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「へぇ、シャープってケータイ作っているんだ」

商流を持たない日本の限界

  • クロサカ タツヤ

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2009年5月14日(木)

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はじめに

 振り返れば、19世紀がモノ(物質)、20世紀がマネー(金融)のエコノミーだった。では、21世紀は? 既に動き出しているのが、ビット(情報)のエコノミーだ。米グーグルや米アマゾン・ドット・コムの躍進が示すように、情報を武器にすることで新たな経済圏を創り出せる。

 その“先兵役”となるのがケータイだ。情報端末として十分な機能を備え、今後の成長が見込まれる新興国の所得水準でも購入できる。この可能性を狙って、欧米はもちろん、中国の思惑もうごめく。

 大きな世界の潮流が明らかになる中で、ケータイ「ガラパゴス」日本が取るべき進路とは? 端末の新機能や料金設定といった国内の動きからはうかがいしれない、「ケータイ産業」のうねりを伝えていく。これからの成長産業における日本の立ち位置を明確にしていく過程で、新たなビジネスモデルの有り様について考察していく。

 インターネットの興隆以降、「IT(情報技術)=米国のもの」という認識を持つ方も多いと思う。しかし端末はもちろん、インフラ技術も含め、トータルに見渡せば、ケータイの世界を支配しているのは欧州だ。

 世界第1位の端末メーカーはフィンランドのノキアであり、同じく世界第1位の通信機器(基地局)メーカーはスウェーデンのエリクソン。彼らは端末と通信機器を両方手がけており、ここにきてチップなどのセミコンダクターの世界でも影響力を拡大している。

 また日本にもかつて存在したボーダフォンは英国籍の通信キャリアだし、ドイツテレコムのブランド「T-Mobile」は米国でもメジャーな存在だ。またスペインの通信キャリアであるテレフォニカは南米の多くを支配している。金融危機で陰りが見えてきた事業者も中にはいるが、端末・通信機器のいずれも、メーンプレーヤーはまだまだ元気だ。

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 一方、米国勢は、モトローラやクアルコムなどの有力ベンダーと、AT&Tモビリティやベライゾン・ワイヤレスなどの通信キャリアたちによって構成される伝統的なケータイ産業の住人と、米アップルのiPhoneやカナダのリサーチ・インモーション(RIM)が扱うブラックベリーといった独自の端末とビジネスモデルで世界市場に打って出る端末メーカーたちに分けられる。

 前者は欧州勢の後塵を拝している感があるが、RIMやアップルはインフラを「使う」立場としてビジネスを作っており、今一番元気な勢力である。実際、洋の東西を問わず、ケータイビジネスに新風を吹き込もうとしている。

 また米グーグルや米インテルなど、インターネット技術や情報システム技術をそのまま持ち込んで、新しいパラダイムを作ろうとする勢力も台頭しつつある。今後の無線通信技術の進化の方向性を考えると、米IBMや米ヒューレット・パッカードも加え、彼らが大きな勢力となっていく可能性は十分に考えられる。

 これら欧米勢に対して、今急速に勢いを増しているのが、新興国だ。例えば2008年の韓国サムスン電子の全世界シェアは16.7%、LG電子は8.5%で、合わせて世界市場の25%を韓国メーカーが占めており、これらは前年比でも20%以上拡大している(IDC調べ)。

 また、中国はHuaweiやZTEなどの新興メーカーが、東南アジアやアフリカ、中南米など世界中で急速にプレゼンスを拡大している。特に中国は、第3世代携帯電話(3G)インフラへの投資を自国で行うことを表明しており、携帯電話分野を新たな輸出産業として育成しようとする意図が見て取れる。

誰にも知られていない日本製

 さて、我らが日本。通信キャリアは世界に出ることなく、端末メーカーも国内市場で汲々とするばかり。数年前にシリコンバレー在住の経営コンサルタントである海部美知さんが「ガラパゴス化」と言い得て妙の表現で説明されたのは、日経ビジネスオンラインを読まれている方であれば、鮮烈にご記憶のことだろう。

 実際、以前の連載でも書いた通り、海外の街中で日本製のケータイを見かけることは、欧米アジアいずれの地域でも、ほとんどない。大体はノキアかサムスン、あるいはモトローラという、正しく世界シェア通りの展開である。

 確かに、日本の携帯電話市場は、NTTドコモやKDDI、またウィルコムといった優れたキャリアによる高品質インフラの下、端末やサービスの高機能化に邁進し、結果として「ガラパゴス」と揶揄されるような市場を作ってきた。世界中でこれだけiPodが売れ、またそこに音楽や動画を供給するiTunesがコンテンツビジネスの主流となりつつあるのに、日本だけはケータイ向けの音楽配信ビジネスが中心となっていることからも、その特異性がうかがえる。

 しかし私は、「日本市場が特異だからダメになった」という説明に、これまでどうも納得できなかった。まず、日本の恵まれた環境による市場の特異性というのは、これまでのビジネス展開の「結果」であって、最初からそうだったわけではない。それに、特異とはいえ基本的に高品質の製品やサービスであり、それが受け入れられないというのは、相応の理由があるはずだ。

 実際、最近の中国では、日本製の携帯電話の中古品(や一部には盗品もあるという)が、富裕層を中心に高値で取引されているとも伝え聞く。製品の特徴やケータイ文化といった表層的な理由以外に、何か原因があると考えるべきだろう。

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