「宮田秀明の「経営の設計学」」

電気自動車は次世代の主力車種となるか

輝かしいハイブリッド車の社会変革に学べ

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2009年6月26日(金)

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 海の仕事が中心だった頃、ヨットなどのマリンスポーツも楽しんでいると思われていた。今でもそう思われることが多い。しかし本当は全く違う。ずっと前から海で遊びたいという気持ちがなくなってしまったのだ。海は職場だから、海の仕事ではいつも難しいことつらいこと苦しいこと危険なことが満載だった。海は好きだし私の原点でもあるのだが、いまだに心休まる場所ではないのだ。

 だから「仕事は海で、遊びは山で」などと答えていた。学生時代から山道のドライビングは好きだ。ところが、昨年から自動車が趣味ではなくて仕事の一部になってきた。2次電池や電気自動車による新しい社会システムを作るプロジェクトを起動したからだ。

 おかげで昨年の夏頃から、趣味を休止せざるを得なくなった。私の愛車1999年型スカイライン・ターボ車は名車だと思う。直列6気筒のRB型エンジンもサスペンションも車体の剛性も素晴らしい。しかし燃費はかなり悪く、1リッター当たり6キロメートルぐらいしか走らない。

 環境がらみの仕事を始めた私には罪悪感があって、この車で東筑波スカイラインに出かけることがほとんどなくなってしまった。

ハイブリッド車は社会変革をもたらす製品となった

 今年5月には国内登録車販売台数でハイブリッド車の比率が12%を占めた。ほとんどがトヨタの「プリウス」とホンダの「インサイト」である。最初の「プリウス」が発売されてから12年が経ち、日本の乗用車市場はハイブリッド車と軽自動車が主役の時代になった。

 こうして主役となる工業製品が生まれてその産業が変化していくことは大切だ。自ら開発した新製品を通して社会を変革していくのは、製造業の王道である。

 ハイブリッド車は、プロダクト(製品)・イノベーションを率先垂範している。日本の製造業と製品の中では稀な例だ。30年前のソニーの「ウォークマン」に近い例と言ってもいいだろう。

 プロダクト・イノベーションは難しいことなのに、日本の自動車産業とエレクトロニクス産業はそれに挑戦し続けている。日本の貿易収支を支えているのはこの2つの産業である。1960年代はそれが造船と鉄鋼だった。

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著者プロフィール

宮田 秀明 (みやた ひであき)

宮田 秀明

1948年生まれ。1972年東京大学大学院工学系研究科船舶工学専門課程修士修了。同年石川島播磨重工業(現IHI)に入社、77年に東京大学に移り、94年より同大教授。専門は船舶工学、計算流体力学、システムデザイン、技術マネジメント、経営システム工学。世界最高峰のヨットレース「アメリカズ・カップ」の日本チーム「ニッポンチャレンジ」でテクニカルディレクターを務めた。著書に『アメリカズ・カップ―レーシングヨットの先端技術―』(岩波科学ライブラリー)、『プロジェクトマネジメントで克つ!』『理系の経営学』(日経BP社)など



このコラムについて

宮田秀明の「経営の設計学」

経営には「論理」が必要である。論理を積み重ねた理系思考がイノベーションを育む。技術力を最大限に生かし、プロジェクトをまとめ上げ、新しいビジネスを創造する。「理系の経営学」を提唱する東京大学の宮田秀明教授が理系の視点による経営の要諦を語る。

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