その後、2003年にヘッセン州の閣僚に任命され、現在はCIOだけではなく、財務、内務の両部門でも閣僚を兼務している。
民間企業と政府組織における情報システム活用の相違、公的セクターでのIT(情報技術)活用において政治が果たす役割など、興味深い内容が盛りだくさんのインタビューとなったので、ここでご紹介したい。
――公的セクターにおいて、CIOというポジションを持つことに本当に意味があるのでしょうか?
レムケ 公的セクターの仕事は、長年にわたって情報システムに依存してきました。そして、最近のトレンドである行政事務コストの削減、人口動態の変化、社会ニーズの変化、これらはいずれも行政機関相互のより一層の協力を求めるものです。
実現のためには、省庁横断の戦略作りと実行、ITアーキテクチャーが不可欠ですし、それを実現するプロセスも作り上げないといけません。ですから、ご質問に対しては、「公的セクターにおけるCIO職は意味があるだけではなく、今後ますます必要不可欠にもなってくる」という答えになります。
――レムケさんはヘッセン州においてCIOでいらっしゃるだけでなく、財務(Ministry of Finance)と内務(Ministry of Interior)の両部門の閣僚でもあります。このような職は他に例を見ないと思いますが、背景をお聞かせください。
レムケ 省庁横断のIT戦略は、すべての省庁が密接に協力して初めて実現されます。その際、2つの「武器」が必要です。各部に分散されたIT予算をコントロールすることと、事務プロセス・仕事の進め方の標準化・共通化を組織・法律面から担保する、ということです。実はこの2つはヘッセン州では、財務部門と内務部門の仕事です。ですから、CIOを両部門の担当閣僚にも任命したのです。
こうした役割があったからこそ、ヘッセン州はドイツ連邦政府の電子政府化プログラムの中でも先進的な役割を果たしてこられたと思っています。ヘッセン州の例を見れば、政治の意思があればバラバラな情報システムであっても省庁横断にまとめることができると言えます。
――レムケさんは民間でのご経験も豊富です。公的セクターとの大きな違いは何でしょう?
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