「池原照雄の「最強業界探訪--自動車プラスα」」

電気自動車の「現実」が見えてきた

「i-MiEV(アイミーブ)」、電池のコスト・大容量化で分厚い壁

  • 池原 照雄

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2009年6月17日(水)

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 三菱自動車の「i-MiEV(アイミーブ)」459万9000円、富士重工業の「プラグインステラ」472万5000円。これが7月に発売される電気自動車(EV)の“実力”である。

 昨年来、メディアではすぐにでもEVがクルマそのものや業界の勢力図を激変させるという見解が見られたが、コストの現実を見て少しはクールダウンするだろうか。

「i-MiEV」を発表する三菱自動車の益子修社長

 今年は「EV元年」という表現もよく聞かれる。確かに、現状では最先端のリチウムイオン電池を搭載したEVが量産ラインに乗り、市中を走り始めるという点では画期的だ。しかし、環境対応車としてのEVは、「元年」というより西暦でいえばまだ紀元前に位置すると見た方が妥当ではないか。

 ありがたいことにメディア関係者からEVの展望について聞かれることがよくある。「軽自動車だが、価格はレクサス並みというクルマが普及しますか」とコメントすると、取材は大体終わってしまうし、筆者の談話が使われることもない。メディア側があらかじめ用意した筋書きにそぐわないからだろう。

バッテリーだけで推定300万円はかかる

 残念ながらこうまでEVが高くなるのは、あまりにも高価なバッテリーを大量に必要とするからだ。「i-MiEV」の場合、フロア下に装着されたバッテリーは収容ケースなどと合わせて約200キログラムに及ぶ。重量としては、大人の男性3人がフロア下に寝そべったまま走るという感じである。

 着々と小型化やエネルギー密度の向上が進むリチウムイオン電池だが、「使用条件が過酷な自動車用は、耐久性と安全性の確保に万全を期す」(大手電池メーカー首脳)ため、原価の大きな重しになっている。「i-MiEV」の場合、小売価格の3分の2強に当たる300万円余りがバッテリーに費やされていると推定できる。

 フル充電状態からの航続距離は「i-MiEV」が160キロメートル、バッテリーの搭載量を抑制した「プラグインステラ」は90キロだ。いずれも「10・15モード」での測定なので、実際はこれらの数字の「6掛け」くらい、「i-MiEV」で100キロ程度と考えた方が安心して走られることになる。

 つまり、コストとともにバッテリーの小型・大容量化が分厚い壁として立ちはだかっている。EVの課題には充電インフラの整備も指摘されるが、本質的には1にも2にもバッテリーに尽きる。

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