「Web2.0(笑)の広告学」

『ウェブはバカと暇人のもの』に、二度、まいってしまいました

バックナンバー

2009年5月12日(火)

1/2ページ

印刷ページ

 友人である中川淳一郎さんから今年の2月頃に「今、インターネットに関する本を書いている」と聞いて「それは楽しみだ。出版された必ず買うよ」といった会話をしました。4月になって新聞の朝刊の書籍広告欄に中川さんの名前があったので「お、ついに、あの時、書いていると言っていた本が出版されたのだな」と思ったのですが、その横に書かれている書名を見て「これは、まいったな」とつぶやいてしまいました。何しろ、その本のタイトルが『ウェブはバカと暇人のもの 現場からのネット敗北宣言』というものだったからです。

 自分が商売のフィールドに選んでいるジャンルが「バカと暇人のもの」と決めつけられて嬉しい人はいないでしょう。「必ず買うよ」と約束していなければ、読まずに無視したかもしれません。

 しかし約束は約束だし、友人である中川さんが、タイトルはともかく、いったいどんなことを書いているのか、興味を抑えることも出来ず、その日の午後に書店で買い求めて、週末に一気に読みました。そして読了後、再び「これは、まいったな」とつぶやくはめになりました。というのは、この本に書かれていることに、かなり共感してしまったからです。

品行方正で怒りっぽいネット住民

 たとえば、ブログに「自販機の横で100円拾っちゃいました」といった書き込みをすると、「通報しますた!」と騒ぎ立てる。そんな品行方正で怒りっぽい人々の暴走事例が、この本の中では、たくさん紹介されています。そして結論として辿りついた、ネットには「怒りたい人」「吊るし上げの対象を血眼で探す人」が多い、という著者の主張には、たしかにその通りだとうなずかざるをえません。また他ならぬ自分自身も、過去において「品行方正で怒りっぽい」言動をしたことが思い当たります。今まで存在しなかったウェブという新しいツールを手にして、それとどう付き合っていったらいいのか、よくわからないままに、時として暴走してしまう。

 もちろんネット上で交わされる言論がすべてそうした種類のものではないことを著者の中川さんも理解しているのですが、往々にして声のヴォリュームとして、ひたすら攻撃的な書き込みをする人たちのものが大きくなってしまう。いったん火の手が上がると、真に良識ある人は、そうした負のスバイラルに巻き込まれまいと静観を決めこむので、さらにワンサイドに偏った言論になってしまう。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
コメント13 件(コメントを読む)
トラックバック
著者プロフィール

スダシン(須田 伸 すだ・しん)

須田 伸

サイバーエージェント ネットトレンド研究室長/コミュニケーションディレクター。1992年株式会社博報堂入社。CMプランナー/コピーライターとして「ACC賞」「日経広告賞」「消費者のためになった広告コンクール」などの広告賞を受賞。 1998年カンヌ国際広告祭ヤングクリエイティブ・コンペティションに日本代表コピーライターとして出場。2000年にYahoo! Japanに転じてコミュニティサービス担当プロデューサーとして「ヤフー・チャット」を立ちあげ「ライブチャットイベント」では初代「Y! Chat MC」として活躍。2002年より株式会社サイバーエージェントに勤務。同社の企業ブランドを一新する。現在は同社ネットトレンド研究室長。ブログとインターネット広告に関する著書として『時代はブログる!』(アメーバブックス)がある 。「サイバーエージェント/アメーバ」は、2008年度グッドデザイン賞を受賞。



このコラムについて

Web2.0(笑)の広告学

ブログやSNSのように、普通の人がインターネットで気軽に情報を発信するようになったことが「Web2.0」という流行語(バズワード)を生みました。Web2.0の切り口には、技術も、商売も、哲学もありますが、このコラムでは、基本的に「広告」という視点で考えていきます。筆者はテレビ広告業界を経験後、サイバーエージェントに転じ、ネット広告の世界で活躍している須田 伸氏です。

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン

日経ビジネスからのご案内