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「サーキットの狼」が今、リアルになった

力に基づいた美しさを披露するD1グランプリ(2)

2009年5月25日(月)

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 ホンダのF1撤退、三菱自動車のダカールラリー撤退、スバルの世界ラリー選手権撤退など、自動車業界における“体育会系”の残念なニュースが相次いでいます。昨年来の経済不況のあおりを受けたような形となっていますが、実はコストがかかり過ぎることが根本的な原因です。不況以前からプレーヤーの数は先細り。予算とノウハウの敷居が高くなりすぎてしまって、新規参戦なぞはチャレンジする気も起きないほどの“怪物”になっていました。

 自動車のみならず、技術開発の全般を見渡してみると、どの領域も一企業が最先端を維持し続けることは大変なまでに技術の錬度が上がっています。素材などの物理化学技術領域では、制御困難なナノレベルにまで微細化が進んでいます。対極のソフト分野でもシステムは巨大化しており、こちらも制御が困難になっています。

 生き残るだけで精いっぱいのレッドオーシャンという意味では、半導体や液晶産業など投資規模合戦の業界とF1レースは同じジレンマを抱えているようです。このF1よりもさらに先端技術の優位性が切実に求められる市場という意味では、「兵器」でこの構造が顕著です。

 米空軍の第5世代型と言われる最新鋭のステルス戦闘機「F-22ラプター」は1機200億円とも300億円とも言われています。その代わり、と言ってはなんですが、現行配備の戦闘機を部隊ごと無力化するほどメチャメチャ強いという触れ込みです。この業界で「キルレシオ(Kill Ratio=撃墜対被撃墜比率)」と呼ばれる指標があります。スカウターに出る「戦闘力指数」みたいな値です。1機で敵を何機撃墜できるかというこの性能評価の結果では、前世代最強と言われるF-15が10機同時に寄ってたかっても勝てないとも言われています。まさに一騎当千のツワモノ。

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 欧州勢もこれまで、フランスのダッソーやスウェーデンのサーブなどが頑張って国産最新鋭機を開発し続けてきましたが、もはやついて行けず脱落寸前の状況です。当の米国でも、このF-22の製造者は、ロッキード・マーチン&ボーイングということで、米国航空機業界の名門企業がほぼすべて合体した超巨大企業連合体です。

 このまま行くとそのうち、各国とも自国の資本を一本化して総力を挙げた国家プロジェクトによる「空の守護神」みたいな虎の子兵器を1機だけ作って睨み合うという状況になるのでしょうか。ウルトラマンとかマジンガーZの世界ですね。故障したら大変そうです。ちなみに我が防衛省が開発中の、日本製第5世代型実証機の呼び名は「心神」と言います。

技術偏重を防止する策

 前回のコラム「日本お得意の美しく舞う車を作ろう」では、日本で生まれたドリフト走行の演舞競技である「D1グランプリ」とは、F1のような行き過ぎた技術競争へのアンチテーゼではないか、と申し上げました。ほんの20年ほど前まで、私たちにとって自動車とは贅沢品であり豊かさの象徴でした。神聖な白い塗装をまとって、内装は絨毯敷きの土足禁止も稀ではありませんでした。それは程度の差こそあれ、お国を問わず、豊かになっていく成長期に共通の現象でしょう。

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「「サーキットの狼」が今、リアルになった」の著者

川口 盛之助

川口 盛之助(かわぐち・もりのすけ)

盛之助 代表取締役社長

戦略コンサルティングファームのアーサー・D・リトル・ジャパンにてアソシエート・ディレクターを務めたのちに株式会社盛之助を設立。研究開発戦略や商品開発戦略などのコンサルティングを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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