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絶えぬ改良で、会社の“顔”に

パナソニック「ヒートポンプ乾燥方式搭載ななめドラム洗濯乾燥機」(その3)

2009年7月1日(水)

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 「2004年の3月か4月くらいでした。曲がりなりにもヒートポンプが、ななめドラム洗濯乾燥機第1号の『NA-V80』のボディーの中に収まっている試作品を研究所の人間が持ってきました」

 ヒートポンプ開発チームを率いた主任技師の河合哲夫が回想するように、ヒートポンプは試作の洗濯乾燥機の筐体内に見事収納された。

洗濯乾燥機の開発を続けるパナソニックの藤井裕幸チームリーダー(手前)と、河合哲夫・主任技師(写真:佐保圭)

 その成功の理由には、ドラムを回転させるモーターの特色も大いに関係していた。

 ななめドラムの場合、衣類は後ろ側に寄ってくるので後ろから吹き上げる方が風との接触がよかった。そこで、乾燥方式にはドラムの後ろ(底面)から温風を送る方式が採用された。よって、ドラムの後ろにダイレクトモーターを付ける時、温風の吹き出されるスペースを確保しなければならない。

空きスペースは見た目ほど広くない

 洗浄の分野でチームリーダーとして開発に関わった藤井裕幸ら洗浄チームは、他社のようにドラム径とほぼ同じ径となるアウターローターではなく、径が約半分で済むインナーローターのダイレクトモーターの採用を選択した。アウターに比べてパワー不足になる部分はメカをかませて補った。こうしてモーター系をドラムの半分に抑えた。

 「実は、このモーターのすごい技術があったからこそ、ヒートポンプの空間も確保できたんです」と洗浄系の藤井は胸を張る。確かに、厚さが7~8センチメートルあるモーターがドラムと同じ径だった場合、ドラムのバックスペースはかなり奪われてしまうが、半分の径なら、大きな空間を確保できた。

 いずれにせよ、そこから先は、河合や藤井らビジネスユニットの仕事だった。

 とりわけ「世界で初めて洗濯乾燥機に採用する」という未知の領域でのヒートポンプの開発は困難を極めた。

 「我々ビジネスユニットの仕事はお医者さんで言ったら救命救急みたいなもの。何が何でも何月何日の発売日までに商品化しなければいけない……私はそういう仕事ばっかりやってきました」

 では、具体的にはどんな課題があったのだろうか。河合は懐かしそうに、饒舌に語った。

 「図面上で設計していくと、ななめドラムの後ろのデッドスペースが丸々使えると最初は思うんです。ところが、上のドラムは脱水時には揺れますし、水が入ったら沈みますから、絵で見ているほどのスペースが丸々使えるわけじゃないんです。また、エアコンや給湯器とは違って、洗濯機には脱水振動などの振動があります。揺れる場所にヒートポンプを入れるのは初めての試みでしたから、導管の溶接部分などの揺れに対する信頼性も重要でした」

 「乾燥機特有の問題としてホコリの問題があります。洗濯乾燥機の場合、洗濯物から出る多量のホコリがつきます。ヒートポンプは洗濯しているところと同じ経路でつながっているので、入浴剤に硫黄などが使われていた場合のヒートポンプ側の錆はどうなるか、とか、最悪の場合はヒートポンプが泡だらけになる可能性まで考えないといけない」

 「(既にヒートポンプを搭載している)エアコン、冷蔵庫にはない世界。熱媒を使うのは初めてですから、洗濯乾燥機として『リサイクルはどうするのか』『回収システムはどうするか』といったことまで設計しなければなりませんでした」

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