「新・ハイブリッド戦争」

自分で失敗してこそ進化がある

トヨタ自動車の瀧本正民副社長に聞く

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2009年6月22日(月)

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 世界的な販売低迷に苦しむ自動車業界。長年、世界最大の自動車メーカーとして君臨してきた米ゼネラル・モーターズが経営破綻し、トヨタ自動車も大幅赤字に転落した。

 厳しい環境が続く中、市場拡大が見込まれるのがハイブリッド車だ。日本ではエコカー減税をはじめとする政府の支援策もあり、4月にはホンダの新型「インサイト」が、5月にはトヨタの新型「プリウス」が車名別月間販売のトップに立った。

 「日経ビジネス」では2009年6月22日号の特集で「ハイブリッドカー 自動車産業の救世主なのか」を掲載。拡大するハイブリッド車ビジネスを取り上げている。その連動企画として、「日経ビジネスオンライン」では開発のキーパーソンのインタビュー、関連業界の動向などをお届けする。

 第1回目となる今回は、トヨタのハイブリッド車技術開発を指揮してきた瀧本正民副社長(技術開発担当)に聞いた。

(聞き手は 細田 孝宏)


 ―― 5月18日に発売した新型「プリウス」が好調な立ち上がりを見せています。ハイブリッド車はどう進化していくと見ているのでしょうか。

瀧本 正民(たきもと・まさたみ)氏
1946年生まれ。70年トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)入社。1994年第3開発センター第3企画部長、99年取締役、2002年常務、2003年専務、2005年から副社長。6月23日の株主総会で取締役を退任し、豊田中央研究所代表に就く予定。
(写真:高木 茂樹)

 瀧本 2020年までにすべての車種にハイブリッド車を設定するという方針に向け、トヨタは着実に進んでいます。一部には「ハイブリッド車は電気自動車が普及するまでの橋渡し役に過ぎない」といった見方がありますが、トヨタはそういう観点で見ていません。

 我々が開発を目指しているのは、地球と共生できるサステイナブルモビリティ(持続的に使用できる乗り物)です。ハイブリッド車はもちろんですが、それをベースに次に備えた準備を進めています。モーターとバッテリー、制御装置。ハイブリッド車の中核技術であるこの3つは、いずれも将来、燃料電池車や電気自動車が実用化になる時にも応用できます。「ハイブリッド車」はいずれなくなるかもしれませんが、「ハイブリッド技術」はずっと必要になる。トヨタはその技術を磨いてきました。

人に頼る限り、他社の先には行けない

 ―― エンジンで動いていたクルマがモーターでも動くようになりました。自動車メーカーとして求められる技術が変わります。技術領域が広がる中で、どこまでトヨタ自身で開発していくのでしょうか。

 瀧本 基本的にはすべて自前で作るのがトヨタの考えです。(1997年発売の)初代プリウスの開発当初、市販のモーターを試してみましたが自動車向けとしては使い物になりませんでした。要求される温度条件や耐用期間などがクリアできなかったからです。だから自分たちで作り始めた。電気を制御するインバーターも同じ考えから自分たちで開発しています。

 電池についてはトヨタに知識が乏しかったため、パナソニックと共同出資会社を作ったのです。ここへきてようやく理解が深まり、自分たちなりに改良の余地が見えてきました。中核部品となる電池は、自分たちで開発、生産できるようにしなければなりません。

 ―― 社外のサプライヤーから買ってくることもできますが。

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著者プロフィール

細田 孝宏(ほそだ・たかひろ)

日経BP社入社後、経済誌「日経ビジネス」を振り出しに、建築誌「日経アーキテクチュア」、日本経済新聞証券部(株式相場担当)で記者活動に従事。「日経ビジネス」では主に自動車、流通、商社などの各業界を担当し、現在、米国特派員として、ニューヨークに駐在している。



このコラムについて

新・ハイブリッド戦争

厳しい販売状況が続く自動車業界で、唯一人気を集めているのがハイブリッド車だ。低価格化に加えて政府の免税措置などもあり、トヨタ自動車の新型「プリウス」、ホンダの新型「インサイト」はともに納車待ちの状況が続く。2強が競い合い、新たに始まった「ハイブリッド戦争」はどこへ行き着くのか。自動車メーカーの狙い、最先端電池の開発戦略、激化する販売戦争の裏側、また次々と乗り込んでくる異業種などの動きを追った。

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